シンデレラ姫に最後のキスを

hari

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目覚め

本当の気持ち

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アークは幼い頃に母と姉を亡くして以来、ずっと父と男2人で子供時代を過ごしたらしい。

王宮務めの現在でも女性の気持ちや色恋事にこれでもかという程疎いのは、きっとそのせいだろう。

勿論、もし向こうが私の恋心に応えようと思っても、私たちが結ばれる事など許されないのは分かっている。

「…はあ…」

毛布をぎゅっと握りしめてため息をつく。

このように胸が苦しくなるような恋をするのは、初めてではなかった。

…脳裏に浮かぶ、あの惨劇。



「やだっ、行かないで!」

「離してくれ。仕方ないんだ、サテラ。」

「嫌よ!お兄様がいない世界なんて、私には何の意味も…」

その先の言葉を、兄の唇が塞いだ。
それは今までのどのキスよりも深く、甘いキスだった。

「敵国の姫だ!見つけたぞー!」

兵士の声が聞こえて、兄がゆっくりと立ち上がる。

引き止めたいのに、手が動かない。

「…今までありがとう、サテラ…生きてくれ…。」

涙と火の粉で視界が滲み、遠ざかる大切な人のの背中だけが、ぼんやりと映り…やがて見えなくなった。

そして私は、無我夢中で走った。

兄が向かった城とは、逆方向に。

声を上げて泣きながら、右も左も分からずに、とにかく走った。

…その日からだった。
私が、本気で人を愛せなくなってしまったのは…。




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