虚辞の悉皆

XXX

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ばたんと重そうなドアが閉まる音がすると同時に降ろしますよという低い声が聞こえた。それにこくりと頷くとお尻にふかふかな感触が走った。ぎしりと音が響く。

「さてライ。まずは足を温めましょうか。このままではかゆくなってしまう。」
「すみません。」
「いえ、貴女が逃げ出したんじゃないとわかったので大丈夫です。」

ベッドに座っている私の足元に跪き、ベルムさんが足を綺麗な細い指で触れてくる。だが普段から人に体を触られた事があまりないせいなのか、無性にくすぐったくて仕方ない。でもここで嫌がったらベルムさんにまた迷惑をかける事になる。そう思い、必死にくすぐったさを我慢する。笑いそうになるのをベルムさんを蹴りそうになるのをどうにか抑え。

だがしかしついに我慢の限界にきた私は思いっきりベルムさんの肩を足で押してしまった。
突然の私の行動に彼が綺麗な顔を上げ、私を見上げてくる。でもその間も彼の手は私の足に触れていて。
今まで堪えていた物が一斉に私の口から零れた。

「ベ、ベッルムさ、くす、くすぐった、むり、くすぐったい。」

くすぐったさで自然と零れる笑いにベルムさんはポカーンとした顔をしたあと、綺麗な顔で何かいい事を思いついた子供のような表情をした。

「なるほど。ライは足を触られるとくすぐったがるのですね。」
「ちょっ、べ、るむ、さ、めっちゃ、むりむり、くすぐったい。」
「血流を良くするために揉みますから耐えてください。」
「へ、むりむり、むり!べっ、くっ、くすぐったい!しぬしぬ!」

ギャハハと何年ぶりか、心の底から零れだす笑い声とくすぐったさから逃れようと自然と足が暴れだす。ネグリジェを着てパンツが丸見えになりそうだがそんな事くすぐったさで悶絶している私にとってはどうってことはない。

だがベルムさんはそんな私の足を上手に掴み何故だか楽しそうに笑っている。いい加減揉むのをやめてほしい。人に触られているからこんなにくすぐったいのだ。自分でやる。と途切れ途切れ言葉にしようとした時だった。たまたま私の暴れる足を彼の手が掴み損ね、どさりと彼が上におぶさってきた。
自然とベルムさんにベッドに押し倒される形になる。

上を見ると彼の顔がとてつもないぐらい近くにあった。やけに静か上を見ると彼の顔がとてつもないぐらい近くにあった。やけに静かだ。なんだ、なんだなんだこの恋愛漫画にありそうな急展開は。やめていただきたい。化粧も何もしていない顔をこんな間近で見るのはやめていただきたい。毛穴が汚いから見ないでいただきたい。そうは思うのだが、未だに彼の綺麗な宝石のような目から目が離せないでいる。

睫毛の先まで綺麗な銀色で毛穴ほくろシミ一つないってどういうことよ。人間じゃねぇ。いや、人間じゃないじゃん。ていうかいつまでこの状態でいなければいけないの。素数。素数を数えよう。そうしようと思った矢先、彼の薄い唇が動く。

「ライ。」

酷く優しく甘ったるい声が耳に響く。
やめてほしい。切実にそんな甘ったるい声で名前を呼ばないで。
くらくらとするぐらい甘い香りがする。

「ライ。ライは私の運命の番になってくれると言いましたよね。」
「……は、い。」
「それは私の事を愛し、私に愛され、そして私と交わるという事ですよ。」

理解していますよね。と耳元で酷く甘い声で囁かれぞわりと背中に何かが駆け巡った。
なんだこれは。ていうか何で私はこんなにもどきどきと彼を見るとするのだろうか。

正直運命の番になると頷いたものの何をすればいいのかさっぱりわからないのが本音である。愛し愛されればいいと言われてもそもそも根本的に私は彼を愛せるのだろうか。
彼が私の事をとても大切にしてくれている事はわかる。だが私も彼と同じぐらい彼の事を大切にできるとは限らない。

どう愛せばいいのかわからないのだ。愛され方も。
彼に大切にされていることはわかる。だがそれは愛と断言できるのか。愛とは一体何なのか。何が正解なのか私には何もわからない。

「わ、たし。」
「ではまず、キスをしましょうか。ライ。」
「へ?」

彼の言葉に口から自然と言葉がこぼれた。
なんだその今日の夕飯は焼肉がいいなあみたいな軽い感覚は。

「さあその小さな可愛らしいお口を開けて?」
「へっ、ちょ、ベルむっ、んっちゅっ、ふぁっ」
「んん、上手。もっと厭らしく舌を絡めましょうか。嗚呼、唾液が零れてしまう。飲んで?」

ぐちゅぐちゅとどちらの唾液かもわらかない液体が口の端から零れ落ちていく。
ベルムさんはそれを見ると一度絡めてくる舌を止め、零れていく唾液を掬い取りまた口の中へと入れて飲ませてくる。

何だこれは。なんなのだこれは。言っておくが私はファーストキスである。こんな激しいファーストキスを体験するだなんて思っても居なかった。何故こんなハードなキスをしているのだろう。
そう思い、どうにかキスをやめてもらうために言葉を発そうと口を開けるが、その度に彼の舌を受け入れる事になってしまっている。
どうしよう。

「んっぢゅっ、はぁっ可愛い。ライ。愛しています。ぢゅっ、んん、もっと卑猥なキスをしましょうか。」
「ぁっ、ベ、る、やめっ、」

酸素が足りないせいか酷く頭がくらくらするし、どこからともなく香ってくる甘い甘い香りに更にくらくらする。
初めての事にやばいと心の底から思いながら、また長いキスをされていると履いている下着の向こう側に何かがふれた。それは紛れもなく彼の長く綺麗な指で。本当にやばいと脳が危険信号を鳴らす。

だがしかしがっちりと足の間にいるベルムさんに頭と足を固定され、身動きが何一つとれない。
ただの強姦じゃねーか。と思うのだが、本当に嫌だったらもっと暴れているのできっと私の心の奥底では喜んでいるということだろう。

なんだかそう考えると自分が淫乱になった気分だ。やめてほしい。そう頭で冷静に思っている間も彼の行動はどんどん大胆になっていき、はじめは下着の上から撫でまわすだけだったのに気付いたら下着の横から指が入ってきている。ぐちゃりと音が響く。

「っ可愛い可愛い。ライ。もっと乱れたお前が見たい。」
「やっ、ちょ、んん、べるむっさ、んん。」

言うや否やベルムさんは着ているネグリジェを凄い速さで器用に私の胸元まであげる。
もともと下着を胸はつけていなかったせいか全てがむき出しになった。流石にこれは私でも恥ずかしい。
そりゃあろうだろう下着の横から指を入れられ、胸をむき出しにされキスをされているのだから。

本当に何をどうしてこうなったのか今でも理解できない。でも確かに言える事はこの行為を口ではやめてといいつつも本心では気持ちいと思ってしまっている自分がいるということだ。

色んなはじめての感覚にどんどん濡れてぐちゅぐちゅいい始めるそこをどうやったら止める事ができるのか考えていると、やっと口から彼の薄い口が離れた。これでやっと一呼吸ができると思ったのもつかの間。ベルムさんの薄くて形のいい唇は私の首、鎖骨へと移動していき、最終的には胸の、一番てっぺんにとまった。

「ああ、お前の体はどこもかしこも甘い。早く私の元に堕ちてしまえばいい。無駄な事等考えず、本能のままに従えばいい。愛しているよライ。」

恍惚とした表情で私に愛を囁くと、彼は何の躊躇もなしに興奮しているせいか尖りに尖っている胸の先をくわえた。そして舌先で優しく舐めだしたかと思うと少し強めにちゅうちゅうと母乳でも吸い出すかのように吸ってくる。
その光景に子宮の奥がきゅんとしたのがわかった。これが所謂母性本能というやつなのだろうか。必死に胸を吸ってくる彼が酷く愛おしくてしょうがない。

胸元に押し付けられている彼の後頭部に手をやり、優しく撫であげるとずっと止まっていた下着の中の指が厭らしく動き出した。

「やっ、あっ、んん、ど、どぅじは、だっ、だ、め。」
「ぢゅっ、あ、可愛い可愛い可愛い可愛いライ。可愛い。私だけのライ。」
「ぐちゅ、ぐっ、ちゅ、しなっ、あっ。」
「ん?何故?ぐちゅぐちゅしなければお前が痛いだけだよ。」
「んんっ、か、かたほっぅ、にっ、して。」
「だあめ。もっと乱れて私だけを欲して。」
「やっ、み、ないっで、そこ、やっ、だ。」
「ここをクリクリすると気持ちがよくなるんだよ。嗚呼、たまらない。」

ベルムさんは私の首筋を少し強めにぢゅと吸った。その行為がキスマークをつける行為だということは未経験の私にもわかって。青色になったらどうしようなんて場にそぐわない事を思っていると、彼の親指が私の一番敏感な突起をいじりだした。

はじめての感覚にどうしていいのかわからず、ぞくぞくとこみあげてくるものに足の先がピンと張る。
ぴくぴくと動き出した体に彼は気をよくしたのか、執念深くいじっていた突起から指をどけ、そこに固い物をこすりつけてきた。それが何なのかは大体想像がつく。

「やあっん、い、れないっでぇっ。」
「ん、は、どうして?ここにこれが入ればとても気持ちがいいんだよ。」

いつ取り出したのだろう。熱いその塊を割れ目にそってあてがいながら腰を動かしてくるベルムさん。
ぐちゅぐちゅとどちらの体液かわからない音が2人っきりの部屋に響く。

少し気になり、恐る恐るこすりつけられている場所へと目を向ければそこには信じられない大きさのものが存在した。それを見て一瞬どころか瞬間に体の動きが止まった。
はいるわけがない。そんな先がでっぱって大きなものが。
ふわふわとぞくぞくとした感覚が瞬時に覚めてしまい、上にいるベルムさんに顔を向ければ彼は少し困ったように笑った。

「怖い?」

彼の言葉に物凄い勢いで顔を縦に振ればまた更に苦笑いをされる。
処女なのだから怖くて当然であろう。恋人がいる女性はあんなに大きな物をいれるのか。日本人男性の大きさについてあまりよくわかってはいないが、如何せん無理である。
例え赤ちゃんが生まれる場所であろうが、無理である。
そんな私の気持ちがわかるのか、ベルムさんは大丈夫と優しく呟きおでこにキスをしてきた。

「毎日慣らしていけばいつかは入ります。ライの気持ちに決心がついたらいれさせて?それまで、はっ、これで。」
「っぁ、あっ、ん、やっ、うごかっ、な、ひゃっ、あぁ、んん、」

上にいる彼の動きが激しくなったと思った瞬間、刺激が全身を駆け巡る。
ぐちゅぐちゅやらびちゃびちゃやらよくわからない粘着質な音とベットのギシギシいう音が耳を支配した。

「っはぁ、あっ、ライ、ライ。腰が動いてる。気持ち、いんだね。っぁ、ああ、乳首も、舐めてあげる、ね。」
「あぁっ、やぁっ、ん、ひゃっ、なめ、ちゃ、んんっ」
「ぢゅっ、んっ、あ、ま、いにち、私としま、しょうね?」
「や、むりっ、ん、ひ、かまなっ、やっ、」

ぢゅるぢゅる音を立てながら私の乳首を吸い上げ、腰の動きを早くするベルムさん。
全身がぴくぴくと痙攣をしはじめ、何かが全身を駆け巡ったかと思うと一瞬にして頭の中が真っ白になった。

「ひゃあっ、あああっ、やっ、ああん。」
「んんっ、はっ、」

何も考えられなくなるほどの快感にびくびくと体を震わせていると、お腹のあたりに熱い物がとびちる。うつろう意識の中お腹に目をやれば大量の白い液体がついていて。
上を見上げればとても嬉しそうで幸せそうなベルムさんの顔があって。

もうどうにでもなってしまえと凄い眠気に襲われ私はそっと目をとじた。
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