2 / 4
改変前版
閉じ込める。
しおりを挟む
朝目覚めると、腕の中にマリアはいなかった。急いで起き上がり、外へ飛び出す。そこには、ググッと背中を伸ばしているマリアの姿があった。
「マリア……あんまり驚かせないで……。」
何処かへ連れ去られてしまったのかと思ってものすごく慌てた。ギュッとマリアを後ろから抱きしめると、呆れたような声が返ってきた。
「ユアンは全く心配性ね、昔から変わらないわ。」
いつもと変わらぬ声に安心して、グリグリと頭を擦り付ける。昨日よりも少し元気になっているようでよかった。まだすぐに立ち直れやしないだろうけれど……。
「わかっているなら心配させるようなこと、しないでよ……。」
僕がボソリとつぶやくと、マリアは腕の中でクルッと向きを変えた。そして、マリアは僕の頭をヨシヨシと頭を撫でる。
「そう簡単にいなくならないわ。それにユアンが守ってくれるらしいんですもの。」
僕が昨日言ったことを覚えてくれていたみたいだ。でも、からかうように言われたのが気に食わない。ムーっとはぶてるように頬を膨らませると、マリアに笑われた。
「ユアン、そろそろ出発しましょう?お腹が空いたわ。」
「あ、ごめん。気が回らなかった。とりあえず、携帯食食べる?」
「それって美味しいの?」
マリアは公爵令嬢だから、携帯食なんて口にしたことはない。僕も出来るだけ、マリアにこういうものは食べさせたく無かったんだけど…。
「まあまあ、かな。このままだとパサパサしてるから、ちょっとアレンジでもしてみようか。」
「ユアンは料理も得意だものね。期待しているわ。」
マリアに褒められてちょっと照れながらも、野外の調理セットを借りに行く。僕がいない間に誰かにマリアが襲われても困るからきちんと鍵をかけて。
マリアは部屋に篭りきりなのは好きじゃない。だから早く僕が用意した家に連れて行ってあげたい。守衛に声をかけると、快く調理セットを貸し出してくれた。
傭兵とかも停留所で一泊することは多い。だから、守衛たちは簡易的なサバイバル用品を揃えていてくれる。火を焚いて調理の準備をし始めると、後ろでガチャリと扉の開く音がした。
「マリア!出てきたらだめだよ。」
「どうして?」
「ドレスに火が移ってしまうだろう?」
嘘。ただ周りの奴らの目にマリアを写したくないだけだ。
「街に着いたらもっと動きやすい服を買おう。そしたらマリアも一緒に歩けるよ。」
「……わかったわ。今は我慢する。でも、約束よ?」
「ああ、もちろん。約束するよ。」
そう言って僕は小指を差し出す。マリアもフワリと笑って小指を絡めてくれた。
「指切りげんまん嘘付いたら針千本飲ーます、指切った!」
「ユアンは本当に約束が好きね。わざわざこんなことしなくたって約束破らないのに。」
「知ってるよ、マリアが真面目な人だって。でも癖なんだよね~」
へにゃりと笑って僕は扉を閉める。
……だってこんなことでもしないと君を縛り付けておけないだろう?目を離すとすぐに何処かへ行ってしまうから。
せっかくマリアと2人で暮らせる環境を作ったって、マリアはきっとすぐに外に出て行ってしまう。殿下のことも自分の力に変えて。
重い気分を吐き出して、料理を続ける。できたものをマリアに食べさせると、美味しいと喜んでくれた。
街まで今日中につかないと予定通りには進まなくなってしまう。既に僕は商売を始めていたから、定期的にまとまった金額は入ってくるし、お金の心配はないけれど。問題は街の人間たちだ。
マリアはこの国で1番と言っていいほどに美しい。アステカの姫君、リンとは比べ物にならないくらいには。
だから、マリアを捨ててリンを選んだ王太子には本当に腹が立つ。本当に選ばれてしまってもそれはそれで困ってしまうのだけれど。
まあ、それよりも街の人の視線をマリアは掻っ攫っていくだろうし、下品な輩を寄せ付けないとも限らない。一応護衛は後ろから付いてきてはいるけれど、僕1人では警戒を続けるのは難しい。
御者席の後ろにある窓から、チラリと中の様子を伺い見ると、マリアは暗い顔で何かに耐えるように唇を噛んでいた。
マリアの小さな唇が傷ついてしまうのは惜しいけれど、マリアはどんな表情をしていても美しい。ただ、あんな表情にさせたのが、僕じゃないことにひどい苛立ちを感じる。
自分が仕向けたことなのに、僕が望んだことなのに。こうなるとわかっていても、マリアを手元に置くことだけは諦めきれないなんて、本当の馬鹿はマリアじゃなくて僕だな。
自らを嘲るように笑みを浮かべる。
結婚なんてできなくても、幼馴染でも、金づるでもなんでもいいから君のそばにいたい。
僕がマリアの幸せな世界を作るから、だからずっと僕と一緒にいてね?
「マリア……あんまり驚かせないで……。」
何処かへ連れ去られてしまったのかと思ってものすごく慌てた。ギュッとマリアを後ろから抱きしめると、呆れたような声が返ってきた。
「ユアンは全く心配性ね、昔から変わらないわ。」
いつもと変わらぬ声に安心して、グリグリと頭を擦り付ける。昨日よりも少し元気になっているようでよかった。まだすぐに立ち直れやしないだろうけれど……。
「わかっているなら心配させるようなこと、しないでよ……。」
僕がボソリとつぶやくと、マリアは腕の中でクルッと向きを変えた。そして、マリアは僕の頭をヨシヨシと頭を撫でる。
「そう簡単にいなくならないわ。それにユアンが守ってくれるらしいんですもの。」
僕が昨日言ったことを覚えてくれていたみたいだ。でも、からかうように言われたのが気に食わない。ムーっとはぶてるように頬を膨らませると、マリアに笑われた。
「ユアン、そろそろ出発しましょう?お腹が空いたわ。」
「あ、ごめん。気が回らなかった。とりあえず、携帯食食べる?」
「それって美味しいの?」
マリアは公爵令嬢だから、携帯食なんて口にしたことはない。僕も出来るだけ、マリアにこういうものは食べさせたく無かったんだけど…。
「まあまあ、かな。このままだとパサパサしてるから、ちょっとアレンジでもしてみようか。」
「ユアンは料理も得意だものね。期待しているわ。」
マリアに褒められてちょっと照れながらも、野外の調理セットを借りに行く。僕がいない間に誰かにマリアが襲われても困るからきちんと鍵をかけて。
マリアは部屋に篭りきりなのは好きじゃない。だから早く僕が用意した家に連れて行ってあげたい。守衛に声をかけると、快く調理セットを貸し出してくれた。
傭兵とかも停留所で一泊することは多い。だから、守衛たちは簡易的なサバイバル用品を揃えていてくれる。火を焚いて調理の準備をし始めると、後ろでガチャリと扉の開く音がした。
「マリア!出てきたらだめだよ。」
「どうして?」
「ドレスに火が移ってしまうだろう?」
嘘。ただ周りの奴らの目にマリアを写したくないだけだ。
「街に着いたらもっと動きやすい服を買おう。そしたらマリアも一緒に歩けるよ。」
「……わかったわ。今は我慢する。でも、約束よ?」
「ああ、もちろん。約束するよ。」
そう言って僕は小指を差し出す。マリアもフワリと笑って小指を絡めてくれた。
「指切りげんまん嘘付いたら針千本飲ーます、指切った!」
「ユアンは本当に約束が好きね。わざわざこんなことしなくたって約束破らないのに。」
「知ってるよ、マリアが真面目な人だって。でも癖なんだよね~」
へにゃりと笑って僕は扉を閉める。
……だってこんなことでもしないと君を縛り付けておけないだろう?目を離すとすぐに何処かへ行ってしまうから。
せっかくマリアと2人で暮らせる環境を作ったって、マリアはきっとすぐに外に出て行ってしまう。殿下のことも自分の力に変えて。
重い気分を吐き出して、料理を続ける。できたものをマリアに食べさせると、美味しいと喜んでくれた。
街まで今日中につかないと予定通りには進まなくなってしまう。既に僕は商売を始めていたから、定期的にまとまった金額は入ってくるし、お金の心配はないけれど。問題は街の人間たちだ。
マリアはこの国で1番と言っていいほどに美しい。アステカの姫君、リンとは比べ物にならないくらいには。
だから、マリアを捨ててリンを選んだ王太子には本当に腹が立つ。本当に選ばれてしまってもそれはそれで困ってしまうのだけれど。
まあ、それよりも街の人の視線をマリアは掻っ攫っていくだろうし、下品な輩を寄せ付けないとも限らない。一応護衛は後ろから付いてきてはいるけれど、僕1人では警戒を続けるのは難しい。
御者席の後ろにある窓から、チラリと中の様子を伺い見ると、マリアは暗い顔で何かに耐えるように唇を噛んでいた。
マリアの小さな唇が傷ついてしまうのは惜しいけれど、マリアはどんな表情をしていても美しい。ただ、あんな表情にさせたのが、僕じゃないことにひどい苛立ちを感じる。
自分が仕向けたことなのに、僕が望んだことなのに。こうなるとわかっていても、マリアを手元に置くことだけは諦めきれないなんて、本当の馬鹿はマリアじゃなくて僕だな。
自らを嘲るように笑みを浮かべる。
結婚なんてできなくても、幼馴染でも、金づるでもなんでもいいから君のそばにいたい。
僕がマリアの幸せな世界を作るから、だからずっと僕と一緒にいてね?
0
あなたにおすすめの小説
一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!
夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」
婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。
それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。
死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。
……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。
「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」
そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……?
「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」
不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。
死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!
感情の無い聖女様は、公爵への生贄にされてしまいました
九条 雛
恋愛
「――私など、ただの〝祈り人形〟でございます。人形に感情はありませぬ……」
悪逆非道の公爵の元へと生贄として捧げられてしまった聖女は、格子の付いた窓を見上げてそう呟く。
公爵は嗜虐に満ちた笑みを浮かべ言い放つ。
「これからは、三食きちんと食べてもらおう。こうして俺のモノとなったからには、今までのような生活を送れるとは思わぬことだな」
――これは、不幸な境遇で心を閉ざしてしまった少女と、その笑顔を取り戻そうとする男の物語。
婚約破棄されたのに、王太子殿下がバルコニーの下にいます
ちよこ
恋愛
「リリス・フォン・アイゼンシュタイン。君との婚約を破棄する」
王子による公開断罪。
悪役令嬢として破滅ルートを迎えたリリスは、ようやく自由を手に入れた……はずだった。
だが翌朝、屋敷のバルコニーの下に立っていたのは、断罪したはずの王太子。
花束を抱え、「おはよう」と微笑む彼は、毎朝訪れるようになり——
「リリス、僕は君の全てが好きなんだ。」
そう語る彼は、狂愛をリリスに注ぎはじめる。
婚約破棄×悪役令嬢×ヤンデレ王子による、
テンプレから逸脱しまくるダークサイド・ラブコメディ!
悪役令嬢の大きな勘違い
神々廻
恋愛
この手紙を読んでらっしゃるという事は私は処刑されたと言う事でしょう。
もし......処刑されて居ないのなら、今はまだ見ないで下さいまし
封筒にそう書かれていた手紙は先日、処刑された悪女が書いたものだった。
お気に入り、感想お願いします!
悪役令嬢のビフォーアフター
すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。
腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ!
とりあえずダイエットしなきゃ!
そんな中、
あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・
そんな私に新たに出会いが!!
婚約者さん何気に嫉妬してない?
わんこ系婚約者の大誤算
甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。
そんなある日…
「婚約破棄して他の男と婚約!?」
そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。
その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。
小型犬から猛犬へ矯正完了!?
【完結】元悪役令嬢は、最推しの旦那様と離縁したい
うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
「アルフレッド様、離縁してください!!」
この言葉を婚約者の時から、優に100回は超えて伝えてきた。
けれど、今日も受け入れてもらえることはない。
私の夫であるアルフレッド様は、前世から大好きな私の最推しだ。 推しの幸せが私の幸せ。
本当なら私が幸せにしたかった。
けれど、残念ながら悪役令嬢だった私では、アルフレッド様を幸せにできない。
既に乙女ゲームのエンディングを迎えてしまったけれど、現実はその先も続いていて、ヒロインちゃんがまだ結婚をしていない今なら、十二分に割り込むチャンスがあるはずだ。
アルフレッド様がその気にさえなれば、逆転以外あり得ない。
その時のためにも、私と離縁する必要がある。
アルフレッド様の幸せのために、絶対に離縁してみせるんだから!!
推しである夫が大好きすぎる元悪役令嬢のカタリナと、妻を愛しているのにまったく伝わっていないアルフレッドのラブコメです。
全4話+番外編が1話となっております。
※苦手な方は、ブラウザバックを推奨しております。
逃げたい悪役令嬢と、逃がさない王子
ねむたん
恋愛
セレスティーナ・エヴァンジェリンは今日も王宮の廊下を静かに歩きながら、ちらりと視線を横に流した。白いドレスを揺らし、愛らしく微笑むアリシア・ローゼンベルクの姿を目にするたび、彼女の胸はわずかに弾む。
(その調子よ、アリシア。もっと頑張って! あなたがしっかり王子を誘惑してくれれば、私は自由になれるのだから!)
期待に満ちた瞳で、影からこっそり彼女の奮闘を見守る。今日こそレオナルトがアリシアの魅力に落ちるかもしれない——いや、落ちてほしい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる