迷い込んだ少年

透太郎

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その主は、これまでに少年が見たこともないものであった。
少年の身長は150cmほどだが、その生き物はそれを遥かに上回り、2mを軽々と超えていた。
その身体は全身が灰色の毛に覆われ、手には鋭い爪が、口には鋭く太い牙があり、頭には犬のような耳が生えていた。
少年の目の前に現れたその狼に似た生き物の獰猛な瞳が、月明かりの中、黄色く光っていた。

「小僧、我が森で何をしている」

その生き物が口を開いた。
少年は、声を出すことができなかった。
その生き物の獰猛な目に見られただけで、少年の身体はガクガクと震えだし、ただただ目に涙を浮かべてその生き物を見つめることしかできなかった。

「質問に答えろ」
「小僧、ここで何をしている」

再び同じ問いを投げ掛けられたが、少年はやはり答えることができなかった。

――逃げなきゃ…!――

少年は震える足を精一杯動かし、その生き物に背を向けて逃げようとした。
だが、少年が動き出すより速く、その生き物は足を使って高く跳び、少年の目の前に回り込んだ。

「我が問いに答えぬばかりか、逃げ去ろうとするとは…無礼な小僧だな」

少年の目に映るその生き物は、誰が見ても明らかにその怒りが伝わるほどの表情をしていた。

『ご、ごめんなさい…』

震える声で少年は謝罪した。
だが、返ってきた答えは

「我が森に勝手に入り込み、我が問いにも答えず、あまつさえ背を向け逃げようとした。断じて謝罪だけで許される行為ではない」

という非情なものであった。
少年の身体は先ほどよりも大きくガタガタと震えた。

「生きの良い獲物がわざわざ森に入り込んだのだ。代償はその身体で払ってもらうぞ」

目を細め、ニヤリと笑いながら言ったその言葉に、少年は、この生き物は自分を食べようとしているとさらに恐怖した。

『ご、ごめんなさい!許してください!食べないで!』

少年は恐怖で身体が震える中、生き物に懇願した。

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