【完結】四ばあちゃん、二度目の人生

大江山 悠真

文字の大きさ
89 / 90

マリ 13

しおりを挟む
 
     ☆☆☆☆☆


侵入者した賊の服装は前回の襲撃者と同じものだった。
同一の依頼かと眉間にしわを寄せる王太子。
本日は父親の陛下に婚約破棄したリビエラとの再婚約の許可を得るために陛下に面会の時間を取っていただいたが、実際は…。
1度ならず2度までの襲撃をマリよりシズ殿は許さないと感じている。
2度あることは3度あるなんて生易しいことでは済まない。
陛下への面会が何もなければよいがと内心の不安をなだめつつ王の執務室に向かう自分に薄笑いを浮かべる。
王の執務室は当然城の中でも比較にならぬほど堅固である。
近衛兵が廊下、部屋の前を守護しているのは当然表向きで暗部が常に上からも裏からも守っている。
部屋に案内する事務補佐のモンロビは表は伯爵であるが本来の業務は王の護衛で暗部の長である。
年齢は40代だが多分ローガンはもとより自分も歯がたたないほど強いと思う、魔法ならともかく力業ではマリより強いと感じている。

「陛下はおられるか?」

「ハイ、ロベリエド殿下をお待ちになっておられます。陛下も一服したいそうですので只今お茶のご用意をいたします。」

「悪いな、頼む。」

部屋の中で書類に埋もれているがまだまだ精力的に国を治めていけるご様子だな。
陛下にリビエラ嬢との再婚約の許可を頂くと陛下は常識的判断をしたかと納得され祝福していただけた。
私からの許可伺いに認可の押印を押していただけて思わず安堵した。

「ありがとうございます、陛下。陛下としての最後の仕事をしていただき感謝したします。」

「…どういうことだ。」

父上の言葉が終わらぬうちに上からドサと降ってくるものがある。上に潜んでいた暗部が2人。
モンロビには両脇から首に剣が突きつけられていると思う間にモンロビは左隣に肘打ちし後方に飛んでいる。
部屋には暗部2人と前回マリ宅に侵入者と模擬戦での賊が転がっている。
暗部たちの横にはアクトとエドが立ち剣を構えている。
執務室の暗部は全員倒されているのだな。
廊下の近衛兵たちを黙らしていたのはアクトとエドか。
シズ殿が父上に

「2度あることは3度あるというけれど3度もあってはいけないと思う訳よね、王様。たとえ、王権と言えども私たちの家族に害するなら排除させていただくわ。そこにいるのは模擬戦とマリ宅に侵入した賊よ。部屋の上に潜んでいたのと同じ衣類をつけているのよね。王様の暗部で間違いないかしら?」

「儂は知らんぞ、モンロビなんとかせい。」
の言葉と共にマリの腕から剣が吹き飛んだ。吹き飛んだとしか言えない。
マリの腕から血が滴り落ちているが、マリがモンロビを押さえつけ動けなくさせた。
その瞬間モンロビの両手両足はナイフで床に縫い付けられた。
顔が上を向いていないので表情が見えないが、父上の顔色は血の気がなくなっていく。

「王様は私の言葉を聞いてないのかしら。私の家族に手を出すと潰すわよと言ってるでしょう。王家の1つや2つ潰したって私は全然問題ないからね。どうするの?」

「王家を、このハーフ国王家がどれだけの血を流して1つになったかわからぬか小娘が!王家となるにはどれだけの苦労をしたことか我が祖先が。」

「苦労してまとめた国ならば大事にしなさいな。私達に手出ししなければこんな結果にならなかったのよ。」

「ロベリエドの子たちの力があれば、この国はもっと良くなるのだぞ。お前がマリがロベリエドの正妃にさえなればこの王座は盤石になるものがわからぬか?」

「王様、私がロベリエド殿下の正妃になっても王座が盤石にはならないわよ。力で抑えるのはわかりやすいけど力はあくまで力でしかないもの。やがて力が衰えた時覆されることがあるのよ。
民は愚かで自分たちの言うとおりにしてればよいのだなんて思っているととんでもない。
民のため国のために政治を行ったものだけが長い王権を持ち続けるのよ。私の世界の歴史は証明しているわ。
王様が行いたい善政が貴族のためなかなか実現できなかったのは残念だけど、どのような人物でも1度では出来ないのよ。
私たち祝福の女性も大海の中の一滴にしか過ぎないわ。
私はこの世界に生きるただの一人でしかないわよ。ただ少しだけ、この世界のためになることが出来ればと願う一人でしかないわ。
それにわたしは王の横に並ぼうとは思わない。
ロベリエド殿下の横に並ぶのはリビエラ嬢だわ。」

「マリも今回が最後だ。これでも手を出すなら我々はこの国から出ていく。新たに住める地を探す。これはマリの農園とシュナイダ砦すべての総意だ。」

「父上、退位してください。私がリビエラと共にこの国を導きます。マリは側妃として自由に農園でこの国のため食糧事情を改善してくれるでしょう。シズ殿はシズ殿で冒険者として魔物討伐に力を貸して下さるでしょうから。少なくとも私はこのお二人と良好な関係を築いていきたいと考えています。」

シズの迫力に負けたのかそれとも出国されるとまずいと考えたか知らないけれど、こうしてロベリエド殿下がリビエラ嬢との結婚を機に王位継承することとなった。


しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

私の生前がだいぶ不幸でカミサマにそれを話したら、何故かそれが役に立ったらしい

あとさん♪
ファンタジー
その瞬間を、何故かよく覚えている。 誰かに押されて、誰?と思って振り向いた。私の背を押したのはクラスメイトだった。私の背を押したままの、手を突き出した恰好で嘲笑っていた。 それが私の最後の記憶。 ※わかっている、これはご都合主義! ※設定はゆるんゆるん ※実在しない ※全五話

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

処理中です...