異世界FIRE ―60歳まで冒険者は無理なので早期退職します―

のちのちザウルス

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俺たちの火魔法 ”FIRE” 10

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「じゃあ、FIREをするために必要な情報を考えよう。まずは収入だね。早期リタイアを目指すなら、そのためには何を差し置いてもお金が必要だ。ということで問題!大日本帝国人民の、平均的な世帯年収を述べよ。はい、ドルさん」
「はい。……そうですね、600万バルク程度でしょうか」

ぶぶー、とザザが答える。

「そうだったら俺も嬉しいね。
 厳密な答えではないけど、レイワ2年の統計調査によれば433万バルク程度が平均らしい」
「433万バルク……」
「そうだ。じゃあ、ここでさっきのエンさんの話を思い出してほしい。一般的な家庭の年間平均支出額はいくらだったかな?」
「確か……400万バルク程度でしたね」
「正解!よく覚えてたね。じゃあもう一つ問題!大日本帝国人民の平均的な世帯年収について、“中央値”はいくらか述べよ。もう一度ドルさん」
「中央値……はっ!?」
「気付いたようだね」

物分かりの良いドルが何かに気付く。そう、平均年収は433万バルクなのだ。すなわち――。

「中央値は一般的にもう少し低い値になることが多い……すると、433万バルクよりも世帯収入は低い?」
「その通り!答えを言ってしまうと、およそ370万バルクが年収の中央値になるらしい」
「370万バルク!?そ、それでは、多くの家庭は収入よりも支出が多い赤字家計ということですか!?」

ドルが顔面蒼白になりながらザザを問い質す。
一般的に、平均値よりは中央値の方が世間的な感覚としては近いことが多い。平均とはあくまで平均であり、例えばこの世帯収入の話で言えば、年収数億バルク以上の一部の超大金持ち達が平均値をガッツリ上げているのである。実態としては年収300万程度の人間が極めて多いだろうし、中央値の方が実情に即していると言われるのはそれが理由である。そして、ドルの疑問ももっともな話だ。年収の中央値が支出平均よりも多いのだから、赤字家計ばかりだと勘繰るのも無理もない。とは言え。

「さてね。支出平均はあくまで平均値であって中央値じゃないから、もう少し赤字家計は減るかもしれない。ただ、支出ってのはちゃんと管理してる人は少ないんだ。周りに家計簿しっかり付けてる人がどんだけいるの?って話よ。
 収入ってのは大体の場合分かりやすい。もらった給料の金額を書いておけばいいんだからね。一方支出の値は適当に書いてる人の多いこと多いこと……。実際にはもっと支出してるはずなのに少なく見積もってるケースがほとんどなんだ。書き忘れは勿論、家族に内緒で使ってるお金や、その辺の自販機でジュース買ったお金とか、家計簿に書かないことが多いお金ってのは意外と多いでしょ?そう考えれば、赤字家計または自転車操業してるところが大半だろうね」

ザザは涼しい顔で恐ろしいことを言った。もしそれが事実なら、大日本帝国人の大半は赤字という赤字大国になってしまう……いや、もうなっているのかもしれないのだ。その大日本帝国においては、中央ギルドが資産保有額に応じて以下の世帯層に区分している。

・超富裕層   :純金融資産5億バルク以上、0.16%
・富裕層    :1億バルク以上5億バルク未満、2.3%
・準富裕層   :5,000万バルク以上1億バルク未満、6.33%
・アッパーマス層:3,000万バルク以上5,000万バルク未満、13.2%
・マス層    :3,000万バルク未満、78%

一番人口比が多いのがマス層だ。全人口の80%近くがこれに該当し、一般的な社会人は勿論、赤字家計や自転車操業をしている人間は100%ここに該当していると言っていい。大日本帝国民の大半はお金を持たない貧乏人であるという事だ。

「残念ながらこれが現状だ。だからこそ、君たちにはそんな連中と同じレベルにはなってほしくないんだ」
「せ、先生……。一体僕たちはどのように対策を講じれば良いのでしょうか。そもそも、対策を講じる事は可能なのですか……?」
「そう悲観的になる必要はないよ。しっかり計画を立てて、その通りに行動して、時々軌道修正して、最後に1億バルクを手にして笑えばいいのさ。先の長い計画だけどね。1億バルクと言えば、いわゆる準富裕層~富裕層に該当するんだ。大日本帝国の上位10%に食い込むためにはどうしたらいいか、早速計画を立ててみよう」
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