処刑人

たづる

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死刑とは、主に人命を奪った者への極刑である。

私は死刑執行人(処刑人)としての仕事に、罪悪感を覚えた事は微塵もない。むしろ誇りを胸に仕事を行なっている。私は、裁判官の判断により極刑にされた者を、国の命により処刑を行う。絶対的正義を持って、絶対的悪を処刑しているのである。

生まれた時から私はその中で生まれてきたのであり、その中育ってきた。挫折を感じた事は生まれて一度もない。ましてや、自信や誇りは増していくばかりであった。

小学生の頃は、学級委員長として学校に来る事を苦手としていた友の家に通い、学校の楽しさを幼いながらに毎日説き、その友は、学校に来ることができるようになった。
中学生の頃は、生徒会長として虐められている友から直接話を聞き、虐めを行なっている者に対し直接、戒めの言葉をかけた。勿論、逆上などもされたが問題の直接的解決を行い、その後友は虐められることは無くなったと、僕に感謝の言葉を述べてくれた。
高校生の頃は、風紀委員長として生徒の風紀を正す為、毎日学校を駆け回っていた。身なりが風紀を乱している者には、時に厳しくその場で正した。教師の方々には、私のおかげで仕事が助かるとおしゃってくださった。

私の人生には一点の曇りもない。私の正義により周りの世界は平和へと導かれ、私がいる事により安寧が保たれている。

絶対的正義を持つ事により、世に蔓延る絶対的悪は排除をする事が可能である。私が絶対的正義である。

「本日の罪人の事ですが…」

「何を吃っているのだ。安心したまえ。私が君に対して文句を言う事は、あり得ない事なのだから。」

「は、はい。実はですね、処刑をされる前にどうしても会話を行いたいとの事でして…」

「今日、処刑をされる者は3人だったな。全員か?」

「はい…。死ぬ前に一度だけでも…との事です…。」


「絶対的悪と会話しなければならぬのは、癪ではあるが私も鬼畜ではない。会話というなら、死ぬ前に正義について説いてやろう。理解できるかは分からぬがな。」

「では、よろしくお願いします。私からの伝言は以上になります…。罪人は既に処刑部屋に居るので…。」

「ああ。わかった。」

史上最悪の殺人鬼とも言われた罪人も、絶対的正義の下では屈服され、地獄へと落ちる事になるのだ。

私は、罪人のいる処刑部屋へと向かった。

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