異世界ギルドで業務効率化 ―残業なし、年間休日130日、有給消化率100%の職場です―

のちのちザウルス

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なんとかすべきは上司と飲み会、他多数 13

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『行政改革ギルドの室内環境改善について』

「まずは問題点の洗い出しをしましょう。15分から20分くらいかけてやりたいと思います」

とはザザの弁。テーマが決まれば後は会議の基本、問題提起だ。議題に沿った現状の分析をし、それらを全員が情報共有することで解決の糸口が見付かるだろう。
この問題提起を疎かにした場合、解決の方向はてんで見当違いとなりかねず、そうなった場合多大な労力を割くことになる。どの企業でも当然実施していることだろうが、一応念のためダメ押しで説明した。
そうそう、これも当然常識的に誰もが知っていることだろうが、相互確認のために説明しておく。会議は、例えば営業成績や期末の決算を報告する場ではない。そんなものは書類を見れば分かる話である。会議で本当に話し合わないといけないのは、それらの成績や収益を見た上で『今後どうしていくか』という内容である。勿論社会人にとっては至極当然当たり前の話だが、例えば学生のような若年層は会議の経験がないはずなので解説しておく。まさか社会人になって知らない人はいないと思うが。
閑話休題。お嬢が挙手をした。

「先の話を借りるのであれば、執務室内の環境が悪いということが問題なのでしょう」
「うむ。ザザ君、『執務室内の環境が悪い』と書いてくれ」
「ダメです」

ばっさり。お嬢も流石に一刀両断されてはたまらず食い下がった。

「ざ、ザザ君、一体何がダメだと言うのですか」
「具体性が全然足りていないんです。逆に質問を致します。『執務室内のどこがどのように悪い』のか教えて頂いてよろしいでしょうか」

こう言われてはお嬢もすぐに気付いた。なるほど、これが業務改善をするということか。

「確かに言葉が足りなかったわ。具体的な問題がなければ、具体的な対策も立てられない。そういうことかしら」
「その通りです。まあ、恐らくそのうち『じゃあ具体的には何が悪いの?』って話が出ると思うんですが、30分という期限を設けた以上無駄な議論をするべきではありません。皆さんが遅くまで仕事しているのは、決して仕事がたくさんあって終わらないから、という理由だけではないはずです。有限な時間を有効活用すれば、別の仕事をする時間を作れるはずですから」
「失礼しましたわ」
「とんでもありません。もっとアドバイスさせて頂くなら、『悪い』という表現も好ましいものではないと思います。『悪い』という言葉は広義の意味を含んでいますし、現状の問題点を評価しているわけではないので。
 換気装置の話を例に出すなら、

   誤 執務室内の空気が悪い
   正 執務室内の空気が入れ替えされずに滞留し淀んでいる

 という感じでしょうか」
「なるほど、それでは――」



ざっとこんなものか、とザザは問題点を見返した。模造紙には以下の様に記されている。

『行政改革ギルドの室内環境改善について』
問題点:
 ・執務室内の空気が入れ替えされずに滞留し淀んでいる
 ・パソコンのスペック不足により、従業員が本来必要ない手書きの業務を行っている
 ・各自の書類が目に見える場所にあり、重要書類も他人の目に留まりやすい
 ・保管が定められた書類について、適切に保管されていない、または保管状況が分からない
 ・執務室内の照度が足りず、業務に対し集中力を欠く
 ・作業机が小さく、作業の都度物をどかすなど無駄が発生している
 ・法令文書等、業務上使う書類があちこちに置かれていて、都度捜索している

「他にもあるでしょうが、まずはこんなところにしておきましょう。問題をたくさん出すのは良いことですが、これらを1つずつ解決していかないと、今度は多すぎるタスクにやる気がなくなってしまいます」
「僕もザザ君に同感だ。それに、こんな短期間でこれほどたくさんの意見が出たことはとても喜ばしいよ」

とカイリキが破顔した。
全身筋肉の男の顔は、笑った頬すらも鍛え上げた筋肉なのかもしれないと思うほど筋張っていたが、ザザは笑ってもらえて良かったと思う。
しかし、本番はまだまだこれから。今度はこれらの問題を解決するアプローチを考えていこう。
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