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高等部編
王室礼拝堂探検隊_2
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翌週の休日、私は王城へ行くため、リラとカーラと供に馬車に乗っていた。
フランドル伯が私を監視したいのか、他に意図があるのかわからないけど、条件付きとはいえエリアスと一緒にいられる機会を逃したくない私は、勿論フランドル伯に「是非ご一緒してください」というお返事を書いた。
馬車を降り、王城内を東へ向けて歩いていると、王室礼拝堂の尖塔が見えてくる。
王室礼拝堂は、白と金が基調の壮麗な造りで、戴冠式や立太子式などの王室関係の式典が行われる場所。
装飾には歴代の王の彫刻や、ばら窓のステンドグラス。入口は三つで、それぞれが、大王の扉・聖女の扉・聖アンリの扉と呼ばれている。尖塔に鐘はあるが式典の際にしか鳴らされない。礼拝堂の隣は王家の石室墓があり、王族の遺体が安置されている。
その王室礼拝堂の前に、二人の人影。てっきりエリアスとフランドル伯だと思っていたのに、何故かエリアスとガブリエルが私達を待っていた。
「どうして大公殿下が?」
「面白そうだったから」
これ以上人数が増えたらデートじゃないじゃん!来ないでよ!と言いたかったが、王族かつ公爵かつ紋章官という地位の人にはとても言えない。どうやらエリアスがガブリエルに連絡していたらしく、二人は私そっちのけで楽しそうに雑談している。
(ぐぬぬぬ……完全に邪魔だわ、ガブリエル……!)
フランドル伯は先に中でお祈りをしているらしい。というか、お祈りをするために少し早く来たそう。
王室礼拝堂は、左右対称の長方形の建物で、中に入るとまず長い身廊があり、奥が祭壇となっている。
身廊はホールのような広い通路で、両脇には側廊と呼ばれる通路があり、前世で見たカトリックの教会とつくりが似ている気がした。突き当りには豪華なステンドグラスが壁を飾り、そこに礼拝室がある。
静かで荘厳な雰囲気に圧倒されそうだった。
先にお祈りをしていたフランドル伯の邪魔にならないように注意しながら、私も礼拝室で祈りを捧げる。
礼拝の後で、フランドル伯に一礼して御礼を述べた。
「今日は、ご同行頂きありがとうございます」
「いえ、わしも久しく参拝しておりませんでしたから」
まさに親戚のおじいちゃんといった風情でフランドル伯が笑って言った。
……親戚のお墓参りについてきた、って感じなのかなー?
私は式典以外で来るのは初めてなので、祭壇の後ろや足元、天井に至るまで細かく観察していた。よくよく見ると天井は花文様が美しくて圧巻。祭壇の横にある香部屋(準備室)にも入らせてもらった。
(うーん……でも、特に変わった場所もないわねえ……)
金で作られた豪奢な祭壇を前に、ふと思いつきを口に出してみた。
「ガブリエル、ここに地下聖堂はある?」
「ラファエルか誰かに聞いたのかい?地下聖堂はあるよ。聖遺物が納められているから通常立入禁止だし、入口がどこかも秘匿されている」
あるんだ。やっぱり……。『悪魔』といえば地下よね!って単純に思っただけなんだけどね!
「王室礼拝堂にある聖遺物とは?」
エリアスがガブリエルに質問している。
「聖アンリの槍……と言われているけど、僕も地下には入ったことがないし、見たこともない。本物かどうかも知らない。どうでもいいけどね」
王族がどうでもいいとか言っていいんだろうかと思ったが、まあ本音なんだろう。
聖アンリは、これもまたお伽話に何度も出てくる盲目の騎士。
建国から200年程後の時代、民を悩ませていた蛇の悪魔を倒して封印し、民を救ったという英雄。
「アリスはどうして地下聖堂の事を?」
「あ、ああ……。悪魔退治の参考にならないかと……」
私は聖アンリの伝説について一生懸命思い出していたから、ガブリエルの質問に深く考えずに答えてしまった。
「「「……悪魔退治……?」」」
ガブリエルとエリアスとフランドル伯、三人が同時に不審そうな声で私の方を振り返っていた。リラとカーラが天を仰いでいる。
(はっ、しまった!!!うちで雑談してる時じゃないんだから、ほいほい答えるんじゃなかった!!!)
「あ、えーとえーと、今読んでる本でね、えーとえーと……」
私が必死で言い訳を考えていると、入口の方から小鳥のような女性の声が聞こえて来た。逆光で見えづらいがそれが若い男女だということはわかる。隣にいたエリアスが呟いた。
「王太子殿下と……ソフィア嬢……?」
……前室にラファエル様とソフィアが一緒にいるらしい。なんで……王城に彼女がいるの……?
フランドル伯が私を監視したいのか、他に意図があるのかわからないけど、条件付きとはいえエリアスと一緒にいられる機会を逃したくない私は、勿論フランドル伯に「是非ご一緒してください」というお返事を書いた。
馬車を降り、王城内を東へ向けて歩いていると、王室礼拝堂の尖塔が見えてくる。
王室礼拝堂は、白と金が基調の壮麗な造りで、戴冠式や立太子式などの王室関係の式典が行われる場所。
装飾には歴代の王の彫刻や、ばら窓のステンドグラス。入口は三つで、それぞれが、大王の扉・聖女の扉・聖アンリの扉と呼ばれている。尖塔に鐘はあるが式典の際にしか鳴らされない。礼拝堂の隣は王家の石室墓があり、王族の遺体が安置されている。
その王室礼拝堂の前に、二人の人影。てっきりエリアスとフランドル伯だと思っていたのに、何故かエリアスとガブリエルが私達を待っていた。
「どうして大公殿下が?」
「面白そうだったから」
これ以上人数が増えたらデートじゃないじゃん!来ないでよ!と言いたかったが、王族かつ公爵かつ紋章官という地位の人にはとても言えない。どうやらエリアスがガブリエルに連絡していたらしく、二人は私そっちのけで楽しそうに雑談している。
(ぐぬぬぬ……完全に邪魔だわ、ガブリエル……!)
フランドル伯は先に中でお祈りをしているらしい。というか、お祈りをするために少し早く来たそう。
王室礼拝堂は、左右対称の長方形の建物で、中に入るとまず長い身廊があり、奥が祭壇となっている。
身廊はホールのような広い通路で、両脇には側廊と呼ばれる通路があり、前世で見たカトリックの教会とつくりが似ている気がした。突き当りには豪華なステンドグラスが壁を飾り、そこに礼拝室がある。
静かで荘厳な雰囲気に圧倒されそうだった。
先にお祈りをしていたフランドル伯の邪魔にならないように注意しながら、私も礼拝室で祈りを捧げる。
礼拝の後で、フランドル伯に一礼して御礼を述べた。
「今日は、ご同行頂きありがとうございます」
「いえ、わしも久しく参拝しておりませんでしたから」
まさに親戚のおじいちゃんといった風情でフランドル伯が笑って言った。
……親戚のお墓参りについてきた、って感じなのかなー?
私は式典以外で来るのは初めてなので、祭壇の後ろや足元、天井に至るまで細かく観察していた。よくよく見ると天井は花文様が美しくて圧巻。祭壇の横にある香部屋(準備室)にも入らせてもらった。
(うーん……でも、特に変わった場所もないわねえ……)
金で作られた豪奢な祭壇を前に、ふと思いつきを口に出してみた。
「ガブリエル、ここに地下聖堂はある?」
「ラファエルか誰かに聞いたのかい?地下聖堂はあるよ。聖遺物が納められているから通常立入禁止だし、入口がどこかも秘匿されている」
あるんだ。やっぱり……。『悪魔』といえば地下よね!って単純に思っただけなんだけどね!
「王室礼拝堂にある聖遺物とは?」
エリアスがガブリエルに質問している。
「聖アンリの槍……と言われているけど、僕も地下には入ったことがないし、見たこともない。本物かどうかも知らない。どうでもいいけどね」
王族がどうでもいいとか言っていいんだろうかと思ったが、まあ本音なんだろう。
聖アンリは、これもまたお伽話に何度も出てくる盲目の騎士。
建国から200年程後の時代、民を悩ませていた蛇の悪魔を倒して封印し、民を救ったという英雄。
「アリスはどうして地下聖堂の事を?」
「あ、ああ……。悪魔退治の参考にならないかと……」
私は聖アンリの伝説について一生懸命思い出していたから、ガブリエルの質問に深く考えずに答えてしまった。
「「「……悪魔退治……?」」」
ガブリエルとエリアスとフランドル伯、三人が同時に不審そうな声で私の方を振り返っていた。リラとカーラが天を仰いでいる。
(はっ、しまった!!!うちで雑談してる時じゃないんだから、ほいほい答えるんじゃなかった!!!)
「あ、えーとえーと、今読んでる本でね、えーとえーと……」
私が必死で言い訳を考えていると、入口の方から小鳥のような女性の声が聞こえて来た。逆光で見えづらいがそれが若い男女だということはわかる。隣にいたエリアスが呟いた。
「王太子殿下と……ソフィア嬢……?」
……前室にラファエル様とソフィアが一緒にいるらしい。なんで……王城に彼女がいるの……?
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