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第1章 聖女系ヒロインと悪役系御令嬢

第1話 ヒロインの頭がおかしい

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「レイア様、今日も世界一、宇宙一お美しいです! レイア様のおかげで今日も世界は平和ですね!」


 あの衝撃の告白から1ヶ月、どんなに冷たくしてもヒロインマリナ様は毎日、毎秒私の元へやって来て飽きもせずに愛を伝えてくる。


 というか、最近は本当に意味が分からない。


 ちょっとこの子の頭が心配になってくる。


 この場合は精神科?


 それとも脳神経外科?


 もう手遅れかもしれないけど、早く連れて行かないと大変なことになるわ。


「無視しつつ歩幅は合わせてくれるところも好きです!」


 何だこいつ。


 本当に恐怖、何かに取り憑かれているの?


 頭の良いヒロインはどこへ家出してしまったの、早く戻ってきて、切実に。


「煩いわね……下民が貴族様に気安く話しかけないでくれる?」


 まさに悪役令嬢というべきセリフを言ったのに、彼女は私の前に跪く。


「もっと言ってください!」


 あ、駄目だこれ。


 大分頭がおかしいわ、もう手遅れね。


「いいわ、分かったからもう黙って、頭が痛くなってくるわ」
「え、大丈夫ですか!? 病院行きましょう、今すぐに!」


 そういうことじゃないのよね……。


「痛い痛い痛い、引っ張らないで!」


 どんな馬鹿力してんだ、腕取れる。


 貴族らしからぬ声を上げてしまったが、不可抗力だ。


「ごめんなさい! でも痛がってる姿も美しいです!」


 変態すぎる。


 何、そういう性癖?


 怖いんだけど。
 
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