41 / 42
40話
しおりを挟む
病室には伝えそびれたたくさんの感情が、想いが、言葉が、溢れていく。
なんで……なんで手紙なのよ……
貴方の言葉は、貴方の声で聞きたかった。
こんなのって……
手紙には、抱えきれないほどの想いが込められていた。
文字1つ1つが熱を帯びているかのように読み進めるほど私の体温を上昇させた。
その想いに答えることができないことが、私に健の死を実感させた。
途端に、涙が溢れた。
虚しくて、悔しくて、恋しくて、涙が止まらなかった。
ねえ神様。聞こえてる?
もうなにも要らない。明日死んだって構わない。だからもう一度だけでいいから健に会わせてくれないかな?
まだ、別れの挨拶もまだなの。
やっと本当の気持ちを知れたのに……意地悪ばっかり……
私は、思い違いをしていた。
私の周りにいる人たちを、私はいずれ悲しませてしまうと思って疑わなかった。
でも現実はそうじゃない。そうじゃなかった。
誰かを失うなんて考えもしなかった。
失うことがこんなにも辛いなんて、思わなかった。
「死」というものはいつも私たちのすぐそばに存在する。生きている以上、死と無関係ではいられない。
私は、死というものを受け入れたつもりだった。だけどそれは、自分の死に限定されていることに気づけなかった。
それが私の罪。
誰だって、今日死ぬかもしれない。
だからこそ、私たちは全力で今日を、今を、生きなければいけないのだ。
そうわかっていても、逃げてしまった自分は間違っていたのだろうか。
私たちは、最初から両想いだったようだ。
私が逃げなければ……
仮定の話にはなんの意味もなく、考えるだけ虚しさが募る。
無駄なことがわかっていても、たくさんの「if」を考えずにはいられなかった。
だって、健のことが本当に好きだから。
今でも。
ずっと。
この気持ちに嘘はない。例え私の命が朽ちても、想いは色褪せず、世界を包み込むほど大きくなるだろう。
胸が……熱い。
そして痛い。
人の想いは、こんなにも感情を揺さぶるのだと私は知った。
健の書いてくれた数枚の手紙には、有名な映画やドラマに負けないなにかがあった。
人を動かすのは「想い」だと健が、健の書いた手紙が私に教えてくれた。
このまま不貞腐れて最期の時を待とうとしていた少し前の自分は、なんて愚かなのだろう。
健とはもう会えないけど、私は同じような後悔を他の誰にもしてほしくない。
私にはわずかだけど、まだ時間がある。
小説なんて書いたことはないけれど、やってみたいって思ったから。
思ったなら……やらないと!
私と健が紡いだ物語が、誰かの背中を押すことができるなら、それは凄く素敵な事だ。
想像するだけで楽しくなった。
「ふふふ」
ここに健がいたら、もっと楽しかっただろうな。
沈みきっていた私の目に、再び光が戻った。
なんで……なんで手紙なのよ……
貴方の言葉は、貴方の声で聞きたかった。
こんなのって……
手紙には、抱えきれないほどの想いが込められていた。
文字1つ1つが熱を帯びているかのように読み進めるほど私の体温を上昇させた。
その想いに答えることができないことが、私に健の死を実感させた。
途端に、涙が溢れた。
虚しくて、悔しくて、恋しくて、涙が止まらなかった。
ねえ神様。聞こえてる?
もうなにも要らない。明日死んだって構わない。だからもう一度だけでいいから健に会わせてくれないかな?
まだ、別れの挨拶もまだなの。
やっと本当の気持ちを知れたのに……意地悪ばっかり……
私は、思い違いをしていた。
私の周りにいる人たちを、私はいずれ悲しませてしまうと思って疑わなかった。
でも現実はそうじゃない。そうじゃなかった。
誰かを失うなんて考えもしなかった。
失うことがこんなにも辛いなんて、思わなかった。
「死」というものはいつも私たちのすぐそばに存在する。生きている以上、死と無関係ではいられない。
私は、死というものを受け入れたつもりだった。だけどそれは、自分の死に限定されていることに気づけなかった。
それが私の罪。
誰だって、今日死ぬかもしれない。
だからこそ、私たちは全力で今日を、今を、生きなければいけないのだ。
そうわかっていても、逃げてしまった自分は間違っていたのだろうか。
私たちは、最初から両想いだったようだ。
私が逃げなければ……
仮定の話にはなんの意味もなく、考えるだけ虚しさが募る。
無駄なことがわかっていても、たくさんの「if」を考えずにはいられなかった。
だって、健のことが本当に好きだから。
今でも。
ずっと。
この気持ちに嘘はない。例え私の命が朽ちても、想いは色褪せず、世界を包み込むほど大きくなるだろう。
胸が……熱い。
そして痛い。
人の想いは、こんなにも感情を揺さぶるのだと私は知った。
健の書いてくれた数枚の手紙には、有名な映画やドラマに負けないなにかがあった。
人を動かすのは「想い」だと健が、健の書いた手紙が私に教えてくれた。
このまま不貞腐れて最期の時を待とうとしていた少し前の自分は、なんて愚かなのだろう。
健とはもう会えないけど、私は同じような後悔を他の誰にもしてほしくない。
私にはわずかだけど、まだ時間がある。
小説なんて書いたことはないけれど、やってみたいって思ったから。
思ったなら……やらないと!
私と健が紡いだ物語が、誰かの背中を押すことができるなら、それは凄く素敵な事だ。
想像するだけで楽しくなった。
「ふふふ」
ここに健がいたら、もっと楽しかっただろうな。
沈みきっていた私の目に、再び光が戻った。
0
あなたにおすすめの小説
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
落ちこぼれ村娘、拾った王子に溺愛される。
いっぺいちゃん
恋愛
辺境の村で育った元気娘 ミレイ。
ある日、森で倒れていた金髪の青年を助けるが、
実は彼は国一の人気者 完璧王子レオン だった。
だがレオンは外に出ると人格がゆるみ、
王宮で見せる完璧さは作ったキャラだった。
ミレイにだけ本音を見せるようになり、
彼は彼女に依存気味に溺愛してくる。
しかしレオンの完璧さには、
王宫の闇に関わる秘密があって——
ミレイはレオンの仮面を剥がしながら、
彼を救う本当の王子に導いていく。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
※この作品は「小説家になろう」でも同時投稿しています。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
恋い焦がれて
さとう涼
恋愛
小学校時代の担任教諭・佐野に七年ぶりに再会し、話の流れで佐野の恋人へのエンゲージリングを選ぶために一緒にジュエリーショップに行くことになってしまった二十歳の女子大学生・輝。
最初はそんなつもりはなかったのに、次第に佐野を意識してしまうようになり、自分でも困惑してしまう。
必死に自分の想いを打ち消そうとする輝。
だけど佐野も恋人との関係に悩んでいるようで、複雑な想いを抱え続けることになる。
そんな輝を見守る(ちょっかいをかける?)バイト先の店長。
さらに佐野の恋人は意外な人物で、輝は大混乱。
※ドロドロではなく純愛系を目指していますが、ビターテイストなお話です
※理想的で格好いいヒーローではありません(…すみません)
※調べながら執筆をしているのですが、無知なところも多々あるので、間違っているところがありましたら教えてください。ツイッターでも受け付けています。
https://twitter.com/SATORYO_HOME
皇宮女官小蘭(シャオラン)は溺愛され過ぎて頭を抱えているようです!?
akechi
恋愛
建国して三百年の歴史がある陽蘭(ヤンラン)国。
今年16歳になる小蘭(シャオラン)はとある目的の為、皇宮の女官になる事を決めた。
家族に置き手紙を残して、いざ魑魅魍魎の世界へ足を踏み入れた。
だが、この小蘭という少女には信じられない秘密が隠されていた!?
一条さん結婚したんですか⁉︎
あさとよる
恋愛
みんなの憧れハイスペックエリートサラリーマン『一条 美郷(※超イケメン)』が、結婚してしまった⁉︎
嫁ラブの旦那様と毒舌地味嫁(花ちゃん)....とっ!その他大勢でお送りしますっ♡
((残念なイケメンの一途過ぎる溺愛♡))のはじまりはじまり〜
⭐︎本編は完結しております⭐︎
⭐︎番外編更新中⭐︎
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる