59 / 113
過去最高の興行
しおりを挟む
「――おっと、そろそろ仲間と合流しないといけないな。ヨシマサ、セシリア、ぼくもそろそろお暇するよ」
「おうおう! さっさと行ってしまえ!」
勇者にあっかんベーするセシリア。
喧嘩のテンションと勇者と同じ空気を吸い過ぎたことによる感覚麻痺で、一時的にトラウマを乗り越えたらしい。
おかげで地が出て、ものすごい強気だ。
「あはは。随分嫌われてしまったね。まあ、無理もないか」
少し寂しそうに微笑む勇者。
ここまで言われても怒らないのか、こいつ。大したもんだ。さすがは勇者。
俺だったら即キレて全面戦争だが。
と、そこで勇者が名案でも思いついたように、手をポンッと打った。
「そうだ。ここで会えたのも何かの縁。せっかくだから、今晩一緒に食事でもどうかな? 君たちがどんな旅をしてきたのかも興味あるし」
「ハン! なんで勇者なんぞとメシを食わねばならんのじゃ。おことわ――」
「乗った!」
「――りじゃ……なんじゃと!!」
セシリアが信じられないようなものを見る目で俺を見る。
フフフ。
甘いぞ、セシリア。
確かに勇者と一緒にメシなんぞ、俺だって嫌だ。
何を好き好んでこんなイケメンとメシを食わんといけないのだ、って感じだ。顔が良い男に用はない。
――だがな……俺の目下の敵はお前だ、セシリア!
先程の非道な仕打ち、忘れたとは言わさん。
貴様に嫌がらせするためなら、俺はイケメンとメシに行くことさえ厭わない!
「くっ! こんな時に無駄な覚悟を固めおって。この裏切り者が!」
「フハハ! なんとでも言うがよい! だが、決まったものは決まったもの。貴様には、勇者との会食を楽しんでもらうぞ」
「キーッ!! ヨシマサの分際で調子に乗りおって! ブサイク! 童貞! 脳筋専門ホモ野郎!」
「誰がホモ野郎だ! 俺は道行く女性のバストサイズを常に計測しているくらい、純度100%のノーマルだ!」
余計なことを口走りながら、セシリアとの取っ組み合い第2ラウンドを開始する俺。
なお、俺の言葉に勇者目当てで集まっていた女性陣が汚物を見る目をして三歩ほど引いたが、気にしないことにした。
ああ、心の汗が目に染みるぜ!
俺の口よ、お前はどうしてそうも正直なのだ。
あと、勇者は「それじゃあ、夕方に迎えに来るから」と言って、爽やかに颯爽と去っていった。
立ち去るだけでも無駄に絵になるな、あの爽やかイケメンは。
本当にいけ好かないヤツだ。
「隙ありじゃ! くらえ!」
「ぬおっ!」
去っていく勇者を目の端に捉えていたら、セシリアがチャンスとばかりに股間へ向かって蹴りを繰り出してきやがった。
このクソガキ、美少女キャラを崩壊させて、何て恐ろしい攻撃をしてくるんだ。
見ろ! 見物していた野郎どもが、一斉に股間を押さえて顔を青くしてるじゃないか!
第一、俺のが使い物にならなくなったらどうすんだ!
「その時は世の中平和になって万々歳じゃろうが! それにどうせ使う機会なんて一生来やせんのじゃから、大人しく潰させろ!」
「貴様、チェリーボーイの夢を砕くようなことを次々に言いおって! 今日という今日は許さん!」
執拗に股間を狙ってくるセシリアをいなし、カウンターでジャイアントスイングを仕掛ける。
しかし、俺の意図に気付いたセシリアは異次元収納空間から釘バッドを取り出して地面に突き立て、回転を抑えてきた。
同時に俺の拘束から抜け出し、セシリアがバッドを振り被る。
だが、俺だって黙っちゃいない。懐から市場で買った水鉄砲(竹製の注射器っぽいやつ。中身は香辛料を溶かした水)を取り出し、一気に吹き付ける。
セシリアが慌てたところで釘バッドを奪い、形勢逆転だ。
「ぬう! 飛び道具を使うとは卑怯な!」
「改造エアガン使ってくるやつに言われたかねえ!」
次々と攻守が入れ替わる、息もつかせぬ攻防戦。
何でもありの異種格闘技戦に湧く観客たち。
俺とセシリアの大喧嘩は、勇者が再び戻ってきて、止めに入るまで続いたのだった。(ちなみに、今回の喧嘩で得たおひねりは、この国に来て以来最高の600ゴルドだった)
「おうおう! さっさと行ってしまえ!」
勇者にあっかんベーするセシリア。
喧嘩のテンションと勇者と同じ空気を吸い過ぎたことによる感覚麻痺で、一時的にトラウマを乗り越えたらしい。
おかげで地が出て、ものすごい強気だ。
「あはは。随分嫌われてしまったね。まあ、無理もないか」
少し寂しそうに微笑む勇者。
ここまで言われても怒らないのか、こいつ。大したもんだ。さすがは勇者。
俺だったら即キレて全面戦争だが。
と、そこで勇者が名案でも思いついたように、手をポンッと打った。
「そうだ。ここで会えたのも何かの縁。せっかくだから、今晩一緒に食事でもどうかな? 君たちがどんな旅をしてきたのかも興味あるし」
「ハン! なんで勇者なんぞとメシを食わねばならんのじゃ。おことわ――」
「乗った!」
「――りじゃ……なんじゃと!!」
セシリアが信じられないようなものを見る目で俺を見る。
フフフ。
甘いぞ、セシリア。
確かに勇者と一緒にメシなんぞ、俺だって嫌だ。
何を好き好んでこんなイケメンとメシを食わんといけないのだ、って感じだ。顔が良い男に用はない。
――だがな……俺の目下の敵はお前だ、セシリア!
先程の非道な仕打ち、忘れたとは言わさん。
貴様に嫌がらせするためなら、俺はイケメンとメシに行くことさえ厭わない!
「くっ! こんな時に無駄な覚悟を固めおって。この裏切り者が!」
「フハハ! なんとでも言うがよい! だが、決まったものは決まったもの。貴様には、勇者との会食を楽しんでもらうぞ」
「キーッ!! ヨシマサの分際で調子に乗りおって! ブサイク! 童貞! 脳筋専門ホモ野郎!」
「誰がホモ野郎だ! 俺は道行く女性のバストサイズを常に計測しているくらい、純度100%のノーマルだ!」
余計なことを口走りながら、セシリアとの取っ組み合い第2ラウンドを開始する俺。
なお、俺の言葉に勇者目当てで集まっていた女性陣が汚物を見る目をして三歩ほど引いたが、気にしないことにした。
ああ、心の汗が目に染みるぜ!
俺の口よ、お前はどうしてそうも正直なのだ。
あと、勇者は「それじゃあ、夕方に迎えに来るから」と言って、爽やかに颯爽と去っていった。
立ち去るだけでも無駄に絵になるな、あの爽やかイケメンは。
本当にいけ好かないヤツだ。
「隙ありじゃ! くらえ!」
「ぬおっ!」
去っていく勇者を目の端に捉えていたら、セシリアがチャンスとばかりに股間へ向かって蹴りを繰り出してきやがった。
このクソガキ、美少女キャラを崩壊させて、何て恐ろしい攻撃をしてくるんだ。
見ろ! 見物していた野郎どもが、一斉に股間を押さえて顔を青くしてるじゃないか!
第一、俺のが使い物にならなくなったらどうすんだ!
「その時は世の中平和になって万々歳じゃろうが! それにどうせ使う機会なんて一生来やせんのじゃから、大人しく潰させろ!」
「貴様、チェリーボーイの夢を砕くようなことを次々に言いおって! 今日という今日は許さん!」
執拗に股間を狙ってくるセシリアをいなし、カウンターでジャイアントスイングを仕掛ける。
しかし、俺の意図に気付いたセシリアは異次元収納空間から釘バッドを取り出して地面に突き立て、回転を抑えてきた。
同時に俺の拘束から抜け出し、セシリアがバッドを振り被る。
だが、俺だって黙っちゃいない。懐から市場で買った水鉄砲(竹製の注射器っぽいやつ。中身は香辛料を溶かした水)を取り出し、一気に吹き付ける。
セシリアが慌てたところで釘バッドを奪い、形勢逆転だ。
「ぬう! 飛び道具を使うとは卑怯な!」
「改造エアガン使ってくるやつに言われたかねえ!」
次々と攻守が入れ替わる、息もつかせぬ攻防戦。
何でもありの異種格闘技戦に湧く観客たち。
俺とセシリアの大喧嘩は、勇者が再び戻ってきて、止めに入るまで続いたのだった。(ちなみに、今回の喧嘩で得たおひねりは、この国に来て以来最高の600ゴルドだった)
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる