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第16話 混乱に落ちる毒
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清牙は優里の短い指示ですべてを把握した。
式典ではあるが今後、国軍に属することがすでに決まっている清牙の腰には剣がある。
悠然たる笑みを浮かべ民の歓声に応える国主の奥。その者の動きを視界にみとるや否や腰の剣を抜いた。
抜き切ると同時に手の中で一瞬手放すようにして逆手に持ち替えると、何の躊躇もなく抜き身の剣を思いきり投擲する。
一連の流れるような動きの結果、槍のように放たれた清牙の長剣。それは短刀を握り右手を振りかざした賊の右肩にくい立った。
同時に起こる大衆の悲鳴交じりのざわめき。
岳家の次男で警備責任者である岳 飛永が即座に国主を守るように前面に立ち、護衛兵が人の防壁を成す。
清牙は賊を飛永に任せ、前に出ようとする。
しかし沙漠を筆頭とした護衛兵達に瞬時に取り囲まれた。
安全確保のため奥へ押しこまれながら清牙の目は優里を探す。
壇上にあった長身の清牙は護衛の壁の向こうで起きたすべてを、駆け下りて行った短髪の女性護衛兵に何が起きたすべてを目の当たりにしていた。
「優里ッ!!」
清牙の悲痛にも聞こえる怒号が響く中、人体の体にその刃は呆気ないほど簡単に根元まで刺さった。
うっせえ、くっそがぁぁ。せっかくそっちに注意が行ってんのに!
清牙の数千の兵を動かす力を持つような大音声に優里は歯噛みし、視線が自分に集中する気配に脳裏で怨嗟を吐いた。
森県にあった頃は密命を受け監査官の態で接していたがここでは粗野な武人だ。非常時ということもあり、優里はいつも通りの口の悪さが戻っている。
「あいつだ! あいつのせいで娘は! 離せ!」
優里は腕の中であまりにも悲痛な叫びをあげる老人の小さな体を固く抱きしめ、自身の体に押し付けるようにして老人の口元を塞ぐ。ひどく胸がいたんだ。
「優里!」
上段ではなおも前進しようとする清牙を周囲の兵達が必死で押しとどめようとしていた。辺境にて実戦により実用的に鍛え上げられた清牙に、中央の先鋭たる兵でも圧された。
「殿下ッ! おさがりください!」
もはや本来の任務である護衛よりも、押し寄せる激流のような清牙を押しとどめる事に兵士たちは専念を余儀なくされる。完全に我を忘れたかのような清牙の姿に沙漠が動く。
「下がれ。優里に任せろ」
白い礼装の沙漠が、低い声で素早く耳打ちした。
※
優里は右腕で男の肩を自分の胸に抱き、左手は刃物を握ったままの男の右手を包むように握り込む。
一見、再会を喜ぶ人間同士の抱擁にも見えるそれは実に強固な拘束であった。
老人は反射的に短剣を握った両手を渾身の力で動かそうとするが、優里の手に包まれた右手は震えるだけで少しも動かせなかった。
失敗を悟り絶望する中、自分を拘束する相手の叫びが頭上で響く。
「清牙様を奥へ!」
さっさとソイツを下げろと言わんばかりの苛立ったような鋭い指示だ。老人はそこで初めて自分が刺した相手の存在に気付いた。
女だ。女にしては太い、大声量。それに聞き覚えがある気がした。
見上げてその正体を悟る。
相手は親身になって対談に応じ、冬には献身的に雪かきに参加していた、娘と同じ軍人たる女━━自分が何をしたかようやく悟った老人は小さく震えた。
「あ、あ、あぁぁ!」
動揺に取り乱し始めた男に、優里は耳元で囁きかける。
「大丈夫です。私も、あなたも。動かないでください。どうかこのまま静かに」
相手の身体から力が抜けた事を確認し、優里は素早く周囲に目を走らせた。
「数名左側に立て。このまま奥に移動する。━━ゆっくりと手を開いてください」
駆け付けた副官と森県から出張してきている子墨に指示し、脇の刃物が周囲に見えないよう、自身の左側に副官を立たせた。
国主暗殺未遂が起きた直後で大多数の目は国主周辺に向けられている。優里は彼が刃物を保持しているという事実を隠ぺいする気だった。
隠し通せる自信があった。清牙が無駄に騒いだのだけは本当に余計だ。
抱きしめるように拘束したままの相手に穏やかに告げる。
「恵麻に代わって私があなたを守ります」
だから死のうなどとは考えてくれるな、と優里は孫の名を出して言外にそれを望む。
遠方の農夫が王都まで移動し、まして軍人に紛れて最前列でこの機会を狙うなど容易なことではない。刃物を持ち込むなどもってのほかだ。不可能である。
内部に手引きをした人間がいる。
農夫が成功するなど考えていないだろう。陽動のはずだ。すでに失敗した国主暗殺が本命ならいい。国主の側には信頼できる次兄もいる。
それでも西の帝国で反乱軍の首領を守り続けた経験から優里は限界まで高まった警戒を解けずにいた。
方々に目をやりながら脱力した農夫をずるずると引きずるように、もつれるように後退する。
国主を取り巻く人垣に警備兵姿の明花を見付けた。後宮に上がったはずの明花も駆り出されたのか、それとも自分の意志でその任に就いたのか、次兄の横で果敢に人の壁の一部となり国主を守っている。
優里の教え子たちは皆優秀だ。今日の式典にて各要所に配備され、優里はそこかしこにその姿を見た。若い兵の顔は皆覚えている。なおかつこの重大な日、国主の周辺を固める人員の顔はすべて優里の頭に入っている。彼らがどういった動きをするのか教官職である優里は理解できる。
だから違和感を覚えた。
あれは何者だ? 何をしている? あんな顔は知らない。
優里は焦った。老人を抱えた優里の周囲には自分で作らせた人の壁があり即座に剣が抜くことが出来ない。
間に合わない。
━━否、武器は手の中にある。
優里は考えるよりも早く、自身のわき腹に刺さったままの短剣の柄を握った。
「抜くな馬鹿者! 飛永!」
優里の行動を先読みした清牙が、明花の側の飛永を呼ぶ。
清牙が咆哮にも似た叫びをあげる中、優里はそれを手のすると先ほどとは違う形で放つ。
放たれた細身の短刀は明花のすぐ隣まで迫った護衛兵姿の若い男の眼球に突き立った。
「兄上! 明花様を!」
優里が兄 飛永に明花を託す。
それぞれの怒号が飛び交い、場が混乱を極める。
国主と王弟、それに国主の一番の寵愛を受ける明花。
三者三様狙われるなんて。この国の中枢はどれだけの業を抱えているのか。
各々の犯行なのか別なのか。この裏付けは骨が折れそうだと沙漠は眉間を顰める。
もう式典どころの話ではない。
長男に促された岳将軍が閉式を宣言した。
「優里様、医局へ。あとはこちらで」
「刺さってない、刺さってない、大丈夫だ」
「刺さってます、刺さってます。グッサリ刺さってましたから」
農夫を胸に抱えたまま移動しようとする優里に、子墨をはじめ周囲が懇願する。
しかし優里は農夫の口封じを警戒し応じる気はなかった。これだけ賊が紛れ込んでいるのだ。安全な場所まで移動するまでは農夫の保護が最優先だ。
「殴ってでも止めろっ」
遠くからまだ護衛達に押しとどめられているらしい清牙の声が届く。子墨は絶望的な表情を浮かべた。その指示は実現不可能としか思えない。
優里を制する事が出来るような人材はとっくに出世し、こんな所にはいないだろう。重鎮の席にどっしりと構えているはずだと現実逃避したくなった。
無茶苦茶言ってないであの人もさっさと引っ込めばいいのに。
「手負いだろうっ」
続けられたそれは言った清牙本人にしてみれば「怪我人だから強引に治療を受けさせても大丈夫だ」と言ったつもりだったが、当然周囲は戸惑いを露わにする。
手負いって、尚更マズいです。
手に負えません。
日頃の優里を知る彼らが絶望に打ちのめされそうになった瞬間、国主の席周辺でどよめきが起こった。
「毒だ! 死んだぞ!」
明花を狙った刺客の死亡が叫ばれる。
奥へ通じる廊下を進む清牙は思わず振り返るが止めた足は沙漠によって無理矢理進まされた。
自害か?
それとも、刃に毒が仕込んであったのならば━━
沙漠らに奥に押しやられた清牙からは、別棟の医局へ連れていかれた優里の姿は見えなかった。
式典ではあるが今後、国軍に属することがすでに決まっている清牙の腰には剣がある。
悠然たる笑みを浮かべ民の歓声に応える国主の奥。その者の動きを視界にみとるや否や腰の剣を抜いた。
抜き切ると同時に手の中で一瞬手放すようにして逆手に持ち替えると、何の躊躇もなく抜き身の剣を思いきり投擲する。
一連の流れるような動きの結果、槍のように放たれた清牙の長剣。それは短刀を握り右手を振りかざした賊の右肩にくい立った。
同時に起こる大衆の悲鳴交じりのざわめき。
岳家の次男で警備責任者である岳 飛永が即座に国主を守るように前面に立ち、護衛兵が人の防壁を成す。
清牙は賊を飛永に任せ、前に出ようとする。
しかし沙漠を筆頭とした護衛兵達に瞬時に取り囲まれた。
安全確保のため奥へ押しこまれながら清牙の目は優里を探す。
壇上にあった長身の清牙は護衛の壁の向こうで起きたすべてを、駆け下りて行った短髪の女性護衛兵に何が起きたすべてを目の当たりにしていた。
「優里ッ!!」
清牙の悲痛にも聞こえる怒号が響く中、人体の体にその刃は呆気ないほど簡単に根元まで刺さった。
うっせえ、くっそがぁぁ。せっかくそっちに注意が行ってんのに!
清牙の数千の兵を動かす力を持つような大音声に優里は歯噛みし、視線が自分に集中する気配に脳裏で怨嗟を吐いた。
森県にあった頃は密命を受け監査官の態で接していたがここでは粗野な武人だ。非常時ということもあり、優里はいつも通りの口の悪さが戻っている。
「あいつだ! あいつのせいで娘は! 離せ!」
優里は腕の中であまりにも悲痛な叫びをあげる老人の小さな体を固く抱きしめ、自身の体に押し付けるようにして老人の口元を塞ぐ。ひどく胸がいたんだ。
「優里!」
上段ではなおも前進しようとする清牙を周囲の兵達が必死で押しとどめようとしていた。辺境にて実戦により実用的に鍛え上げられた清牙に、中央の先鋭たる兵でも圧された。
「殿下ッ! おさがりください!」
もはや本来の任務である護衛よりも、押し寄せる激流のような清牙を押しとどめる事に兵士たちは専念を余儀なくされる。完全に我を忘れたかのような清牙の姿に沙漠が動く。
「下がれ。優里に任せろ」
白い礼装の沙漠が、低い声で素早く耳打ちした。
※
優里は右腕で男の肩を自分の胸に抱き、左手は刃物を握ったままの男の右手を包むように握り込む。
一見、再会を喜ぶ人間同士の抱擁にも見えるそれは実に強固な拘束であった。
老人は反射的に短剣を握った両手を渾身の力で動かそうとするが、優里の手に包まれた右手は震えるだけで少しも動かせなかった。
失敗を悟り絶望する中、自分を拘束する相手の叫びが頭上で響く。
「清牙様を奥へ!」
さっさとソイツを下げろと言わんばかりの苛立ったような鋭い指示だ。老人はそこで初めて自分が刺した相手の存在に気付いた。
女だ。女にしては太い、大声量。それに聞き覚えがある気がした。
見上げてその正体を悟る。
相手は親身になって対談に応じ、冬には献身的に雪かきに参加していた、娘と同じ軍人たる女━━自分が何をしたかようやく悟った老人は小さく震えた。
「あ、あ、あぁぁ!」
動揺に取り乱し始めた男に、優里は耳元で囁きかける。
「大丈夫です。私も、あなたも。動かないでください。どうかこのまま静かに」
相手の身体から力が抜けた事を確認し、優里は素早く周囲に目を走らせた。
「数名左側に立て。このまま奥に移動する。━━ゆっくりと手を開いてください」
駆け付けた副官と森県から出張してきている子墨に指示し、脇の刃物が周囲に見えないよう、自身の左側に副官を立たせた。
国主暗殺未遂が起きた直後で大多数の目は国主周辺に向けられている。優里は彼が刃物を保持しているという事実を隠ぺいする気だった。
隠し通せる自信があった。清牙が無駄に騒いだのだけは本当に余計だ。
抱きしめるように拘束したままの相手に穏やかに告げる。
「恵麻に代わって私があなたを守ります」
だから死のうなどとは考えてくれるな、と優里は孫の名を出して言外にそれを望む。
遠方の農夫が王都まで移動し、まして軍人に紛れて最前列でこの機会を狙うなど容易なことではない。刃物を持ち込むなどもってのほかだ。不可能である。
内部に手引きをした人間がいる。
農夫が成功するなど考えていないだろう。陽動のはずだ。すでに失敗した国主暗殺が本命ならいい。国主の側には信頼できる次兄もいる。
それでも西の帝国で反乱軍の首領を守り続けた経験から優里は限界まで高まった警戒を解けずにいた。
方々に目をやりながら脱力した農夫をずるずると引きずるように、もつれるように後退する。
国主を取り巻く人垣に警備兵姿の明花を見付けた。後宮に上がったはずの明花も駆り出されたのか、それとも自分の意志でその任に就いたのか、次兄の横で果敢に人の壁の一部となり国主を守っている。
優里の教え子たちは皆優秀だ。今日の式典にて各要所に配備され、優里はそこかしこにその姿を見た。若い兵の顔は皆覚えている。なおかつこの重大な日、国主の周辺を固める人員の顔はすべて優里の頭に入っている。彼らがどういった動きをするのか教官職である優里は理解できる。
だから違和感を覚えた。
あれは何者だ? 何をしている? あんな顔は知らない。
優里は焦った。老人を抱えた優里の周囲には自分で作らせた人の壁があり即座に剣が抜くことが出来ない。
間に合わない。
━━否、武器は手の中にある。
優里は考えるよりも早く、自身のわき腹に刺さったままの短剣の柄を握った。
「抜くな馬鹿者! 飛永!」
優里の行動を先読みした清牙が、明花の側の飛永を呼ぶ。
清牙が咆哮にも似た叫びをあげる中、優里はそれを手のすると先ほどとは違う形で放つ。
放たれた細身の短刀は明花のすぐ隣まで迫った護衛兵姿の若い男の眼球に突き立った。
「兄上! 明花様を!」
優里が兄 飛永に明花を託す。
それぞれの怒号が飛び交い、場が混乱を極める。
国主と王弟、それに国主の一番の寵愛を受ける明花。
三者三様狙われるなんて。この国の中枢はどれだけの業を抱えているのか。
各々の犯行なのか別なのか。この裏付けは骨が折れそうだと沙漠は眉間を顰める。
もう式典どころの話ではない。
長男に促された岳将軍が閉式を宣言した。
「優里様、医局へ。あとはこちらで」
「刺さってない、刺さってない、大丈夫だ」
「刺さってます、刺さってます。グッサリ刺さってましたから」
農夫を胸に抱えたまま移動しようとする優里に、子墨をはじめ周囲が懇願する。
しかし優里は農夫の口封じを警戒し応じる気はなかった。これだけ賊が紛れ込んでいるのだ。安全な場所まで移動するまでは農夫の保護が最優先だ。
「殴ってでも止めろっ」
遠くからまだ護衛達に押しとどめられているらしい清牙の声が届く。子墨は絶望的な表情を浮かべた。その指示は実現不可能としか思えない。
優里を制する事が出来るような人材はとっくに出世し、こんな所にはいないだろう。重鎮の席にどっしりと構えているはずだと現実逃避したくなった。
無茶苦茶言ってないであの人もさっさと引っ込めばいいのに。
「手負いだろうっ」
続けられたそれは言った清牙本人にしてみれば「怪我人だから強引に治療を受けさせても大丈夫だ」と言ったつもりだったが、当然周囲は戸惑いを露わにする。
手負いって、尚更マズいです。
手に負えません。
日頃の優里を知る彼らが絶望に打ちのめされそうになった瞬間、国主の席周辺でどよめきが起こった。
「毒だ! 死んだぞ!」
明花を狙った刺客の死亡が叫ばれる。
奥へ通じる廊下を進む清牙は思わず振り返るが止めた足は沙漠によって無理矢理進まされた。
自害か?
それとも、刃に毒が仕込んであったのならば━━
沙漠らに奥に押しやられた清牙からは、別棟の医局へ連れていかれた優里の姿は見えなかった。
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