月下のもと、彼岸の金魚

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新たな生活

第二十五話:オーナーとべに丸の関係

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第二十五話:オーナーとべに丸の関係

 翌日になると、八宵は月乃に霊力を貰い中華屋に出勤する事になった。その際、月乃はなるべく多めに八宵に霊力を分け与える事で、簡単な護身術が使えるようにした。
「気休めかもしれないけど……なんか困った時は、このお札使ったら防護壁を出現させる事ができるから、もしもの時は使えよ」
 月乃は八宵に霊力を込めたお札を渡す。八宵はしっかりとお札を受け取り、少し早めに出勤する。

「(今日は早めに着きそうだから、玄関前とか綺麗に掃除しておこうかな……)」
 八宵は中華屋に着くとまず、奥にある更衣室に向かう。べに丸はまだ来ていないのだろうか、中華屋の入り口では姿がなかった。八宵は奥に進み、更衣室のドアを開けて中に入る。自身のロッカーに向かうと着替えをし始めた。ふと何かの気配を感じ取ると、奥の方でごそごそ物音が聞こえる。よくよく耳を澄まして注意を向けてみると、話し声も聞こえてきた。べに丸はもう来ていたのだろうか、物音のする方へ足を進めると……。カーテンの向こうに誰かがいるようだ。
 八宵は、おはよ~と挨拶しようとしたのだが……。べに丸が先に口を開く。
「……っ八宵っ……。もう来たのカ……?!ちょっとお前っ今こっち来るナ……!!」
 べに丸は何故か焦っている。八宵は急な事ですぐに理解ができずカーテンを開けてしまった。そこには、べに丸とオーナーがいた。そしてよくよく見てみると、べに丸の着ているチャイナ服はへその辺りまで捲りあがっていて、オーナーがべに丸を後ろから支えている。
 八宵はべに丸と目が合うと、状況を理解した。カーテンの向こう側でべに丸とオーナーは性交渉をしている。
「えっ……えっ、ごっごめんっ!!」
 と言い八宵はすぐに退室しようとする。対して、オーナーは呑気に
「八宵に見られちゃったか~ま、隠すほどのもんでもないし、いいだろ。な、べに丸」
 と飄々としている。べに丸は
「もうっ十分だろっ!!良いから離せヨ……!!」
 と鬼の角を出して怒りを露わにしている。八宵はすぐさまダッシュで更衣室から出ていった。

 しばらくすると、更衣室から顔を赤くしたべに丸が出て来た。べに丸はかなり気まずそうにしている。
「べに丸……オーナーの千咲さんと、そーゆー関係だったんだね……」
 と聞いてみると、
「あんまり言いふらすなヨ……。人間と怪異が交際してるなんて……そう好ましい事じゃないからナ……」
 と俯いてぽそぽそと呟く。八宵は、べに丸の腕を掴むと、ヒソヒソ声で
「あのね……僕も人間の元で暮らしてるって言ったけど、実は人間の男の人と、交際してるんだ」
 と打ち明ける。べに丸は顔をあげると、八宵がどこか嬉しそうな表情をしている。
「ね、今度さ色々落ち着いた所で話そうよ……僕も色々悩んでる事があってさ」
 とべに丸に持ち掛ける。べに丸は少し驚いたような表情をして
「ま、まぁ気が向いたらナ……」
 とそっぽを見つめながらも、少し嬉しそうにしていた。八宵は制服のチャイナに着替えると、べに丸と手を繋ぎ開店の準備をしだすのであった。

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