ながれ星におりぼん

桐月砂夜

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あるよるの、かぼちゃのおはなし。

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やあやあ、みなさん。おそろいかな。
わたしはかぼちゃのエンターテイナー。
 
かおがよく見えないって?
いやいや、これがかおなのさ。
このかぼちゃがわたしのかおさ。
 
きみたちはずいぶんとすてきなかっこうをしているね。
そうさ、きょうはハロウィンだ。

ああ、わたしはエンターテイナーで、
みんなをたのしませるためだけに、このかぼちゃのあたまなのでね。
とくにハロウィンはかんけいないんだ。
 
しかしこのハロウィンというものがくるとね、みんなはわたしをみてくれる。
わたしをみて、わらってくれる。
だからわたしは、エンターテイナーになれるんだ。
 
みんなはとてもすてきだね。
いろいろなかっこうをして、きらきらとしている。
こんばんわたしがそのなかまになれるのは、とてもうれしいことだよ。

しかしほんとうはそんなことはどうだっていいんだ。
きみたちがあしたからも、これからも、エンターテイナーとなって、このせかいにいるのなら。

いいや、べつになんだっていいんだ。
なにができなくたって、いいんだよ。

わたしだって、エンターテイナーなのはこんばんだけさ。
しかしね、この日がくるのは、やはりうれしい。
うれしく、たのしくなってしまうのさ。

だからみんなも、そういったうれしい日がふえてゆくといいね。
みんながじぶんじしんの、エンターテイナーになるんだ。
このいみ、わかるかい?
 
あしたも、そのつぎのひも、わたしはただのかぼちゃになるけれど、どうだっていいのさ。
きょうの日のために、いきていたいのさ。
 
やあやあ、ここまではなしをきいてくれてありがとう。
さあ、キャンディをあげよう。
かぼちゃだって、キャンディくらいもっているんだよ。
じつにおもしろいことだね。
 
それじゃあ、みんなこんばんは。
ハロウィンのよるを、はじめよう。
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