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その日、俺は久しぶりに親父の仕事に同行した。
前日の朝方に親父から予定を空けておけと釘を刺されたのだ。
俺は定刻の10分前に居間に向かった。
「なんだ、早いな章」
居間でテレビを見ていた親父が眠たそうに声をかけてきた。
章と言うのは俺の名前だ。ちなみにアキと読む。
「なにその格好? 仕事なんだろ? 袈裟はどうしたんだよ」
親父の職業は住職なのだが、今は何故か赤いジャージを着ている。
「これか? かっけえだろ。やらねえぞ」
なに言ってんだこの爺は……
呆れていると親父はさらにこう続けた。
「今日はそっちの仕事じゃねえ。それに袈裟はめんどくさいしな」
なるほど。今日は裏の仕事の方か。
俺は少しだけ気を引き締めた。
「で、今日はどこまで連れてかれんの?」
確認しておく必要があった。
以前同じように連れてかれた時は地方に一泊することになり、俺は学校を休むことを強いられたのだ。
またとんでもないところへ連れてく気じゃねえだろうな……
「今日は地元だ。時間もあるし歩いていくぞ」
「あの家に行くのか?」
「察しがいいな」
察しがいいも何もこの辺でそれっぽい場所なんて1つしかない。
「やっぱあそこってヤベえのか?」
「最近までは噂だけの空っぽな心霊スポットだったみたいだけどな。ちょっと前からヤバそうなのが居座り始めたみてえだぞ。お前にはまだわかんねえか」
またそういう感じのかよ……
「俺まだ死にたくねんだけど」
「安心しろ。今日は下見だ。荒事にはならねえよ。お前には俺の後を継いでもらわねえといけねんだ。いくらお前が弱っちくても俺が簡単には死なせねえよ」
いちいちイラつく爺だな。
「こんな危ねえ仕事継ぐわけねえだろ。学生の間だけは金稼ぐために手伝ってやるよ」
そう、危険が伴うこともあっておよそ高校生が通常のアルバイトで稼ぐ数倍の額を俺は一度の手伝いで手にするのだ。
「まぁ今日は下見だからお金あげないけどね。文字通り家のお手伝いってところだな」
マジかよ。まぁあの家のことはちょっと気になってたから別にいいけどさ。
「わかったよ。たまにはいい息子を演じといてやるよ。そろそろ行こうぜ。早く寝てえしさ」
「愛してるぜ章ちゃん。んじゃ行くか」
わしゃわしゃと俺の頭を撫でて親父は玄関へと向かった。
俺たちは、あの家へと出発した。
長い長い夜になることを俺たちはまだ知らない。
前日の朝方に親父から予定を空けておけと釘を刺されたのだ。
俺は定刻の10分前に居間に向かった。
「なんだ、早いな章」
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章と言うのは俺の名前だ。ちなみにアキと読む。
「なにその格好? 仕事なんだろ? 袈裟はどうしたんだよ」
親父の職業は住職なのだが、今は何故か赤いジャージを着ている。
「これか? かっけえだろ。やらねえぞ」
なに言ってんだこの爺は……
呆れていると親父はさらにこう続けた。
「今日はそっちの仕事じゃねえ。それに袈裟はめんどくさいしな」
なるほど。今日は裏の仕事の方か。
俺は少しだけ気を引き締めた。
「で、今日はどこまで連れてかれんの?」
確認しておく必要があった。
以前同じように連れてかれた時は地方に一泊することになり、俺は学校を休むことを強いられたのだ。
またとんでもないところへ連れてく気じゃねえだろうな……
「今日は地元だ。時間もあるし歩いていくぞ」
「あの家に行くのか?」
「察しがいいな」
察しがいいも何もこの辺でそれっぽい場所なんて1つしかない。
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またそういう感じのかよ……
「俺まだ死にたくねんだけど」
「安心しろ。今日は下見だ。荒事にはならねえよ。お前には俺の後を継いでもらわねえといけねんだ。いくらお前が弱っちくても俺が簡単には死なせねえよ」
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そう、危険が伴うこともあっておよそ高校生が通常のアルバイトで稼ぐ数倍の額を俺は一度の手伝いで手にするのだ。
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マジかよ。まぁあの家のことはちょっと気になってたから別にいいけどさ。
「わかったよ。たまにはいい息子を演じといてやるよ。そろそろ行こうぜ。早く寝てえしさ」
「愛してるぜ章ちゃん。んじゃ行くか」
わしゃわしゃと俺の頭を撫でて親父は玄関へと向かった。
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