残念魔王とロリ邪神は移動図書館で異世界を巡る

日野 祐希

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一蓮托生だ!

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「にゃわわ! いきなり何すんじゃい!!」

 絹糸みたいな髪を乱れさせ、目の端に涙をうかべたセシリアが、非難がましく俺を見る。
 対して俺は、知らん顔でそっぽを向きつつ――こう言い放った。

「……俺は、いなくなんねえよ」

「……は?」

 胡乱気に眉根を寄せて、俺を見るセシリア。
 どうやら俺の言いたいことがまったく伝わっていないらしい。
 いらんところはすぐ気付くクセに、なんでこういうとこだけ察しが悪いんだ、こいつ。

 ホント、面倒くせえな。
 まあいいや。
 今回は特別に、ちゃんと言ってやるか。

「だ・か・ら! 俺はてめえのことを絶対忘れないし、絶対てめえの前からもいなくならねえっつってんの!」

「――ッ! お主……」

 目を丸くして、ポカンとしたまま俺を見上げるセシリア。

 なんだよ、その妙に庇護欲をそそる顔は。
 ああ、くそ!
 なんだか、急に恥ずかしくなってきた。

「まあ、その、なんだ。お前がいなくなると、俺はチートも使えなくなっちまうし? 何より、俺をこの世界に呼び込んだのはお前なんだ。責任取って俺の旅に付き合ってもらうし……万が一お前がいなくなったら、地獄の底まで追いかけて必ずお前を見つけ出すからな」

 そう。
 こいつといっしょにいるのは、俺自身のためだ。
 あくまで俺のため。俺が安全安心な異世界ライフを送るためなんだ!
 べ、別にこいつを一人にするわけにはいかないとか、こいつのあんな寂しそうな顔をもう見たくないとか、そんなことを考えているんじゃないからね!
 勘違いしないでよね!!

「お前が何と言おうが、俺はお前のパートナーだ。つまり一蓮托生。絶対に一人になんかさせてやらないから、覚悟しておけよ」

 頭をバリバリと掻きながら、開いている方の手でビシッとセシリアを指さす。
 ああ、恥ずかしかった。
 こんなの、もう二度と言わねえぞ。

「――まったく、お主というヤツは……」

「あぁ? 何か言ったか?」

「まったくこのロリコンは、堂々ストーカー発言とか超キモイのう、って言ったんじゃ!」

「んだと、てめえ! 人がせっかく気を利かせて、元気づけてやろうとしたのに~! なんだよ、その言い草は!!」

「別に落ち込んでなんかいないわい。第一、お主に慰められるとか、逆に身の危険を感じてしまうわ!」

 ガルル……と犬歯剥き出しで睨んでやったら、このクソガキ、あっかんべーとかしてきやがった。
 ホント、かわいくねえな。
 心配して損した。

「ただまあ……」

「あん? なんだよ」

「いやなに、お主を一人にするのはさすがに可哀想じゃからな。こんな童貞ストーカー野郎、お巡りさんぐらいしか相手にしてくれないじゃろうし……」

「誰が童貞ストーカーだ。俺はちょっと情熱的なだけだ。ストーカーじゃない!」

「ストーカーは皆そう言うのじゃ」

 ああ言えばこう言うガキだ。
 忌々しい。

「故に、仕方ないからわらわがいっしょにいてやるとするか。お主を一人にしたら、誰にも相手にされず、憐れ過ぎて目も当てられなくなってしまうからのう」

 ニシシ! とセシリアが笑う。
 はいはい、そうですか。

「そんじゃ、地獄の底まで付き合ってもらうとしますかね」

「ハハハ! 苦しゅうないぞ。お供させてやる」

 付き合うの俺の方かよ。
 まあ、どっちでもいいけどね。

「で、次はどこへ行くつもりなのじゃ?」

「俺に聞かれても知るか。お前こそ、どっかいい目的地はないのか?」

「そうじゃのう……。もう少ししたら冬になるし、温かいところがいいのう」

「んじゃ、南にでも行くか」

 次の目的地も決まり、意気揚々と歩き出す。
 さてはて、南には一体どんな国があるのかね~。
 今から楽しみだぜ!

「……ありがとな、ヨシマサ」

「あん? なんか言ったか?」

 後ろから何か聞こえた気がして、セシリアの方に振り向く。
 けど、セシリアはただ首を横に振った。

「何も言っとらんわ。空耳じゃろう。まったくその年で幻聴とか、やめてほしいものじゃ」

「なんで一言しゃべるごとに貶されんといかんのだ。ふざけんなよ、クソガキ」

「フフン♪ 気にするでない。それもお主が持つ天性の気質じゃ」

 しゃべる度に貶される気質……。
 嫌な気質もあったものだ……。

「さあ、おしゃべりはここまでじゃ! 次の国目指してレッツゴーなのじゃ!」

「ヘッ……! ――オーッ!」

 セシリアに合わせ、拳を振り上げる。
 天気は快晴。正に旅日和。
 俺たちは愉快に陽気にウルス村を後にしたのだった。
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