俺と幼馴染の2日間

アクエリア

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本編

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俺は、佐藤翔馬。高校2年生だ。恋愛対象は、ふつうにかわいい女の子でそれなりに友達もいると思う。勉強は、苦手だが運動は結構得意だ。

「おはよう!」
「ああ、おはよう」

幼馴染の白石透が挨拶してきた。家が隣で、母親同士が仲が良かったこともあり、小さなころからいつも一緒にいた。
透は、いわゆるイケメンとかいうやつで毎日キャーキャー言われてやがる。
しかも、成績優秀で運動神経抜群の完璧人間だ。
まったくうらやましい。
透は、女の子たちが話したそうに待ってるっていうのに、朝からわざわざ俺のところまでやってくる。

「お前には、女の子たちが見えてないのか?」
「いや、見えてるよ?」
「俺んとこ来るより、かわいい女の子に囲まれてたほうが楽しいだろ?」
「いや、翔馬といたほうが楽しいよ」
「俺には、理解できんよ…」

男より女だろと小さく呟き、机にうつぶせになる。
俺は別に、女顔なわけじゃない。顔は悪くもないしそこまでいいわけでもない。
いわゆる平凡顔だ。
それに、そこまで面白い話ができるわけではないのになぜよってくるのか。
それがいやなわけではないが…

「そんなことより、勉強教えてくれよ。昨日もまた、宿題わかんなかったんだよな…」
「また?まあいいよ。どこがわからなかったの?」
「ん?ああ、67ページから70ページの…」

そこから俺はSHRまで勉強を透に教えてもらっていた。





静かに授業を受け、昼休みになった。まあ、内容は全然理解できてないけどな!
 いつものように、透と話しながらご飯を食べる。俺は母さんの弁当で、透は購買でいつも買っている。

「ねぇ、翔馬。そのからあげ、僕にもちょうだい?」
「からあげはやらん。絶対やらん」
「むー翔馬のケチ」
「だれがケチだ!人のもん取ろうとするやつが悪い」
「じゃあ、ブロッコリーでもいいからさ。お・ね・が・い」
「きもちわるいわっ」
「まぁブロッコリーなら許そう」
「やったー!さすが翔馬!優しいね!」
透が気持ちの悪いおねだりまでしてきたのでしかたがなく分けてやることにした。

「ねぇ、翔馬がたべさせてよ」
「またかよ…仕方ねえな」
「ありがとう!」
「ほら食えよ」
「ん~おいしいい」
「おいしいっていつもと変わんねーぞ?」
「翔馬が食べさせてくれるからおいしんだよ~」
「そうか?まぁいいけど」
そう言って会話を中止し、食べることに専念した。
弁当を食べ終わり、しばらくした頃。

「なぁ透…さっきから女子がこっちを凝視してくるんだが…」
「そうだね~ま、理由はわかってるけど…」
「マジか!教えてくれよ!」
なぜかわからず机の向こうの透に詰め寄る。
「「「「「きゃあー」」」」」
女子達がこちらを見て黄色い悲鳴を上げている。
こころなしか透の顔も赤い気がする。
わけがわからず、首をかしげる。

「みんなホントにどうしたんだ?」
「翔馬、顔が近いよ…」
「ん、ああ悪い」
慌てて俺は、顔を離す。
昼休みが終わり午後の授業は始まった。
退屈で、すぐに寝てしまったから起きたのは、終礼の時間だった。

俺は、透と同じバスケットボール部に入っている。
バスケットボールは小学生のころからやっていて結構得意だ。だから、なんとかレギュラーにも入れているが…
俺ほど長い間やっているわけじゃない透もレギュラーに入っているのは、とても悔しいが仕方ないのだろう。透は完璧だから。

「透~部活いこうぜ」
「あ、翔馬!また授業中寝てたでしょ!まったく…だから宿題がわかんないんでしょ」
「まぁ、とりあえず部活だ!お説教は後で聞くから。な?」
「わかったよ…絶対だからね!聞き流したらだめだよ!」
「わかったって、ほら行こうぜ。」
二人で部室に向かい、手早くユニフォームに着替えた。
「じゃあ、始めるぞー」
部長の声で練習が始まる。


キツイ練習が終わり1年部員の蒼井颯太が声をかけてきた。

「やっと終わったっスね。翔馬さん。俺、疲れたっす」
「ああ、俺も疲れちまったよ」
このバスケットボール部は規模が大きく部員が多い。だからなかなかレギュラーにはなれず、レギュラーになろうとみんな鬼気迫った様子で練習している。でもまぁ俺もいつ蹴落とされるか、分かったもんじゃないから一生懸命練習しているが。

「颯太は、今日なんかあんのか?」
「ん?特にないっすよ~」
「お、まじで?どっか寄ってこうぜ」
「いいっすね!どこいきます?」
「ねぇ、颯太君。何はなしてんの?」
颯太と放課後どこに行くか話していたら、透が割り込んできた。

「あ、透さん!」
「ふふ、僕もまぜてほしいな」
「じゃ、3人でどっか寄ってくか」
「最近できたカフェに、スイーツでも食べに行く?翔馬好きでしょ」
「お、じゃあそこ行きますか!」
透も加わり、3人でスイーツを食べに行くことになった。
俺は、スイーツが好きでよく休日に食べに行っている。透に一緒に来てもらうのは気が引けるので、颯太を引っ張って行っている。透に言ったことはないから、知らないと思っていたのだが、いつばれたのだろうか?

ささっと着替え、カフェへと向かい、ケーキを頼む。

「ん~おいしい!」
「あ、そっちもいいっすね!一口交換しましょうよ」
「いいぞ、ほら」
フォークでケーキを一口分とり、颯太に差し出す笑顔で

「ちょーおいしいっす!」
「だよな!俺にも一口くれよ」
「あ、そうでしたね。はいどうぞ」
「おお、ありがとう」
颯太が俺に、ケーキをのせたスプーンを差し出してきた。
それを口に銜え咀嚼する。

「颯太のケーキもうまいな!」
「…翔馬達いつもあんなことしてるの?」
「あんなことってなんだよ?」
「あーんってしてた…」
「いつも透にもしてんだろ。何言ってんだよ」
「僕にだけじゃなきゃやだ…」
透にもしていることだというのになにをはぶてているのか。
まったく理解不能だ。

「あ~やっぱり噂は、本当なんすか?」
「噂?なんだそれ?」
「あーもう颯太君いっちゃだめだってば。せっかく翔馬の耳に入らないように頑張ってたのに~」
「えっそうだったんすか…すみません」
「だ・か・ら!噂ってなんだよ!意味わかんないんだけど。」
「ん~秘密。かな」
「そうっすね。秘密っすわ」
「まったく、二人してなんなんだよ…」
それからしばらくして、カフェを出る。
噂とは何なのか俺は、ずっとそのことばかり考えていた。

「じゃあな颯太。俺たちこっちだから」
「あ、さよならっすね。また明日っす」
「うん、じゃあね颯太君。」
颯太とは、帰り道が違うので交差点で別れる。
噂が何なのかやはり気になり、透に聞いてみる。

「なぁ透、噂って何なんだ?俺知りたいんだけど…
しかも聞かれないようにするって、そんなにヤバい噂なのか?」
「ん~そんなに聞きたい?」
「ああ!」
「後悔するかもよ?」
「そ、そんなにやばいのか?ま、まぁ覚悟は決めてある」
「それじゃ話すよ?」
 そう言って、透は話し始めた。
ちょっと長かったので要約すると、俺と透が仲が良すぎてみんなから付き合っているのでは?と疑われてるってことだ。
だが俺は、そんなに透とベタベタしているつもりはないし、第一男同士だ。俺は付き合うなら、かわいい女の子がいいのだ。たとえ透のようなイケメンだったとしても男同士で恋仲にはなりたくない。

「…なんてことだ…」
「だから言ったのに…」
「と、透はこの噂いやじゃないのか?」
「…僕は別にいやじゃないよ」
「え?なんでだよ」
「だって好きな人と付き合ってるって噂が流れて悪い気分にはならないでしょ?」
「ん~まぁそうなのかもな…っておい、お前他にもこんな感じの噂が流れてんのか?」
「いや?流れてないよ」
「え、ってことはお前の好きな人ってつまり…」
「あ、もう家だ。じゃあね翔馬!」
 俺が続きを言おうとしたときに、透は遮るように言葉を重ね、家に入っていった。
いつもは、もっとベタベタしてきてなかなか家に入らないのに…なんだか寂しいと思ってしまう俺がいた。

家に入ってからも悶々と考え続ける。さっきの言動からして、透の好きな人はたぶん俺なんだと思う。でも、俺は男だし、平凡顔だしそんないい性格をしているわけじゃない。あいつは、何でもできて完璧で顔もいいから、恋人なんてより取り見取りのはずなのに。
 俺は、透だったとしても男同士は嫌だとか思ってたはずなのに、透に好きだと思われていることに今は、嬉しさまで感じてしまっている。
俺は、透のことが好きなのか?でも俺は普通に女の子が好きで…俺はどうすればいいんだ?そんなことを考えているうちに、次の日の朝になった。

朝、学校に行くためにドアを開けるとちょうど透も出てくるところだった。
俺はとっさに顔をそらしてしまった。気恥ずかしすぎて顔を合わせられない。

「…おはよう」
透が苦笑いしながら言った。
「…おはよ」
いくら恥ずかしくても挨拶を返さないのはだめだと思い少し遅れて返す。
そのまま俺たちは終始無言のまま教室に向かった。

昼休みの食事は一人でとった。何人かに話しかけられた気がするが、よく覚えてない。
やっぱり、透が一緒じゃないと寂しい。いつもは、鬱陶しいと感じているくらいなのに。
俺は、透のことが好きなのだろうか。

そのまま終礼も終わり、部活の時間になった。部活か…あ!颯太ならこの悩みを引かずに聞いてくれるかもしれない。そう思い、少しだけ気分が上がった。

部活が終わり、颯太に話しかける。
「なぁ颯太。ちょっと話聞いてくれるか?」
「大丈夫っすよ?昨日のことっすか?」
「ああ。昨日、颯太と別れた後噂のことについて聞いて…」
そして昨日のことから、自分が考えていたことまで全部話した。
「ん~難しいっすね。翔馬さんは、透さんのことが好きなんすよね?」
「…かもしれない。普通に女の子が好きだったからまだ抵抗あるし…」
「そこは別に気にしなくてもいいんじゃないっすか?人を好きになるのに性別なんて関係ないっすよ」
「そんなもんか…」
「告白とかするんすか?」
「しようかなと思ってる。俺嘘つけないから気持ち隠しながら接する自信ないしな」
「翔馬さん頑張ってくださいね!」
「ああ、ありがとう!颯太が相談に乗ってくれてよかったよ!」
颯太に礼を言い、透のもとへ走る。

「透!今日一緒に帰れるか?」
「…ふふっ何言ってるの?僕たちいつも一緒に帰ってるじゃないか」
「あ、いや今日は全然一緒にいなかったし、一緒に帰れないのかなって思ったんだよ…」
「いや~翔馬から誘ってくれるなんて、嬉しいな!」
「まぁいいからさっさと帰ろうぜ」
 俺たちはさっさと着替え帰路についた。しばらく他愛のない会話を交わしていたら、いつの間にか
家の近くまで来ていた。

早くこの思いを伝えなくてはと、口を開く。

「…なぁ透。俺さ、昨日の話からずっと考えてたんだけど、俺透のことが好き…かもしれない」
「ははっかもしれないって何さ」
そう笑いながら透が言う。
「僕は翔馬のこと、大好きだよ。」
透の言葉に思わず顔を赤くし、うつむいてしまう。

「好きかもじゃなくて、俺も…透のことが好きだ。」
恥ずかしくて顔を上げることができないが、何とか言い切る。


「ありがとう。翔馬に言ってもらえるなんて思ってなかったから、とっても嬉しいよ」
「俺も透に言ってもらえて嬉しかった…」
「ねぇ翔馬。僕と付き合ってくれないかな?」
「…ああ。改めてこれからよろしくな」
透にそう言ってもらえたのがうれしくて、顔がふにゃっとしてしまう。

ばっと透が顔をそむける。心なしか耳が赤い気がする。
「透?どうしたんだ?」
「いや、翔馬が可愛くて…」
「っな、何言って!」
可愛いと言われ思わず顔が赤くなる。
そんな話をしていると、家に着いた。

「今日、僕の家に来る?」
「ああ。いいのか?」
「うん!今日はもう少し翔馬と居たくて…それに母さんもいないし」
「俺も、だ」
「ほんと翔馬かわいすぎだよ…ま、とりあえず僕の部屋に行こうか」
正直、どこが可愛いのか理解できないがとりあえず透について行った。

いつものように透の部屋に入る。
今まで特に緊張することもなかったのに、今はなんだか初めてきた部屋のような気がする。

「ん?どうしたの?座りなよ」
「あ、ああ」
少しゆっくり座る。
「なんか、緊張する…」
「何されるかわかんないから?」
そう聞きながら、透が近づいてくる。
「それもあるけど、なんか落ち着かない…」
「やっぱり翔馬は可愛いな~」
「そ、そんなことn」
透が覆いかぶさるように抱きしめてきた。

「ね、キスしてもいい?」
驚きすぎて声が出ず、コクリと頷く。
だんだんと透の顔が近づいてきて唇がくっつく。
なんだか、あったかくて柔らかくてドキドキした。
つっと透の舌が俺の唇をなぞる。思わず口を少し開けてしまいそこに舌が入り込んでくる。
ゆっくりと舌を絡ませられ、体から力が抜けてしまいそうになり透にしがみつく。

「ん、ふあ、と、おる?」
「翔馬、かわいいよ…」
そう言って俺の頬をそっと撫でる。もっと触れてたくて、その手にすり寄ってしまう。
透にお姫様抱っこされ、ベットに寝かせられる。
そしてだんだんとシャツをはだけさせられる。
それから様々なところを愛撫された。それまでにたくさん声を出してしまった。ま、そんな感じで行為は終わったわけだ。詳しくは言いたくない。


行為が終わりしばらくしたところで話し始める。
「俺は、クタクタなのになんで透はツヤツヤしてんだよ!」
「いや~つい。翔馬が可愛いのが悪いね!」
「意味わかんねーよ!とりあえず責任取って、俺をちゃんと送り届けろよ!」
「はいはい。お姫様抱っこと背負われるのどっちがいい?」
「背負う方で。」
「お姫様抱っこだね!わかったよ!」
そう言って膝の下に腕を差し込んできた。
「ちょ、背負ってくれって言っただろ!」
「聞こえな~い」
部屋を出て俺の家へと向かう。
きっとこれからも、こんな日々が続くのだろう。
こんな楽しく、幸せで笑い合える日々が。




追伸
それからは、女子が今まで以上にうるさかった。
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