一人で生きることは、死ぬよりも辛い

しぃ

文字の大きさ
11 / 42

11話

しおりを挟む
悲劇のヒロインさんへ

 手紙を書くのは初めてなのでルールはわかりません。書きたいことを書きます。

 手紙ありがとう。

 考えてみると僕は君の存在を知ってから、君に振り回されてばっかりだよ。僕も、君のことで頭がいっぱいなんだ。ふと気づくと君のことを考えてる。自分でも嘘みたいに思ってるよ。

 僕は幼い頃に色々あって他人が嫌いになった。それから誰かに興味を持つことはなかった。
 そんな中で僕の闘病生活は始まったんだ。そして間もなく君に出会う。まだ顔は会わせたことないけどね。
 君の悪戯が、僕を少しずつ変えていった。
 
 僕はワクワクしたんだ。


 僕は病に倒れ、この病院に来た。そしてあの日、僕はたまたまあの本を手に取った。そこには君の悪戯があって、僕は気まぐれに君の問いに答えた。心ない僕の失礼な問いにも君は真摯に答え、僕を見放さなかった。
 たくさんの奇跡の上で、僕らは繋がった。

 【生きる】ということが、こんなにも胸が踊るなんて僕は知らなかった。

 実は1度僕は自分が生きる意味を見失ったんだ。この先両親が大金をかけて僕が数年長生きしたところで僕が何かを成し遂げられるわけでもないし、ただベッドの上で時間の経過を眺める生活に、生きていていいのかすらわかるなくなっていた。
 そのタイミングで、僕はあの本を手に取り、君と繋がった。
 君が、僕に生きる意味をくれたんだ。

 最期の瞬間まで、生きることには意味があって、僕たちはその瞬間まで精一杯生きなければいけないのかも知れないと僕は思ったよ。

 まぁ難しい話は置いておくとして、君からの返事が途絶えたあの日から僕はどうしたらいいかわからなくなっていたんだ。
 君がいなくなることが僕は本当に怖かった。

 だから、僕は君に会いたかった。


 それと、僕はちょっと怒ってるからね。
 君が聞いてなくても僕はたくさん文句を言わせてもらうよ。それくらい心配したってこと、忘れないでね。

 だけど、僕も色々楽しみにしてるよ!

 手紙本当にありがとう。

 君に「はじめまして」と「おかえり」を早く言いたいな。

 早く帰っておいで!




「手紙、なんって書いてたの?」
 母が聞いてきた。
「秘密だよー」
 別に言ってもよかったのだけど、なんとなく秘密にしたかった。この手紙は私だけのモノだ。話したところで減るわけでもないのだが。
「なんだか楽しそうね」
 そういう母も楽しそうだった。
「まぁねー。そういえば、どんな人だった?」
 お母さんは会ってきたのだ。私の気になる人に。
「秘密だよー」
 いたずらに笑うお母さんは本当に楽しそうだった。
「真似しないでよね。まぁもうすぐ会えるからいいけどねー」
 早く会いたいな。
 私は再び彼が私に送った手紙を読み返す。
「でもね、本当に優しい子だったわ。安心しなさい」
 穏やかで優しい声音がその言葉の意味を雄弁に語る。
「そっか。早く会いたいな」
 私はあえて自分の気持ちを言葉に出した。


 私は、恋する乙女状態となっていた。
 でも、こんな気持ちになるのは初めてなのだ。
 私は今、人生の一番最高な時期を経験しているのかも知れない。
 何を小娘がと言うことなかれ。私は特別なんですからね。
 もしかしたら、最期の時に向けて幸せが押し寄せてきているのかもしれない。神様も粋なことをしてくれるもんだ。恨んでてごめんね。でもまだ許せないけどね。


 向こうの病院に戻ったらまずはいつものアレを書こう。
 日にちと時間を指定して、会いに行くんだ。

 ふと、あることに気づいてしまった。
 私は母にある頼みごとをして、彼との対面を心待にした。


 あと2週間。短いようで長い日々を私は過ごす。

 貴方のいない生活はとても味気なく、会いたい気持ちが日に日に募っていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

皇宮女官小蘭(シャオラン)は溺愛され過ぎて頭を抱えているようです!?

akechi
恋愛
建国して三百年の歴史がある陽蘭(ヤンラン)国。 今年16歳になる小蘭(シャオラン)はとある目的の為、皇宮の女官になる事を決めた。 家族に置き手紙を残して、いざ魑魅魍魎の世界へ足を踏み入れた。 だが、この小蘭という少女には信じられない秘密が隠されていた!?

恋い焦がれて

さとう涼
恋愛
小学校時代の担任教諭・佐野に七年ぶりに再会し、話の流れで佐野の恋人へのエンゲージリングを選ぶために一緒にジュエリーショップに行くことになってしまった二十歳の女子大学生・輝。 最初はそんなつもりはなかったのに、次第に佐野を意識してしまうようになり、自分でも困惑してしまう。 必死に自分の想いを打ち消そうとする輝。 だけど佐野も恋人との関係に悩んでいるようで、複雑な想いを抱え続けることになる。 そんな輝を見守る(ちょっかいをかける?)バイト先の店長。 さらに佐野の恋人は意外な人物で、輝は大混乱。 ※ドロドロではなく純愛系を目指していますが、ビターテイストなお話です ※理想的で格好いいヒーローではありません(…すみません) ※調べながら執筆をしているのですが、無知なところも多々あるので、間違っているところがありましたら教えてください。ツイッターでも受け付けています。 https://twitter.com/SATORYO_HOME

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

幼馴染の許嫁

山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

数合わせから始まる俺様の独占欲

日矩 凛太郎
恋愛
アラサーで仕事一筋、恋愛経験ほぼゼロの浅見結(あさみゆい)。 見た目は地味で控えめ、社内では「婚期遅れのお局」と陰口を叩かれながらも、仕事だけは誰にも負けないと自負していた。 そんな彼女が、ある日突然「合コンに来てよ!」と同僚の女性たちに誘われる。 正直乗り気ではなかったが、数合わせのためと割り切って参加することに。 しかし、その場で出会ったのは、俺様気質で圧倒的な存在感を放つイケメン男性。 彼は浅見をただの数合わせとしてではなく、特別な存在として猛烈にアプローチしてくる。 仕事と恋愛、どちらも慣れていない彼女が、戸惑いながらも少しずつ心を開いていく様子を描いた、アラサー女子のリアルな恋愛模様と成長の物語。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

一条さん結婚したんですか⁉︎

あさとよる
恋愛
みんなの憧れハイスペックエリートサラリーマン『一条 美郷(※超イケメン)』が、結婚してしまった⁉︎ 嫁ラブの旦那様と毒舌地味嫁(花ちゃん)....とっ!その他大勢でお送りしますっ♡ ((残念なイケメンの一途過ぎる溺愛♡))のはじまりはじまり〜 ⭐︎本編は完結しております⭐︎ ⭐︎番外編更新中⭐︎

処理中です...