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さらば、行政改革ギルド
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「うーん、なんだかよく分かんないから、文書にして出してくれない?」
「ですが……」
「いいから!!あのさー、上司に分かりやすく説明しないとダメでしょ?それに、口頭での報告って失礼じゃないの?」
「……申し訳ございません」
「俺明日は会議だから、今日中に直してメールしてよ。明日の朝通勤中に確認するから。いい?今日中だからな?」
「はい」
――中央ギルド。大日本帝国の中枢を司る政治組織であり、およそこの国の実権の大半を握る部署である。現代日本でいう内閣府にあたるが、選挙による国民投票で職員が決定するわけではない。基本的には上級国民を始めとする特権階級で構成されており、家柄や地位によってほぼ職級が決定される世襲制に近い状態だ。
先程怒られていたのは、やはり特権階級とはいっても下の地位の人間であり、上司である上位の階級には逆らえないのである。また、権力を盾に部下に散々な注文をするものも多く、いわゆるパワハラなどのハラスメント行為も横行しているのが現状だ。
「なんで俺ばっかり……」
先程叱られていた彼は、今年中央ギルドに入って3年目になる。だが毎日のように上司にいびられ、叱られ、もう彼の心は限界に近付いていた。いや、とっくに限界だったのだろう。
時刻は夜の0時をとっくに過ぎており、午前3時頃。彼は上司にメールを打って中央ギルドを出た帰りだ。彼の頭は『今日中にメールの送信ができず、午前1時の送信になってしまった。また怒られる』という気持ちでいっぱいであった。だから気付かなかったのだろう。
「うわああああああ!!!!どいてくれえええええええええ!!!!」
「……え?」
ガシャアアアアン!!!という爆音と共に、彼の身体は宙を舞った。スローモーションで世界が動く。そうして空を飛びながら周りを見渡せば、なるほど猛スピードの馬車に突っ込まれたのかと理解した。御者はまだ若く、馬車も随分と改造された車高の低い仕様だ。車高の低さは知能の低さとは誰の言葉だったか。
とにもかくにも、自分は馬車に轢かれて吹き飛ばされ、そのまま空を飛んでいるということだ。すなわち、事故にあったということ。ああ、そう思った途端、身体中に焼けるような痛みが襲ってきた。痛い。痛い。痛い痛い痛い。
ふと前を見ると、焼肉屋が目の前にあった。最近食べていないなと悠長なことを考える。そうでもしないと、この痛みには耐えられないから。だが、気付けば段々と焼肉屋が近付いてくる。いや違う。自分が焼肉屋に近付いているのだ。馬車に轢かれ、勢いを殺すことなく焼肉屋の壁が近付く。
このままでは自分は壁に叩き付けられ、助かることはないだろう。だが、それもいいのかもしれない。このまま中央ギルドで働いていても、何も良いことがないだろう。国のために働くとは口ばかりの老害のせいで、まともにギルドは機能していない。そのくせ、自分は何もしていないのに自分のような地位の低い人間を痛め付け、利権ばかりを貪っている。……正直、もう疲れた。ああ、お父さん、お母さん。今度帰る時は――。
ぐしゃ。
そうして。
名前も知らない彼の24年の生涯は、本当にあっけなく終わりを告げた。
「ですが……」
「いいから!!あのさー、上司に分かりやすく説明しないとダメでしょ?それに、口頭での報告って失礼じゃないの?」
「……申し訳ございません」
「俺明日は会議だから、今日中に直してメールしてよ。明日の朝通勤中に確認するから。いい?今日中だからな?」
「はい」
――中央ギルド。大日本帝国の中枢を司る政治組織であり、およそこの国の実権の大半を握る部署である。現代日本でいう内閣府にあたるが、選挙による国民投票で職員が決定するわけではない。基本的には上級国民を始めとする特権階級で構成されており、家柄や地位によってほぼ職級が決定される世襲制に近い状態だ。
先程怒られていたのは、やはり特権階級とはいっても下の地位の人間であり、上司である上位の階級には逆らえないのである。また、権力を盾に部下に散々な注文をするものも多く、いわゆるパワハラなどのハラスメント行為も横行しているのが現状だ。
「なんで俺ばっかり……」
先程叱られていた彼は、今年中央ギルドに入って3年目になる。だが毎日のように上司にいびられ、叱られ、もう彼の心は限界に近付いていた。いや、とっくに限界だったのだろう。
時刻は夜の0時をとっくに過ぎており、午前3時頃。彼は上司にメールを打って中央ギルドを出た帰りだ。彼の頭は『今日中にメールの送信ができず、午前1時の送信になってしまった。また怒られる』という気持ちでいっぱいであった。だから気付かなかったのだろう。
「うわああああああ!!!!どいてくれえええええええええ!!!!」
「……え?」
ガシャアアアアン!!!という爆音と共に、彼の身体は宙を舞った。スローモーションで世界が動く。そうして空を飛びながら周りを見渡せば、なるほど猛スピードの馬車に突っ込まれたのかと理解した。御者はまだ若く、馬車も随分と改造された車高の低い仕様だ。車高の低さは知能の低さとは誰の言葉だったか。
とにもかくにも、自分は馬車に轢かれて吹き飛ばされ、そのまま空を飛んでいるということだ。すなわち、事故にあったということ。ああ、そう思った途端、身体中に焼けるような痛みが襲ってきた。痛い。痛い。痛い痛い痛い。
ふと前を見ると、焼肉屋が目の前にあった。最近食べていないなと悠長なことを考える。そうでもしないと、この痛みには耐えられないから。だが、気付けば段々と焼肉屋が近付いてくる。いや違う。自分が焼肉屋に近付いているのだ。馬車に轢かれ、勢いを殺すことなく焼肉屋の壁が近付く。
このままでは自分は壁に叩き付けられ、助かることはないだろう。だが、それもいいのかもしれない。このまま中央ギルドで働いていても、何も良いことがないだろう。国のために働くとは口ばかりの老害のせいで、まともにギルドは機能していない。そのくせ、自分は何もしていないのに自分のような地位の低い人間を痛め付け、利権ばかりを貪っている。……正直、もう疲れた。ああ、お父さん、お母さん。今度帰る時は――。
ぐしゃ。
そうして。
名前も知らない彼の24年の生涯は、本当にあっけなく終わりを告げた。
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