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目覚め
密かな恋心
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「すみません...私としたことが」
「何度言っ...言ったら...分か、分かる...の...ッ」
アークの突拍子もない行動がツボに入ったのか、依然として笑い転がっているリリアに対し、アークは申し訳なさそうに俯き、私の世話係兼王宮使用人総括であるリリアに「一応」叱られていた。
「もういいわ...とりあえず出てって、着替えるから」
私が不機嫌そうに呟くと、アークは「失礼しました...」と頭を下げながら寝室を出た。
それと同時にリリアもやっと立ち上がり、ゆっくりと呼吸を整える。
それを見て私は深い溜息をつき、リリアに「ん」とドレスを差し出した。
「あら、姫様?お着替えはご自分でなさるのでは?」
そう言ってニヤつくリリアに「うるさい、時間ないから」とぶっきらぼうに言い放ち、そっぽを向く。
「もぉ~姫様ご機嫌を直してくださいよ~。
大丈夫、アーク様は姫様のお子様体型など微塵も気にしていな...」
「う、うるさいっ!」
気にしていたことを見事に言い当てられ、顔を真っ赤にしながらリリアの顔に枕を投げつける。
(それは、そうかもしれないけど。
でも、そういう問題じゃないっていうか。)
慌てて引き寄せた布団を頭から被りながら、心のなかで必死に言い訳をする。
そう、問題は...私がアークに恋をしているということなのだ。
優しく生真面目な性格で周囲の信頼も厚く、容姿端麗、頭脳明晰、その剣技の美しさは見る人を皆魅了する程。
姫が騎士団長に恋など、いけないことなのは百も承知だ。
しかし、それを差し引いても好きになってしまう程、アークは完璧な人間だった。
...ただ一つ、鈍感という点を除けば。
「何度言っ...言ったら...分か、分かる...の...ッ」
アークの突拍子もない行動がツボに入ったのか、依然として笑い転がっているリリアに対し、アークは申し訳なさそうに俯き、私の世話係兼王宮使用人総括であるリリアに「一応」叱られていた。
「もういいわ...とりあえず出てって、着替えるから」
私が不機嫌そうに呟くと、アークは「失礼しました...」と頭を下げながら寝室を出た。
それと同時にリリアもやっと立ち上がり、ゆっくりと呼吸を整える。
それを見て私は深い溜息をつき、リリアに「ん」とドレスを差し出した。
「あら、姫様?お着替えはご自分でなさるのでは?」
そう言ってニヤつくリリアに「うるさい、時間ないから」とぶっきらぼうに言い放ち、そっぽを向く。
「もぉ~姫様ご機嫌を直してくださいよ~。
大丈夫、アーク様は姫様のお子様体型など微塵も気にしていな...」
「う、うるさいっ!」
気にしていたことを見事に言い当てられ、顔を真っ赤にしながらリリアの顔に枕を投げつける。
(それは、そうかもしれないけど。
でも、そういう問題じゃないっていうか。)
慌てて引き寄せた布団を頭から被りながら、心のなかで必死に言い訳をする。
そう、問題は...私がアークに恋をしているということなのだ。
優しく生真面目な性格で周囲の信頼も厚く、容姿端麗、頭脳明晰、その剣技の美しさは見る人を皆魅了する程。
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...ただ一つ、鈍感という点を除けば。
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