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少年の精一杯の言葉を無視し、生き物は少年に近付いた。
少年は震える足を何とか動かし、後退ったが、すぐに大きな木にぶつかり逃げ道は絶たれてしまった。
生き物は少年の目の前までその歩みを進めた。
少年の小さな身体を見下ろすと、その顔に獰猛な笑みを浮かべた。
『ひっ…!!』
少年の恐怖はピークに達し、その身体は大きくガタガタと震えた。
それと同時に、周囲に独特の臭いが広がった。
「小僧、お前、漏らしたのか?」
生き物は、恐怖のあまり失禁した少年を見つめ、嘲笑した。
だが、嘲笑されようとも少年はそれどころではなかった。
通常であれば恥ずかしさが込み上げるのだろうが、今の少年は恐怖に支配されており、恐怖以外の感情を持てるはずがなかったのである。
「小便臭いガキめ…」
生き物は嘲笑いながら身体を屈ませ、少年の匂いを嗅ぎ始めた。
――なにをしているの…?――
少年には、目の前の生き物がなぜ自分の匂いを嗅いでいるのか理解できなかった。
ひとしきり少年の匂いを嗅いだ生き物は、少年に問いかけた。
「この匂い、小僧、お前 "まだ" だな?」
目の前の生き物がニヤリとした表情を浮かべながら問いかけたその意味が、少年には分からなかった。
「ま、まだって何ですか…?」
震えながら、少年は蚊の鳴くような声で問い返した。
「分からぬか。まぁいい。それはそれで楽しみ甲斐がある」
生き物はその顔に獰猛な笑みを浮かべた。
そして、腰に下げた革袋から一粒の小さな黒い玉のような物を取り出した。
「小僧、これを飲め」
生き物は少年にそれを差し出した。
――なにこれ…?こんなの飲みたくない…――
少年は動けなかった。その様子に、生き物は苛立ちを示した。
「小僧、痛い思いをしたいのか?したくないのならば飲め!」
その言葉に、少年は震える手で差し出されたものを受け取り、恐る恐る口に入れた。
「飲み干せ」
生き物の言葉に、少年は涙をこぼしながらその玉を飲み込んだ。
玉は苦くも酸っぱくも、もちろん甘くもなく、少年の喉を通り過ぎていった。
「それでいい」
生き物はまたニヤリと笑った。
少年は当然自分が飲まされたものが何なのか分からず、ただただ困惑した。
「人間っていうのはな…血肉はもちろん美味いが、それだけではすぐに終わってしまうからな…」
生き物の言葉に、困惑していた少年の頭は恐怖に引き戻された。
「血肉以外に長く楽しめる方法があるのだ」
生き物はニヤリとしながら舌舐めずりをし、それを見た少年は震え上がった。
――怖い…!怖い…!助けて…誰が助け………?――
頭の中で助けを求めていた少年だったが、突然視界がぼやけ始め、強烈な眠気に襲われた。
――なに…?なにこれ…?なんでねむ…く………――
少年の身体は糸が切れたようにその場に倒れ込んだ。
それを見た生き物は満足そうな笑みを浮かべ、
「効いたか。では楽しませてもらうぞ」
そう言って、倒れ込んだ少年の両腕を同時に片手で掴み、軽々と持ち上げ、少年の体は宙にぶら下がった。
少年は震える足を何とか動かし、後退ったが、すぐに大きな木にぶつかり逃げ道は絶たれてしまった。
生き物は少年の目の前までその歩みを進めた。
少年の小さな身体を見下ろすと、その顔に獰猛な笑みを浮かべた。
『ひっ…!!』
少年の恐怖はピークに達し、その身体は大きくガタガタと震えた。
それと同時に、周囲に独特の臭いが広がった。
「小僧、お前、漏らしたのか?」
生き物は、恐怖のあまり失禁した少年を見つめ、嘲笑した。
だが、嘲笑されようとも少年はそれどころではなかった。
通常であれば恥ずかしさが込み上げるのだろうが、今の少年は恐怖に支配されており、恐怖以外の感情を持てるはずがなかったのである。
「小便臭いガキめ…」
生き物は嘲笑いながら身体を屈ませ、少年の匂いを嗅ぎ始めた。
――なにをしているの…?――
少年には、目の前の生き物がなぜ自分の匂いを嗅いでいるのか理解できなかった。
ひとしきり少年の匂いを嗅いだ生き物は、少年に問いかけた。
「この匂い、小僧、お前 "まだ" だな?」
目の前の生き物がニヤリとした表情を浮かべながら問いかけたその意味が、少年には分からなかった。
「ま、まだって何ですか…?」
震えながら、少年は蚊の鳴くような声で問い返した。
「分からぬか。まぁいい。それはそれで楽しみ甲斐がある」
生き物はその顔に獰猛な笑みを浮かべた。
そして、腰に下げた革袋から一粒の小さな黒い玉のような物を取り出した。
「小僧、これを飲め」
生き物は少年にそれを差し出した。
――なにこれ…?こんなの飲みたくない…――
少年は動けなかった。その様子に、生き物は苛立ちを示した。
「小僧、痛い思いをしたいのか?したくないのならば飲め!」
その言葉に、少年は震える手で差し出されたものを受け取り、恐る恐る口に入れた。
「飲み干せ」
生き物の言葉に、少年は涙をこぼしながらその玉を飲み込んだ。
玉は苦くも酸っぱくも、もちろん甘くもなく、少年の喉を通り過ぎていった。
「それでいい」
生き物はまたニヤリと笑った。
少年は当然自分が飲まされたものが何なのか分からず、ただただ困惑した。
「人間っていうのはな…血肉はもちろん美味いが、それだけではすぐに終わってしまうからな…」
生き物の言葉に、困惑していた少年の頭は恐怖に引き戻された。
「血肉以外に長く楽しめる方法があるのだ」
生き物はニヤリとしながら舌舐めずりをし、それを見た少年は震え上がった。
――怖い…!怖い…!助けて…誰が助け………?――
頭の中で助けを求めていた少年だったが、突然視界がぼやけ始め、強烈な眠気に襲われた。
――なに…?なにこれ…?なんでねむ…く………――
少年の身体は糸が切れたようにその場に倒れ込んだ。
それを見た生き物は満足そうな笑みを浮かべ、
「効いたか。では楽しませてもらうぞ」
そう言って、倒れ込んだ少年の両腕を同時に片手で掴み、軽々と持ち上げ、少年の体は宙にぶら下がった。
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