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5、朝に知る
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はー、すごかった。
目が覚めた涼太が一番に思ったのはそれだった。
ごっつぁんでした。
さすがイケメン、エッチがうまい。
昨夜は要所要所をおさえ、ポイントを責め、口にせずとも要求はすべてかなえられそれ以上の未知なる快楽を教えられた。なおかつ知らなかった自身の新しい性感帯をも広げられた開発された気がする。
「めくるめく」ってああ言うのを言うんだな。
起きた時に男はいなかったが体はこざっぱりとしており、シーツも清潔だった。
昨夜は疲労と眠気でヘロヘロだった。記憶には無いが防水シーツでもして使っていたのかもしれない。アフターケアも万全とか。
やっべぇなー、これはちょっとハマりそうだ。
人のセックスに散々口出しをした事は話したが、前戯とアフターケアには立ち合っていないので話していない。ビビりでセーフティーセックスが大前提な涼太には、ちゃんとゴムを使う所も高ポイントだった。
てことは昨日のアレが素ってことか? だったらスゲェよな。
家を教えてもらったって事はまたお願い出来んのかなー
不特定多数との行為は怖くてセフレといった関係をこれまで考えた事もない涼太だったが「ちょっとの間セフレちっくにリピートさせてくんねぇかな」と本気で考えた。といっても寝起きの寝とぼけた頭なので、はっきり目が覚めればそんな気は無くなるのも自覚してもいる。
とは言えあれだけの容姿とテクニックの持ち主だ。相手など腐るほどいるに違いない。
寝室のドアが開き、整えているのか前髪をかき上げながらテクニシャンが顔をのぞかせる。
「ごちそうさまでした」
昨夜のめくるめくあれやこれに浸りきっていた脳は反射的に感謝の意を込めてそう発言し、言われた男はまたふはっと笑った。
「おはようだろ。食パンならあるけど食う? ごちそうさまはそのあと。起きてる?」
寝ぼけていると思われたらしい。夜のしっとりとしたミステリアスな男もいいが、朝の光で見る男もまた健康的で思わず「結構なお手前で」と内心呟いた。
※
「困ったら連絡していいから」
トーストとコーヒーという簡単な朝食を食べながら男はそう言った。
言いながらも、お互いダイニングテーブルの上にスマートフォンを置いているのに連絡先の交換をしようと言う事にはならず、涼太は社交辞令だと思った。
「午前中だけ仕事してくるけど、いていいから」
「いや、一緒に出る」
当然だろう、昨日知り合ったばかりの名前もろくに知らない相手の家で留守番をするほど非常識な人間ではない。
「別にいいのに。家決まるまでいてもいいし」
そういいながら男は洗面台へと一度消えた。
家決まるまでって、こわ。見ず知らずの相手に警戒心のない人だな。
うまい話は怖い。涼太の警戒心が再度頭をもたげてくる。
戻った男は黒ぶちの眼鏡の上に雑草でも覆いかぶさるかのように重い前髪を乗せて現れた。そう、それはまるでぬぼーっとしたカピバラのような。
「━━池之内さんだ」
涼太はぽかんとその名を呼び、男はくっと笑った。
「池之内ですよ」と、してやったりと言わんばかりの表情で口元に笑みを刻む。
知っている。もっさりとした外見とは裏腹に仕事の出来るうちの営業部のエースだ。
昨日までの出張は池之内が営業を担当する会社で、昨日も予定より一日早い作業終了の連絡をこの男に入れたのだ。
「え、池之内さんだ。え? なんで? いつから?」
「はじめから俺だって」
ふはっとおかしそうに笑う姿は昨日の美丈夫のしぐさと確かに重なるものだった。
「マジか」
そうか、連絡先の交換をしないワケだ。社内の人間でお互いもう連絡取り合ってるわ。
はー、なるほど。トーク力がハンパないのもそう言う事か。でもって相手の要望を読む事に長け、かけ引き上手だから営業成績もいいワケで。
そりゃ床上手なワケだ。
色々と納得しながら少し考えたあと涼太は口を開く。
「さっきの話、甘えていいすか? 信頼できる知人だったんで住むトコ決まるまでの間ご厄介になりたいなと。あと昼飯は昨日の肉まん食いません? 台所あさっていいなら晩飯は俺が作ります。といっても簡単なものになるけど」
「疲れてるだろ。そんなに気、遣わなくていいって」
「飯作るの苦じゃないんですよ。外出るより家で食べる方がラクじゃないすか? 外の方がいいなら外でもいいけど、メシ代は俺に出させてください」
「高津たかつのラクな方で」
「んじゃ家でだらだらする方で」
社内はこじれたり別れた後が面倒そうで考えた事もなかったが、池之内と接点はあれど部署が違う。池之内ならばお互いの秘密は守ってくれそうだし、そもそもバラそうにもお互いブーメランで諸刃の剣だ。
案外アリなのか。
池之内の方はどうか知らないが。
「なんで昨日のうちに言ってくれなかったんすか」
「保身」
あっさりと言われ、逆にひどく納得した。
そりゃ同僚には知られたくないだろう、気付かないなら気づかないまま終わらせた方がいい。でもそれなら━━
「それに同僚って分かったらおまえヤらなかっただろ?」
そう、自宅になど連れて来なかったはずだ。
結局やる気満々だったんじゃねぇか。
「なんて老獪な」
なじるように言えば池之内はまた楽しそうに笑う。
まったくこれだから年上は。
呆れたように池之内を見やるが池之内は全く悪びれる事なく言った。
「えらいトコで見知った顔見たから声かけたんだけど、いっつも淡々と仕事こなす高津クンがまさかこんなに面白いとはホント想定外で」
思い出して笑っている。どうやら池之内もまんざらでもなさそうで、お気に召したらしい。
とはいえこっちはまだ浮気野郎の件が片付いていないからどうもこうもないのだが。
そもそも、だ。
浮気なのだろうか、と。
長い付き合いのなか家賃がキツイと泣きつかれて同居して、肉体関係を持つようになったもののお互い性処理だった気もする。涼太は小心者で新しい出会いも求めに行けないし、セックスだって特定の相手としか出来ない。怖いからだ。
だから太吾はものすごくちょうど良くて。セックスが出来るのだから太吾のことは嫌いではない。
ただ━━では好きかと聞かれると「ん?んん?」となる。
ヤベ、俺フツーにビッチじゃん。
まぁその日の晩に他の男とヤッてるんだからそう言う事なんだろうと思う事にした。
だって仕方ないじゃないか。
そこに巨根があったんだから。
目が覚めた涼太が一番に思ったのはそれだった。
ごっつぁんでした。
さすがイケメン、エッチがうまい。
昨夜は要所要所をおさえ、ポイントを責め、口にせずとも要求はすべてかなえられそれ以上の未知なる快楽を教えられた。なおかつ知らなかった自身の新しい性感帯をも広げられた開発された気がする。
「めくるめく」ってああ言うのを言うんだな。
起きた時に男はいなかったが体はこざっぱりとしており、シーツも清潔だった。
昨夜は疲労と眠気でヘロヘロだった。記憶には無いが防水シーツでもして使っていたのかもしれない。アフターケアも万全とか。
やっべぇなー、これはちょっとハマりそうだ。
人のセックスに散々口出しをした事は話したが、前戯とアフターケアには立ち合っていないので話していない。ビビりでセーフティーセックスが大前提な涼太には、ちゃんとゴムを使う所も高ポイントだった。
てことは昨日のアレが素ってことか? だったらスゲェよな。
家を教えてもらったって事はまたお願い出来んのかなー
不特定多数との行為は怖くてセフレといった関係をこれまで考えた事もない涼太だったが「ちょっとの間セフレちっくにリピートさせてくんねぇかな」と本気で考えた。といっても寝起きの寝とぼけた頭なので、はっきり目が覚めればそんな気は無くなるのも自覚してもいる。
とは言えあれだけの容姿とテクニックの持ち主だ。相手など腐るほどいるに違いない。
寝室のドアが開き、整えているのか前髪をかき上げながらテクニシャンが顔をのぞかせる。
「ごちそうさまでした」
昨夜のめくるめくあれやこれに浸りきっていた脳は反射的に感謝の意を込めてそう発言し、言われた男はまたふはっと笑った。
「おはようだろ。食パンならあるけど食う? ごちそうさまはそのあと。起きてる?」
寝ぼけていると思われたらしい。夜のしっとりとしたミステリアスな男もいいが、朝の光で見る男もまた健康的で思わず「結構なお手前で」と内心呟いた。
※
「困ったら連絡していいから」
トーストとコーヒーという簡単な朝食を食べながら男はそう言った。
言いながらも、お互いダイニングテーブルの上にスマートフォンを置いているのに連絡先の交換をしようと言う事にはならず、涼太は社交辞令だと思った。
「午前中だけ仕事してくるけど、いていいから」
「いや、一緒に出る」
当然だろう、昨日知り合ったばかりの名前もろくに知らない相手の家で留守番をするほど非常識な人間ではない。
「別にいいのに。家決まるまでいてもいいし」
そういいながら男は洗面台へと一度消えた。
家決まるまでって、こわ。見ず知らずの相手に警戒心のない人だな。
うまい話は怖い。涼太の警戒心が再度頭をもたげてくる。
戻った男は黒ぶちの眼鏡の上に雑草でも覆いかぶさるかのように重い前髪を乗せて現れた。そう、それはまるでぬぼーっとしたカピバラのような。
「━━池之内さんだ」
涼太はぽかんとその名を呼び、男はくっと笑った。
「池之内ですよ」と、してやったりと言わんばかりの表情で口元に笑みを刻む。
知っている。もっさりとした外見とは裏腹に仕事の出来るうちの営業部のエースだ。
昨日までの出張は池之内が営業を担当する会社で、昨日も予定より一日早い作業終了の連絡をこの男に入れたのだ。
「え、池之内さんだ。え? なんで? いつから?」
「はじめから俺だって」
ふはっとおかしそうに笑う姿は昨日の美丈夫のしぐさと確かに重なるものだった。
「マジか」
そうか、連絡先の交換をしないワケだ。社内の人間でお互いもう連絡取り合ってるわ。
はー、なるほど。トーク力がハンパないのもそう言う事か。でもって相手の要望を読む事に長け、かけ引き上手だから営業成績もいいワケで。
そりゃ床上手なワケだ。
色々と納得しながら少し考えたあと涼太は口を開く。
「さっきの話、甘えていいすか? 信頼できる知人だったんで住むトコ決まるまでの間ご厄介になりたいなと。あと昼飯は昨日の肉まん食いません? 台所あさっていいなら晩飯は俺が作ります。といっても簡単なものになるけど」
「疲れてるだろ。そんなに気、遣わなくていいって」
「飯作るの苦じゃないんですよ。外出るより家で食べる方がラクじゃないすか? 外の方がいいなら外でもいいけど、メシ代は俺に出させてください」
「高津たかつのラクな方で」
「んじゃ家でだらだらする方で」
社内はこじれたり別れた後が面倒そうで考えた事もなかったが、池之内と接点はあれど部署が違う。池之内ならばお互いの秘密は守ってくれそうだし、そもそもバラそうにもお互いブーメランで諸刃の剣だ。
案外アリなのか。
池之内の方はどうか知らないが。
「なんで昨日のうちに言ってくれなかったんすか」
「保身」
あっさりと言われ、逆にひどく納得した。
そりゃ同僚には知られたくないだろう、気付かないなら気づかないまま終わらせた方がいい。でもそれなら━━
「それに同僚って分かったらおまえヤらなかっただろ?」
そう、自宅になど連れて来なかったはずだ。
結局やる気満々だったんじゃねぇか。
「なんて老獪な」
なじるように言えば池之内はまた楽しそうに笑う。
まったくこれだから年上は。
呆れたように池之内を見やるが池之内は全く悪びれる事なく言った。
「えらいトコで見知った顔見たから声かけたんだけど、いっつも淡々と仕事こなす高津クンがまさかこんなに面白いとはホント想定外で」
思い出して笑っている。どうやら池之内もまんざらでもなさそうで、お気に召したらしい。
とはいえこっちはまだ浮気野郎の件が片付いていないからどうもこうもないのだが。
そもそも、だ。
浮気なのだろうか、と。
長い付き合いのなか家賃がキツイと泣きつかれて同居して、肉体関係を持つようになったもののお互い性処理だった気もする。涼太は小心者で新しい出会いも求めに行けないし、セックスだって特定の相手としか出来ない。怖いからだ。
だから太吾はものすごくちょうど良くて。セックスが出来るのだから太吾のことは嫌いではない。
ただ━━では好きかと聞かれると「ん?んん?」となる。
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