残念魔王とロリ邪神は移動図書館で異世界を巡る

日野 祐希

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わかってる、わかってるから……

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「ああ。まあな。――明日の朝、この国を発つことにした」

 勇者の問いに、軽い調子で応える。

 さすがに暴力沙汰、それも今は罪人になっちまったとはいえ、国を治める貴族一族への暴行をやっちまったからな。
 無罪放免とはいかなかったわけだ。
 状況がアレだったこともあって、かなり情状酌量で減刑されたけど、結果的にこの国から出ていくということで落ち着いた。
 期限は一週間以内とのことだったが、まあ早いに越したことはないので明日ということにしたんだ。

 正直に言えば、残念なことこの上ないがな。
 もう少しここで、平和に暮らしていたかったんだが……。
 まあ、それで丸く収まって市場街の連中にも迷惑が及ばないってんなら、万々歳ってとこだろう。(ちなみに、騎士さんたちからも「本当にすまない……」って謝られた)

「セシリアも次の街へ行きたいとか喚いていたしな。まあ、頃合いってやつだ。次の国が、俺たちを待っているんでね」

「そうか……。わかった。君たちの旅が実り多いものになることを祈っているよ」

「サンキュー、アルフレッド」

 勇者に礼を言い、俺も自分の紅茶をあおる。
 こいつの行きつけの店だけあって、味は折り紙付きだ。
 茶葉の良し悪しなんて俺にはわからんが、これが超一級品の茶葉だってことだけわかるぜ。
 ペットボトルの紅茶とは格が違う。

「やれやれ、茶葉の違いさえ分からんとは……。これじゃから、野蛮人は……」

「うるせえ。今はてめえも似たようなもんだろうが」

 セシリアと憎まれ口を叩き合うところまでが1ターン。
 茶も飲み終わったら、店の前で一度勇者と別れる。
 そのまま勇者はフレアちゃんたちのところへ戻り、俺とセシリアはユーリとクレアを食事に誘いに行った。
 二人の返事はもちろんOK。
 案の定、勇者とメシが食えるってんで、とても喜んでいた。
 善きかな、善きかな。
 感謝しろよ、二人とも。

 かく言う俺も、実に楽しみだ。
 フレアちゃんやシェフィルさんと高級ディナー……。
 くーっ!
 考えただけで興奮するぜ。

「ヨシマサ、いい加減あの娘たちは諦めよ……。またつらい現実を見るだけじゃぞ……」

「…………。言うな、セシリア。わかってる。わかってるから……。(シクシク、シクシク……)」

 そう言った俺の肩を、セシリアが「泣くな、ヨシマサ。明日はきっといいことがあるのじゃ」と労わるようにポンポンと叩く。

 お空はこんなに明るいのに、世の中とはどうしてこうも無常なのだろう。
 あいつは美女揃いのハーレムで、俺は邪神にさえ慰められる始末……。
 真っ青な夏の空を見上げ、俺はホロリと涙を零した。
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