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case 5
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急な通り雨。アスファルトは滲み、雨の臭いが染み込んでいく。地面に滲む水玉模様は広がり、やがて辺りを一色に染め上げる。
本当は本屋にでも寄って帰るつもりだったのだが、本屋よりずっとバス停の方が近かったことでそちらに向かうことに決めた。
今日は土曜日。
本来学校は休みだが自主勉強のために教室は解放してもらえる。校内に他の生徒はほとんどいなかった。
なんだかお腹がすいてきたのでお昼には早かったが家に帰ることにした。そして今、俺は雨に打たれている。
「ついてねぇ…」
ぼやきながら走ってバス停に向かう。
到着したときにはずぶ濡れだった。鞄からタオルを取り出して拭いていると近くの女子校の生徒がバス停に入ってきた。
「あーもーずぶ濡れじゃん…」
そう言った彼女は下着が少し透けるほどに雨に打たれていた。
どうしても目が吸い込まれてしまうんです。それはもうまるでS極とN極が如く…マジすんません。と、心の中で謝罪しつつチラチラと盗み見ていると彼女と目があってしまう。
「あれれー?何見てるのかなぁ?」
彼女は不敵な笑みを浮かべる。
「別に見てないです。ちょっと自意識過剰なんじゃないですか?」
真面目が専売特許でこのかた15年やらせてもらってるんです。今さら認めれないんです。目があったからバレバレなんですけどね。
「目。合ったよね?」
ホラ、バレてんじゃん!
「合ってません。」
もう無理だろ!
「嘘つけーホラ、この透けてるブラを見たんだろー?何色だったか言ってみな?怒らないから。」
青です!
「ちょっと何言ってるかわからないです。」
お前が何言ってるかわかんねえよバカ!もう逃げようがねえだろ!
「なかなか意地っ張りだな君。なんかちょっかいかけたくなるよねー。」
悪い顔で笑う彼女にこの先どう対応するのが正解か必死に頭を回転させたが答えがでない。
「君さぁ、年上に興味ある?」
あるに決まってんだろッ!
「いえ、別に。そもそも女性に興味がないので。」
むしろ女性にしか興味がないだろバカ!
「そーなの?あたしは君に興味津々だけどなー。」
(チラッ)再び視線が交わる。
「やっぱ興味あんじゃーん。ムッツリだームッツリスケベだー。」
「違うし!別に興味とか全然ないし!」
言い訳すらも並べられずどんどん彼女のペースになっていく。
「ホントかなー?彼女はいるの?」
「別にいてもいなくても関係ないでしょ。」
彼女なんてできたことねえよ…そもそも女子とこんなに長くやり取りしたことねえよ!
「あ、これいない人の反応だわー。一度もできたことない反応だわー。」
「うっさいなぁ。ほっといてよぉ!」
そう言い捨てそっぽを向く。
コツコツとローファーが地面を打つ音がする。そして、彼女はピッタリと俺の横にくっつきベンチに座る。そして耳元で囁く。
「これでもあたしに興味わかない?」
思考が、停止した。
え?なに?どうすればいいの?誰か今すぐに教えて!
「す、少しだけなら。」
答えて振り返ると彼女は声を押し殺し笑いを堪えていた。
「なんなんだよお前!」
俺は顔を真っ赤にして叫ぶ。その赤みは怒りからなのか恥ずかしさからなのかは自分でも判断しかねる具合だ。完全にこの女の掌の上で転がされてしまっている。それでも何故か悪い気分ではなかった。
「怒った?」
更に煽ってくる彼女に、これ以上取り合うとこてんぱんにやられてしまいそうなので突っぱねることにした。
「もういい。話しかけないでください。」
「嫌だ。」
「は?」
振り返ると彼女との距離は近く、ぶつけようとした言葉は驚きで飲み込んでしまった。数秒の沈黙。そして、彼女は微笑む。
その笑顔に不意をつかれる。更に見とれること数秒。
肩が触れる距離にいたせいか甘い香りが鼻孔をくすぐる。なんだこの気持ち。
「なんか言ってみ?」
また不敵な笑みを送る彼女に俺は次の一手を考えるが、どうやっても敵う気がせず出した結論は、
「まいりました。」
再び彼女の笑みが返ってくる。その笑顔が今までのモノとは違い、優しく、温かく…
俺は、その笑顔に再び見とれることとなった。
本当は本屋にでも寄って帰るつもりだったのだが、本屋よりずっとバス停の方が近かったことでそちらに向かうことに決めた。
今日は土曜日。
本来学校は休みだが自主勉強のために教室は解放してもらえる。校内に他の生徒はほとんどいなかった。
なんだかお腹がすいてきたのでお昼には早かったが家に帰ることにした。そして今、俺は雨に打たれている。
「ついてねぇ…」
ぼやきながら走ってバス停に向かう。
到着したときにはずぶ濡れだった。鞄からタオルを取り出して拭いていると近くの女子校の生徒がバス停に入ってきた。
「あーもーずぶ濡れじゃん…」
そう言った彼女は下着が少し透けるほどに雨に打たれていた。
どうしても目が吸い込まれてしまうんです。それはもうまるでS極とN極が如く…マジすんません。と、心の中で謝罪しつつチラチラと盗み見ていると彼女と目があってしまう。
「あれれー?何見てるのかなぁ?」
彼女は不敵な笑みを浮かべる。
「別に見てないです。ちょっと自意識過剰なんじゃないですか?」
真面目が専売特許でこのかた15年やらせてもらってるんです。今さら認めれないんです。目があったからバレバレなんですけどね。
「目。合ったよね?」
ホラ、バレてんじゃん!
「合ってません。」
もう無理だろ!
「嘘つけーホラ、この透けてるブラを見たんだろー?何色だったか言ってみな?怒らないから。」
青です!
「ちょっと何言ってるかわからないです。」
お前が何言ってるかわかんねえよバカ!もう逃げようがねえだろ!
「なかなか意地っ張りだな君。なんかちょっかいかけたくなるよねー。」
悪い顔で笑う彼女にこの先どう対応するのが正解か必死に頭を回転させたが答えがでない。
「君さぁ、年上に興味ある?」
あるに決まってんだろッ!
「いえ、別に。そもそも女性に興味がないので。」
むしろ女性にしか興味がないだろバカ!
「そーなの?あたしは君に興味津々だけどなー。」
(チラッ)再び視線が交わる。
「やっぱ興味あんじゃーん。ムッツリだームッツリスケベだー。」
「違うし!別に興味とか全然ないし!」
言い訳すらも並べられずどんどん彼女のペースになっていく。
「ホントかなー?彼女はいるの?」
「別にいてもいなくても関係ないでしょ。」
彼女なんてできたことねえよ…そもそも女子とこんなに長くやり取りしたことねえよ!
「あ、これいない人の反応だわー。一度もできたことない反応だわー。」
「うっさいなぁ。ほっといてよぉ!」
そう言い捨てそっぽを向く。
コツコツとローファーが地面を打つ音がする。そして、彼女はピッタリと俺の横にくっつきベンチに座る。そして耳元で囁く。
「これでもあたしに興味わかない?」
思考が、停止した。
え?なに?どうすればいいの?誰か今すぐに教えて!
「す、少しだけなら。」
答えて振り返ると彼女は声を押し殺し笑いを堪えていた。
「なんなんだよお前!」
俺は顔を真っ赤にして叫ぶ。その赤みは怒りからなのか恥ずかしさからなのかは自分でも判断しかねる具合だ。完全にこの女の掌の上で転がされてしまっている。それでも何故か悪い気分ではなかった。
「怒った?」
更に煽ってくる彼女に、これ以上取り合うとこてんぱんにやられてしまいそうなので突っぱねることにした。
「もういい。話しかけないでください。」
「嫌だ。」
「は?」
振り返ると彼女との距離は近く、ぶつけようとした言葉は驚きで飲み込んでしまった。数秒の沈黙。そして、彼女は微笑む。
その笑顔に不意をつかれる。更に見とれること数秒。
肩が触れる距離にいたせいか甘い香りが鼻孔をくすぐる。なんだこの気持ち。
「なんか言ってみ?」
また不敵な笑みを送る彼女に俺は次の一手を考えるが、どうやっても敵う気がせず出した結論は、
「まいりました。」
再び彼女の笑みが返ってくる。その笑顔が今までのモノとは違い、優しく、温かく…
俺は、その笑顔に再び見とれることとなった。
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