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のちのちザウルス

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「彼の出自についてご説明致します。彼はかつて、南の大国メリケンの勇者パーティとして活動していました」
「勇者パーティだと!?」
「そうです。当魔族領、コリアントチャイナの魔王様を打倒せんと、南が送ってきた刺客。皆さんもよくご存知のはずです」
「当たり前だ!!!勇者のせいで、どれだけの民が殺されたと思っている!!」
「ですが!最近ではその勇者の声が、今や全く消えてなくなりました。何故でしょう?」

議論が白熱する。その原因となった冒険者のシオンは、表情を変えずに軍議を見たままだ。
勇者パーティ。彼らは、目玉焼きの白身部分の南側、メリケン国出身の冒険者だ。メリケン国には稀に強大な力を持つ人類が誕生し、国から手厚い保護を受けて生活する。シオンは南メリケンの農村の生まれだが、生まれながらに強大な魔力を持ち、しかもすべての魔法適性を持つ稀代の傑物であった。動物の声を聴けるともされ、神獣フェンリルを始めとして多くの魔獣を手懐ける側面もあったという。
メリケン国は宗教柄魔族を許さず、わざわざ反対側の国である北のコリアントチャイナへ刺客を差し向け、その多くを屠ってきた。したがって、コリアントチャイナ側もメリケン国の動向をつぶさに監視していた。中でも飛びぬけた強さを持つ勇者パーティは、圧倒的なステータスを持つ勇者を筆頭に数人のメンバーで構成され、多くの魔族が殺害されてきた経緯がある。しかし、その勇者パーティは最近めっきり話を聞かなくなった。それは――。

「解散したんです。勇者パーティは」
「なんだと?」
「シオンは、リーダーである勇者を含めた全員に陰ながら魔法支援をしていました。その魔法は多岐に渡り、味方へのバフや即時回復、敵へのデバフをこなし、沼地では地形を固め、水中では呼吸を可能とすることもできたそうです。これらの補助が強力すぎたため、勇者パーティはシオンの魔法攻撃を必要とすることもなく魔族を殺害できたようです。ですが、シオンの魔法はあまりに精緻で、バフをかけられた側ですら自分の力のように感じてしまいした。最終的に、勇者は『これは自分の力だ』と増長します。結果『俺がこんなにも働いているのに、なんでシオンのヤツは魔法も何も使わないんだ!』と。シオンは勇者パーティを首になり、途方に暮れていたところを忌み嫌っていた魔族に救われ、心を入れ替えたのです。
 一方の勇者パーティは、パーティの要であるシオンのバフがなくなったにも関わらず、それを自分の力と信じて止まなかった結果、力量不足で我が軍の魔族に捕縛されました。入れ」
「放ぜえええええええ!!!!」

ひと際大きな声を上げ、4人の人間が完全武装の軍人に連行されてくる。服はボロボロで腰巻しか支給されていない男性1人と、胸や恥部をかろうじて隠した衣類を纏った女性が3人だ。

「彼らが元勇者パーティです」
「シオン!!!!貴様裏切っだのがあああああああああ!!!!」
「シオン、黙らせて下さい」
「はい」
「む!?もが、むぅぅううう!!!!」

強制的に口が閉じる。さらにシオンは風属性を応用した遮音の魔法をかけ、軍議室には静寂が戻る。

「シオンには、彼らを殺害することでその罪を帳消しとします。その上で、のちのちザウルス討伐の要になっていただきたいと考えているのです。私ジェン・ムインは、シオンを筆頭とした討伐パーティを作り、のちのちザウルスを打倒することを提案します」
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