残念魔王とロリ邪神は移動図書館で異世界を巡る

日野 祐希

文字の大きさ
5 / 113

邪神様の有り難くない忠告

しおりを挟む
 セシリアからもらった邪神パワーで快調に草原をかけぬける万桜号。
 目指すはヴァン王国とかいう国。
 で、くだんのヴァン王国へと向かう道すがら……。

「そういえばさ、お前の神様パワーって、お願いすれば俺以外でも使うことができるわけ?」

「んにゃ。わらわが憑りつ――契約して力を貸せるのは一人までじゃ」

 ……ツッコまないぞ。
 なんかとてつもなく嫌なワードを聞いた気がするが、絶対にツッコまんぞ。

「わらわがお主を選び、お主がこの世界に来るのを選んだ時点で、契約は成立した。故に、今、わらわが力を貸せるのはお主だけじゃ」

「お前、数時間前に『適当に呼んだ』って言ったよね! しかも、俺に選択権なんてなかったよね!?」

 ダメだ。我慢できんかった。
 ていうか、何その騙し討ち的な契約。完全に詐欺じゃん。
 すぐ騙されやすそうなやつだと思っていたが、こいつもこいつで極悪人だ。
 やっぱりこいつ、立派に邪神だった。

「故に、わらわはお主が近くにいなければ、清楚で可憐、見目麗しく愛らしいだけのただの美少女でしかないのじゃよ。残念なことにな」

 一文の中でどれだけ自分を褒めれば気が済むんだ、このジャリ。
 それと、少しは俺の話を聞け!
 そして心の底から全身全霊をかけて謝罪しろ!

「なので、努々わらわへの気遣いを忘れるでないぞ。できれば信仰してくれるとなおよしじゃ。ああ、お供え物は甘いものがよいのう。ケーキとか最高じゃ」

「そこら辺の石でも食ってろ」

「ガウッ!」

 冷たくあしらったら、俺の頭に食いついてきやがった。
 チッ!
 面倒くさいやつだ。

 とはいえ、こいつがいないと俺もチートな能力が一気になくなるのも事実。
 とりあえず、このロリ神から目を離さないようにしておこう。
 騙されやすそうなことに変わりないだろうから、お菓子とかに釣られて簡単に誘拐されそうだし……。

「ああ、それとな、ヨシマサ。契約の話が出たのでついでなのじゃが……。お主、魔王になったからって、ここらの小説に出てくるようなハーレムを作ろうとか考えるなよ」

 再びパソコンで某小説投稿サイトを見せつつ、そんなことを言うロリ邪神。
 ん? どういうことだ?

「は? なんで? 俺、魔王なんだよな。仮にも王様なんだよな。なんでハーレム作っちゃいかんの?」

 自慢じゃないが、大奥くらい作ってかわいい女の子をたくさん囲う気満々でした。
 毎日ウハウハする気満々でした。

「いやまあ、その……。なんでかと言われるとな……」

 なんだか歯切れの悪い様子のロリ神様。
 ふーむ。これはもしや、ハーレムを作ってはいけないのには重大な秘密が……。
 あ、いや。もしかして民衆からの好感度がどうのこうのって方の理由か?

「お主の顔……、悪くはないが、別に取り立ててイケメンというわけでもないし……。何より性格が三下の小物っぽいし……。――うむ! ハーレム作ろうとしても、ひどく残念な結果になるだけじゃと思うぞ。故に悪いことは言わん。自らを傷つける前に、すっぱり諦めよ!」

「車から放り出すぞ、クソガキ!」

 彼女いない歴=年齢の純情チェリーボーイに辛い現実突きつけやがって!
 ぜってぇ許さねぇ! (←血の涙を流しつつ)

「まあまあ、落ち着け。五厘ほど冗談じゃから」

「なんだ、そうか。……………………。――って、一瞬納得しそうになったが、五厘って0.5%だろうが。99.5%本気じゃねえか!」

「チッ! 気づきおったか」

 面倒くさそうに舌打ちするセシリアちゃん。
 ちくしょう!
 童女のくせにバカにしやがって!
 
「ハハハ。まあ、ぶっちゃけ何が言いたいかというとじゃな、魔王たる者、規律を守ることが大事ということじゃ。たくさんの女を囲っておっては、それだけで性が乱れるでな」

 心の中で血の涙を流していたら、なんか諭されてしまった。
 23歳童貞魔王に男女間の風紀を説くロリ邪神……。
 なんなんだろうな、この状況……。

「まあいいや。つまり、お前は俺がたくさんの女性と【ピーッ!!】したり、【ズッキューンッ!?】したりすると風紀が乱れるって言いたい……」

「わーっ!? ガウガウッ!!」

 無茶苦茶噛まれた。
 どうやら放送禁止用語に耐えられなかったらしい。
 耳年増なくせに随分とウブなヤツだな。
 邪神のくせに……。
 ハーレムを阻止しようとするのも、実はそこら辺が理由か?

「と・も・か・く・じゃ! わらわの目が黒い内はお主にハーレムなんぞ作らせん。努々忘れるでないぞ!」

 ツーンとそっぽを向くセシリアちゃん。
 ……ふむふむ、なるほど。
 どうやら俺は、勘違いをしていたようだ。
 これは、つまり――。

「つまり、『わらわというものがありながら、他の女に目移りするなど言語道断! そんなことしたら、わらわ怒っちゃうぞ、プンプン!』ということだな」

「言っとらんわーっ!!」

 顔を真っ赤にして叫ぶセシリア。
 図星を突かれて恥ずかしくなったのだろう。
 かわいいじゃないか、このツンデレさんめ。

 だが、すまんな。いくら神様とはいえ、見た目十歳は守備範囲外なんだ。
 心苦しいが諦めてくれ。

 ただまあ、俺に心奪われちまったいたいけな少女(見た目のみ)の頼みだ。
 大奥――というか、ハーレムはとりあえず断念してやるとしよう。
 感謝しろよ、子猫ちゃん。

 ――なんてやり取りをしながら万桜号を走らせること数時間。

 日もどっぷり暮れて、真夜中と言える時間になったころ。
 俺たちは草原を横断するバカでかい川の畔にたどり着いた。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!! 2巻2月9日電子版解禁です!! 紙は9日に配送開始、12日発売! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

処理中です...