1 / 4
初夏
しおりを挟む緑色の葉を茂らせた桜の木が夏の始まりを告げる、まだ涼しげな空気の朝。
2年3組の教室にいる生徒はまだ1人だけだった。
「おはよー」
「あ、愛美!おはよー」
自慢の艶やかな黒髪を窓から流れて来る風にふわりと靡かせながら教室に入る私。由紀は、読んでいた文庫本に栞を挟みながら振り返った。
「あれ?友志は?家近いよね?」
わざとらしく問いかけてくる由紀に、私は呆れ顔で答える。
「あいつなら、いつも通り遅刻じゃない?」
あいつったら、ほんと、彼女への気遣いってものが足りないよね。怒ったような声でそう言いながらも、本当は全く怒ってなどいない。
「そうだよね~。ごめんごめん、いつもラブラブな2人を見てると、つい意地悪したくなってさ」
そう言って「いひひ」と笑う由紀に、私はぷうっと頬を膨らませて返す。
「もうっ。
ていうか、由紀も彼氏とか作りなよー!夏だよ!恋の季節だよ!」
「えー?そういうのは好きな人ができたら考えるよ~」
恥ずかしそうに俯いてそう言う由紀に、私は思わずため息をこぼした。
幼馴染みである私でさえ由紀の恋バナを聞いたことがないのだ。この純真すぎる性格はじれったく、時には羨ましくもある。
「そんなんじゃ、一生彼氏できないよ?独身のままお婆さんになって死ぬなんて、私は絶対やだね」
「それは私も嫌だけど。愛美は良いよね、友志くんっていうカッコよくてモテモテの彼氏がいてさあ」
恨めしそうな目で私を見上げる由紀は、少し悔しそうだった。
「由紀可愛いし頭いいし、絶対モテると思うけどなぁ」
この真面目過ぎる脳みそさえ無ければ、の話だ。由紀の外見なら、彼氏の1人や2人はとっくに出来ていただろう。
ぱっちりとした大きな目に、スッと通った鼻筋。肌は透き通るような色白で、思い切ったショートヘアーも似合う美人だ。
勿論、中身も悪くない。母親がいないから毎日料理をしているらしく、家庭的な雰囲気や女子力は、その振る舞いからも時折感じられる。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる