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初等部編
秘密会議で独り言
しおりを挟むいつもより遅い時間に着いたので、隣の席にはオスカーがいる。例のごとく私からは目を反らしているので、机の前に立った。
「オスカー、ちょっと来てくださる?」
面と向かって呼び出されるとは思ってなかったらしく、驚いた顔で私を見上げると、またふいっと横を向いた。
無視を決め込むつもりらしい。
私は横を向くオスカーの頬に指で触れた。
教室内がざわつくのがわかる。
「こっちを向いてくださらない?オスカー……」
涙声にオスカーが慌てて振り向く。
私は頭の中で(お兄様の結婚式)を想像して涙を浮かべていた。
(うっ……マクシムお兄様……。推しが家にいることで、どれだけ癒されていたことか……。もし結婚したら公爵位を継ぐまでは別宅か離れに住むだろう。今みたいに会えなくなるだろう……つら……)
「アリス……」
すっかりほだされた(騙された)オスカーを、私は廊下へ連れ出した。その際、アレックスにも付き添ってもらった。証人がいた方がいい。
隣の教室に行き、リュカも呼び出す。
このままだと授業に遅れるが、我が家で別問題が発生したので、早急にこちらを解決しなければならない。
そのための非常手段、みんなごめんなさーい!と自分に言い聞かせた。
庭園につくと、面倒そうにオスカーが言う。
「なんだよ、話って」
「まず、エスコートの件を謝りたいの。ごめんなさい、オスカー」
私がそう謝罪すると、案の定オスカーは目をそらして投げやりに言った。
「別に怒ってない」
「じゃあ、どうして私を避けてたの?」
「それは……」
オスカーが言い淀んだから、私は続きを促した。
「教えて欲しいの。このまま無視されるのはいや」
「アリス、お前が遠くに行ってしまう気がして……。ラファエルのエスコートにも堂々と応えて、臆することなく社交界デビューして。ああ、アリスは王妃様になるのか、と思ったら遠い存在に感じてしまった」
「私は王太子妃にはなるつもりはないわ」
「そう言っても、周りがそう扱うだろう」
確かに、オスカーの言う通りではある。子供が喚いても、簡単には聞き入れてもらえない。するとリュカが急に口を開いた。
「これは独り言なのだが……、私は王太子殿下とアリスとの婚約には反対の立場をとろうと思っている」
アレックスもオスカーも、驚いたようにリュカを見た。
そしてオスカーが言った。
「何……? お前、アリスの味方になってやらないのかよ」
リュカは、オスカーの視線を無視してさらに『独り言』を続けた。
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