妹は私から奪った気でいますが、墓穴を掘っただけでした。私は溺愛されました。どっちがバカかなぁ~?

百谷シカ

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1 ねえ、本気?

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「本当に可愛げのない女よね! お姉様は賢いかもしれないけど、決してお利口さんではないわ。お姉様はバカよ! 女なら愛される努力をしなくちゃ。そう、この私みたいにね! キャハ♪」


 妹のアラベラが私を嘲笑う。
 私は横目で一瞥し、手を動かした。


「いえ、嫌いなのよ」

「そういうところよ! お姉様に相手を嫌う権利なんてないわ。誰もお姉様の意見なんて求めてないし、選んでもらったら『はい喜んで』って言えばいいじゃない! ほんとに大丈夫? 結婚できないわよ?」

「自分の意見も言えないような相手とは結婚したくないから結構よ」

「はあ!? 自分の立場、わかっていらっしゃる? そうやって口答えばっかりするから婚約を破棄されたんじゃない!」 


 私はカーニー伯爵令嬢ヒラリー・コンシダイン。
 ユーイン伯爵令息ルーシャン・バイアットから婚約を破棄されたのは事実。


「殿方に口答えするなんて言語道断! ただ可愛く笑っていればいいの!! ねえ、お姉様? 誰もっ。お姉様のっ。意見なんて! 聞いちゃいないわよ!!」

「うん。じゃあ黙ってるから部屋を出て行って。忙しいの」


 私は旅行鞄のひとつめを検め、ふたつめに取り掛かった。


「私を追い出す気? 追い出されるのは自分じゃない。私は結婚するの。祝福されてこの家を送り出されるのよ? お姉様は? 口喧しくて生意気で可愛げがなくて、それで結婚がダメになった惨めなキズモノ令嬢でしょう? 家に置いておくのが恥ずかしいから寄宿学校に入れられるのよ? ねえ、まさか、『やったぁ~、お父様がお勉強させてくれるわぁ~』とか浮かれてないわよね?」

「やったー、お父様がお勉強させてくれるわー」

「バカにしてるでしょ。バカなふりして私をバカにしたんだわ! バカなのはお姉様だってば! 学校に入ってどうするの? 勉強して生意気っぷりに磨きをかけて、偏屈で孤独なおばあちゃんになるつもり!? 私、面倒見ないわよ!?」

「ちょっと、そこどいて」

「え!?」

「その棚」

「はっ!?」

「あ、いい。あとにする」


 妹の目がつり上がる。
 でもすぐに、大きな口を開けて笑った。


「やぁだ、強がっちゃって。お姉様に嫌気がさしたルーシャンが私を結婚相手に選んだから妬いてるんでしょう? 本当は悔しいくせに! 素直に泣いたらぁ~?」


 妹は浮かれている。


「いえ。そんなくだらない理由で乗り換える殿方なんて願い下げよ」

「はあっ!? そういうところが淑女失格なのよ? バーカ!!」

「……」


 疲れた。
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