異世界ギルドで業務効率化 ―残業なし、年間休日130日、有給消化率100%の職場です―

のちのちザウルス

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幕間 ―とある有能な団塊世代の記録 2―

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課題が来ない。この一流企業勤めで主任経験もある私に、オファーが来ないとは到底考えられない。まさか書類の送付漏れか?それとも何かの行き違い?
いずれにしても、今のうちに連絡しておかなければ、私が書類を提出していないことになって悪い印象を持たれてしまうな。早速電話をかけてみよう。

「はい、行政改革ギルドでございます」

電話口に出たのは若い男だ。話しやすくて助かる。

「あー、もしもし。先日履歴書を送った者なんですが」
「ご応募ありがとうございます。お名前を頂戴しても宜しいですか」
「私はロウガイって言うんだけど」
「はい。ロウガイ様、お世話になります」
「うん。それで、私の家に合格者用の課題が届いてないんだけど、送付漏れしてないかなと思って」
「確認致します、少々お待ち下さい」
「はいはい」
「――お待たせ致しました。大変申し訳ございませんが、ロウガイ様は残念ながら選考から外れております。したがって課題の送付もございません」
「は?どうして?」
「大変恐縮ではございますが、その件に関しては回答を差し控えさせて頂いております。ご応募ありがとうございました」
「いや、だから理由を聞いてるんだって。なんで答えられないの?」
「本当に申し訳ございませんが、お答えすることはできません」
「ちょっと話にならないな、上席者に電話代わってもらえる?」
「え?えーっと……少々お待ち下さいませ」

と、電話口からは保留音が流れてきた。これが交渉術だ。上司さえ引っ張り出してくれば問題ない。今のは若手っぽいから、私が受かったことを知らずに落ちたと決めつけて話をしているに違いない。

「お電話代わりました。ギルドマスターのカイリキと申します」
「もしもし、私ロウガイという者ですけど」
「ロウガイ様、お世話になります。部下の話によりますと、ロウガイ様が求人選考に合格しているはずにも関わらず課題の書類が送られてこない、という認識でお間違いありませんか」
「そうですね。何かの手違いで送付が漏れているかもしれないと思いまして、電話をかけた次第です」
「そうでしたか。……実を言いますと、今回実際にロウガイ様は選考から外れておりました」
「は?それはどういう理由で?」
「行政改革ギルドでは、道路開発工事が一旦落ち着いてしまいましたからね。あと一歩求人を出すのが早かったら、すなわち道路修繕工事事業の実施が遅かったら、ロウガイ様も選考基準を満たした可能性がございます」

なるほど。確かに、ここ1年弱で街並は見違えるほど綺麗になった。私は動画を見ることは少なかったが、高速通信網が構築されてからはYo!!!tubeで動画を見るようになったし、トイレもボットンから水洗に変わった。そして極め付きは道路だ。ウチの大日本道路開発が工事を担当することはなかったが、各所で道路が整備されていく様は私も見てきた。と考えると、道路建設のノウハウを持つ私の出番は当に終わったと言えるのかもしれない。

「ですが」

納得しかけていたら、電話口の声は続いた。

「せっかくこのように電話をかけて下さったのです。これも何かの縁でしょう。ロウガイ様さえ良ければ、課題に挑戦いただいてもよろしいでしょうか」
「お、いいのですか」

なんと、まさかのチャンスか。

「建設関係のノウハウがあるようですし、今後活躍の場がないとは言い切れません。それに、もし当ギルドで採用とならなかった場合でも、状況によっては建築ギルドへの推薦も可能です。改めていかがでしょうか」
「ありがとうございます。是非とも書類を送って下さい」
「かしこまりました」

残念ながら、本来は不合格という結果だったようだ。しかし、それは道路開発のニーズが終わってしまっていたからというだけのこと。私本来の実力が過小評価されてのことではないと分かって安心した。

「ではメールにてMxcelデータをお送り致しますので、メールアドレスをお教え頂いてもよろしいでしょうか」
「ああ、私はパソコンを持っていないんだ。悪いけど、郵送で送ってもらえないかな」
「え、郵送……」
「よろしくお願いしますよ。では失礼します」
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