異世界ギルドで業務効率化 ―残業なし、年間休日130日、有給消化率100%の職場です―

のちのちザウルス

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マナー講師のマナー、ほとんどマイルール説 8

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「さあ、どんどん新しいマナーを生み出して、世間に広めてやりましょう!」

壇上では引き続きザザが暴れている。カイリキはそれを止めようと必死だが、マカオやお嬢の中堅組は“ザザを止めようと必死なカイリキ”を止めるのに必死だ。ハーフはギルドに入りたてであるため、この辺の『行政改革ギルド 阿吽の呼吸』が理解できていないようであるが、このカイリキを裏で止める行為は業務改善を一足飛びに進めるのに重要な役割を担っている。閑話休題。

「皆さん!最近何か嫌なことはありませんでしたか?それを撤廃するマナーを考えてみせますよ!そこのあなた、どうでしょう!?」

ザザは持ち前のコミュ力を爆発させ、その辺の話したこともないギルド員に質問を投げかけた。そのギルド員はいきなり振られたことに少々たじろいだものの、周りの熱狂した空気に飲まれて声高に発言した。

「こないだもそうだったんだけど、流行り病で世間がピンチなのに、俺のギルドはギルマス主催で飲み会に誘われたんだ!!しかも、やらなかった忘年会と新年会の分も合わせるとか訳分からんことを言い出したせいで、なんかすげぇ高いとこに決まったんだよ!!」
「それはおかしい話ですね!!今は外出自粛が叫ばれてるのに、なんで飲み会なんか行ったんでしょうねえ!!なあみんな!!!」
「「「そうだそうだ!!!」」」
「ありがとう皆!!しかも、ギルドの皆行きたくないって言ってるのに気にせず強行しやがったんだ!自分が独身だからって酷いだろ!?俺たち若年層はみんな家族がいるんだぞ!!!」
「「「そうだそうだ!!!」」」

群衆は完全に名も知らぬギルド員の味方だ。場の空気を支配したザザは、ここぞとばかりにとある提案――すなわち新マナーをぶちかます!

「では、皆さん!たった今行政改革ギルドは新しいマナーを提案したいと思います!!飲み会では一番偉い上司が全額奢る!!!!どうですか!?」
「「「いぇえええい!!!」」」
「はいでは採用!!!」

採用じゃなあああい!やめるんだザザ君!!やめるのはカイリキさんよ!今良いところなんだから!ボクも手伝えばいいですか?やめろおおおおお!!

「じゃあ次はあなた!何か最近やなことありませんでしたか!?」
「わ、私、最近受けた研修で納得できないことがあって……」
「納得できないこと!?一体何があったんですか!あ、話しにくいならこのマイクをどうぞ!!」
「ど、どうも。あ、あの、わ、私、新入ギルド員で……」
「皆さん!!新入ギルド員の貴重な意見ですよ!!落ち着いて聞きましょう!!」
「その、新入ギルド員研修で、『給料以上の働きをしよう』って教えられて……なんか、やる気がすごいマナー講師みたいな人が給料から時給を計算させて、『皆さん!あなたはその時給分の働きが出来ていますか!?!!?』ってすっごい大きい声で話してて、ギルドがいかに新卒ギルド員に投資してるか、採用にかかる費用とか研修の費用とか払ってる保険とか延々と聞かされて……私たちそんなにギルドに『働かせていただいてる』って言うんですか?って思っちゃいました」
「「「そうだ!!」」」
「「「給料以上に働いて欲しいなら給料上げろ!!!」」」
「は、はい!私もそう思います!そんなに雇っているギルドが偉いのか?その主従関係って一体なんなんだ?って思うんです!その講師の人は、いちいち『給料以上の働き』ってワードを言ってきて、でもそんなのおかしいって、いや何がおかしいか説明できないんですけど、なんか自分の中で納得できなくて……それでっ……!」
「もういい!もう泣かなくてもいいんだ!!皆さん!この勇気ある新入ギルド員に拍手を!!!」

パチパチパチパチパチパチ!!!!!

「皆さん!!今、大日本帝国は世間の流れを受けて、ジョブ型雇用というものをやっていこうと舵を切っています!!細かいことはこの場では省きますが、これは要するに『実際の仕事に合わせて人材を採用していく方式』です。ジョブ型雇用の場合、企業はジョブディスクリプションと呼ばれる資料の中で、仕事内容や勤務地、働く時間を明確に定義することになります。ですから、給料以上の仕事をすること・させることは、国がやろうとしているジョブ型雇用の方針に真っ向から対立することになるんです!!何故なら、仕事内容を書類でばっちり定義しているのに、それ以上の仕事をするんですから!先程皆さんが仰った通り、給料以上に働いてほしいなら給料を上げてもらうべきなんです!!」
「「「なんか分からんけどそうだそうだ!!!」」」
「おう、おめーら後でちゃんと説明してやるからな!とりあえず今言えることは1つです!給料以上の仕事はしてはいけない!!!これが新しいマナーです!よろしくお願いしまああああああす!!!」
「「「やったああああああああああ!!!」」」
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