怖い話集 ホラー

恐怖の船

ある日、暗く厳しい海の上を進む船がありました。船には数人の乗客が乗り込んでいましたが、彼らはどこに向かっているのかを知りませんでした。

夜が更け、船は急に霧に包まれました。乗客たちは心配そうな顔をしながら、船が安全に目的地に到着することを祈りました。

すると、霧の中から不気味な音が聞こえてきました。ゆっくりと近づいてくる足音が、乗客たちの背筋に寒い風を走らせました。

船のデッキに立っていた一人の乗客が、勇気を振り絞って霧の中を見渡しました。すると、彼は恐ろしい光景を目にしました。霧の中から、白い死人の手が伸びてきていたのです。

恐怖に駆られた乗客たちは、船内に逃げ込もうと必死になりました。しかし、船はなぜかどんどん速度を上げていきました。乗客たちは悲鳴を上げながら船内を駆け回りましたが、どこに逃げても手が届きませんでした。

最後に残された乗客は、船の舵を握っている船長だけでした。彼は必死に船をコントロールしようとしましたが、船はますます速度を上げていき、舵を切ることさえできませんでした。

とうとう船は岩に激突しました。乗客たちは一瞬にして船から投げ出され、氷の冷たさを感じながら海に沈んでいきました。

後日、沈んだ船の残骸が見つかりました。しかし、船の乗客たちの姿は一切見つかりませんでした。彼らの姿は、海に飲み込まれたかのように消えていたのです。

この船は、海に沈む前に魂を奪われると言われています。そして、その船を見つけた者は、同じ運命を辿るという恐ろしい伝説があるのです。