海の国再興譚~腹黒国王は性悪女を娶りたい~

志野まつこ

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第三章 わだつみの娘と海の国の物語

13、お約束な展開になったからさっさと帰って来なさいよ(byリザ)

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 ようとして、王妃の行方は分からず、遺体が見つかったという話も聞かない。

 海の国オーシアン東部の海の海流が北向きである事は、海に携わる人間であれば誰だって知っている事実であり、全ては北へ流される。
 連日オーシアン領内の付近の海岸の捜索が行われたが、彼女がこちらへ流れつく可能性などなかった。

 オーシアンの漁師や船乗りたちは知っていた。あの海域であれば、遺体が上がらない可能性が高い事を。そして当然ながらオーシアンはその職種に就く人口が圧倒的に多い。
 国中が陰鬱な空気に包まれていた。

 オーシアン国民は悲嘆にくれ、その数日後新たな情報がじわりと街に広がる。
 それを聞いたオーシアン国民の多くが打ちのめされた。人々の表情は陰り、沈痛な面持ちで日々を過ごす者が増加の一途をたどるなか一部の人間は思い出す。

 王城の厨房係は食材の業者に言っていた。
「トマト無いかい? ああ、やっぱりまだ早いよな。この間シーア様がふらっと来てトマト食べたいって。入ったら一番に持って来てくれよ」
 国中が敬愛する王妃の要望をかなえようと、食材を扱う業者達は行く先々でトマトの入手を試みた。
 この辺りで女性がトマトを食べたがるのは吉兆の一つであったから。

 王女付きのユキやハナは仲間の侍女達と笑って話していた。
「最近、シーア様ものすごくよくお食べになるわよね」
「そうそう、加減なさればいいのに食べ過ぎるからお食事後、すごく気持ち悪そうで。あんなに食べなきゃいいのに」
「その割に前ほど運動をされなくなったから、少しふくよかになられたわね」
「それで表情が優しくなったのよね」
 侍女や下働きの人間からも愛される王妃のその微笑ましい話は、洗濯係など雑務の人間にも伝わった。

 王城南部のにぎわった通りで、あくびを噛みこらえる精肉店の店主に王城の小間使いの女はからかうように言っていた。
「春だねぇ。シーア様も最近すごく眠そうだよ」
「それは新婚だからだろ」
 下卑た返答に店主の女房は「およしよ」とたしなめたが、話の分かる小間使いは「違いない」と笑っていた。
 それは平和な春の日の事だった。

 侍女頭は王妃から「次のドレスの新調はいつか」と尋ねられた事を思い出した。
 これまで王妃はそういった事に国庫を費やすことに対して実に消極的で、侍女頭は大いに驚いたものである。
 けれど今思えば確かにそんな事を言いながらも、王妃に新しいドレスを心待ちにしている様子はなかった。
 聞けば「最近いいものばっかり食べさせてもらってるからか、どうも肉がついて来た気がするんだ」と自分の身体を見下ろして肩をすくめていた。
 彼女の身体にそんな変化は見られなかったが、年嵩の侍女頭だけは「もしかすると」という思いを抱いていた。そんな侍女頭だからこそ、王妃が崖から転落したという事実に激しく動揺した。

 オーシアンでは王妃が懐妊していた可能性が囁かれ始めていた。

 あれから時間が経つにつれ、グレイは少しずつ冷静になり考えを巡らせる。
 どうにもならなくなれば、自分を切れと指示した海姫。
 それならば、はじめからそうすれば良かったのだ。
 北の台地レイスノートからの召喚があった時でも良かった。
 レオンが護衛隊に指示したように、いつでも出て行ける状態だった。さっさと海に帰る事も出来ただろう。
 あの女は、どこででも生きていけるに違いないのだから。
 それなのにそれをしなかった。

 どうにもならなくなるまであがくという選択をしたのは、彼女の願望があったからだと思いたかった。

 そして考える。
 それでは、もう一つの指示は何を意味するのだろう。

 あの日、『最後の切り札だ』と言われて渡された黄色いリボン。
『もし4か月してもわたしの行方が分からないようならこれを南の門の外の木に結べ。いいか、絶対に誰にも見られるなよ。出来るだけ長い間━━そうだな最低でも1ヵ月くらいは結んでおいてくれ』
 何かの合図なのか。
『ああ、これで問題はすべて解決する』
 尋ねればそう言ってしっかりと頷いた彼女の顔には、自信にみなぎる笑みがあった。

 彼が少しだけ冷静になり始めたその頃、王妃懐妊の話が耳に入ったのだった。

 グレイが眉間に皺を寄せながら壮絶な表情で回廊を歩いていると、前方に見知った杖の人物を見つける。
 一瞬目が合い、彼女は手にしていた書類の束を派手に取り落とした。

 石造りの回廊に散らばったその状況を見て、グレイはまた一つ小さな覚悟を己に課す。
 この優秀な国庫管理管は、シーアの以前からの友人だったはずだ。
 糾弾の一つや二つ、受け止める心構えがあった。
 カリナを前にしたあの日と同じく、当然だと思った。

 気持ちは分かる。
 俺だって自分をなじりたい。
 そうされる事で自分を保っていられた。
 妊娠した女が兵士達に追われ、海に落ちるのを何もせず見ていたのだ。
 おかしくなりそうだった。
 責められる事で冷静を保っていた。

 杖をついている彼女に代わり、片膝を着いて書類を集める。
「隊長さんも大変ね」
 頭上から声が降ってきたそれは多分に同情をはらみ、意外なほど穏やかで優しかった。

「教えて。あの子は海に落ちたんでしょう? 頭から岩場に落ちて頭が割れてたとか、血まみれで浮いてたとか、そういうんじゃ、ないんでしょう?」
 声を潜めて問われる。
 リザも彼がそれを話せない身である事は理解している。
 だからこそ確認という尋ね方を選択し、グレイもまたそれに応じる事にした。
「ああ、高波にさらわれたみたいだったが━━」
 波の厚みなど知れている。そのまま岩場に打ち付けられただろう。

 レオンもまた他に場所と日時を指定したのがシーア本人である事をグレイに確認すると、頷いた。
『自分から落ちたのなら、大丈夫だ』
 生きている。
 自分に言い聞かせているのだろうと、グレイは思った。

 グレイは書類を集める手を止めると、視線を落としたまま虚空を見詰める。
 思い出すのは背面から後方へ倒れ込むドレス姿の彼女。
 まるで寝台に倒れ込むような、なんの恐れも躊躇もない様子。
 そして崖の下の岩場に打ち付けられる寸前、大きな波がその姿を飲み込んだ。
 その後、彼女の姿は一瞬も見えなかった。
 そこから絶壁の下に降りるには足場はなく、ロープで下るしかなかった。
 海面を覗きこむレイスノートの兵士達を尻目に、なにも出来ないままシーアから事前に指示されていた通り逃げ帰った。
『お前達が生きて帰る事が成功の絶対条件だ』
 あの日の彼女の言葉を思い出し眉間に皺を寄せる。耐えるように目を閉じ、苦悩に歪む表情はリザからは見えなかった。

「だったら大丈夫よ」
 安心させるような声色につられて顔を上げれば、困ったような顔でリザは笑い、続けて強い口調で告げる。
「海姫は、海では死なないわ」
 断言する彼女もまた、自分に言い聞かせるようだった。

 まぁ、海姫が陸で死ぬという事もまた考えにくいんだけど━━
 彼女の居場所は、やはり海が似合う。
 けれどそれは、今の彼には告げられなかった。

「悪いな」
 言ってから少し考え込み、グレイはやや遠慮がちに口を開いた。
「……なぁ、それ、あいつにも言ってやってくれないか? あいつの方がよっぽど滅入ってる」
 グレイはジェイドは自分が巻き込んだのだのだと譲らず、隊長の名において副隊長の謹慎をレオンに請うた。
 ジェイドは現在港の小さな安宿に待機させている。
 今、王城内で彼等を見る目は熾烈を極めている。

 王妃の依頼のもと護衛隊隊長と副隊長が付き添ったと国は認めている。
 しかし民の中には彼らが王妃を売り渡したのでは、という疑念を持つ者もあった。
 そこまで疑わずとも「なぜ、王妃の指示に従ったのか」と責める声は多い。

 彼等は王妃を愛する国民すべてを、敵に回した。

 グレイの自宅には投石され、通りに面した窓はすべて割られたという。
 あらかじめこうなる事を予見したシーアの指示により、手伝いの老女二人は北方の山岳地帯の自宅へ帰しており、今は無人の館を護衛隊の人間が警備を担当しているが、それさえも批判の対象となった。
 王城内でも彼を見る人々の目は冷たい。
 巻き込んだジェイドまでそれにつき合わせる気はなかった。ジェイド本人は最後まで拒否していたが。

 自分だって大変でしょうに。リザはやるせなく思う。
 彼女も強面ながらお人よしのこの警備隊隊長をとても好ましいと思っていた。
「彼には散々お世話になったもの、お安い御用よ」
 出来るだけ軽い調子で答えた。そしてここ最近心もち顔色の悪いグレイから帳簿類の書類を受け取りながら、少しだけ声を潜める。
「あの子が帰ったら殴ってやるから、声を掛けてね」
 グレイは少し目を見張ってから穏やかな笑みを浮かべた。
「それは助かる。女は殴れない」
 女を殴るのは、彼にとって禁忌である。
 だからその申し出は本当にありがたいと思った。

 リザの言葉は、疲れたグレイに気を遣った軽口ではない。
 本気であった。
 彼女は、王妃の行方不明が知らされて十日ほど経ったころ、国庫管理室の最高権力者である好々爺から一つ仕事を指示されている。
 しかしそれは、指示されるまでもなかった。
 事態を聞いた瞬間、優秀であるが故、彼女の脳はすべき仕事に気付いてしまった。

 王妃の国葬の見積もりと予算編成。
 過去の王族、王妃の国葬に使われた費用を確認し、諸外国への世間体と国民感情を考慮し再計算する。
 こういった不慮の出費に備える予算は組んである。しかしそれが足りなければ捻出方法を検討しなければならない。
 それを正式に任された。

 分かっていた。
 シーアにも予め言われていた。
 国庫を預かる職である。
 レオニーク・バルトンは清廉潔白たる政治を目指してはいるが、不本意な仕事をしなければいけなくなる可能性がある事は重々承知しての転職であった。
 しかし、恩人でもある友の葬儀の準備をする事になろうなど思ってもいなかった。

 思い切り、叫びたい気分であった。
 叫んで叫んで、それでも飽き足らず両手をやみくもに振り回したい。
 それらを抑えるために、両手を握り締める。
 
 取り掛かるだけで暗鬱とした気分になる。
 過去の帳簿を探しに書棚の前に立てば足がすくみ、帳面を開く手は震えた。
 何度も喉が強く圧迫される感覚を覚え、そのたびに嗚咽が洩れそうになった。
 しかし国庫を管理するために重要な仕事である事を理解出来てしまった彼女は、それに耐えながら仕事を遂行した。

 私だけじゃない。

 リザは冷静に仕事をこなしている人間を他にも知っていた。
 冷静沈着に、分別を持って、どこか割り切るように。
 見ている回りの方がつらくて、痛みを感じるほどだと聞いている。
 こんな時でも、平静さを失わない。そう周囲に安堵を与えた国王。
 でも、きっと彼はそんな人間じゃない。

 彼女は国王の寝室の執務机と椅子の新調費用、そしてガラスの修繕代の処理をした。
 懐妊している可能性が噂される、大切な恋女房の行方も、生存さえも分からないまま2か月が過ぎた。
 物に当たるな、シーアならそう自分の事を棚に上げて文句を言うだろう。彼女は飄々としていながら、時に短気な部分がある。リザの以前勤めていた商社を廃業に追いやったのがいい例だ。
 海姫は仕事柄、かなりの目利きである。
 百年も前から代々受け継がれている執務机を修繕不可能な域にまで破壊したなどと知ったら、何を言うか分からない。その価値を延々説いて聞かせるかもしれないし、散々「もったいない」と悲嘆に暮れるかもしれない。
 けれど国王の周囲の調度品の類が破壊されても、それは当然だと思った。
 国王の正気がそれで少しでも保てるのであれば、それは実に些細な犠牲だ。

 計算して、どの位の出費になるのか把握するだけ。
 そう自分に言い聞かせた。
 無事、飄々と戻るに違いないのだ。
 どうせ使わずに終わる予算案で、本当に無駄な仕事。
 リザは自分に言い聞かせ、心に誓う。
 帰ったら、絶対ひっぱたいてやる。

 計算能力の高い管理管の人手が必要になったが、これは秘密裏に進めなければならない案件である。
 宰相まがいのオズワルド・クロフォードの養女カリナには、普段から守秘義務を課せられている。これほどまでの適任はいなかったが、彼女には長期休暇を言い渡してあった。
 シーアを敬愛するあの少女に、こんな仕事はさせられないと思ったし、今の彼女にそれをするだけの気力はないだろう。
 王妃失踪後、国庫管理室に出勤したカリナを見て誰もが息を飲んだ。
 泣き明かしたのであろう。
 あの美しかった少女は人相が変わるほど疲弊していた。
 彼女らしくない単純なミスが続き、終業時間を待たずしてリザはカリナを帰らせたほどだ。

 王妃に好感を持つ人間の誰しもが傷つき、疲れていた。
 けれど真につらい状態にあるのは国王であろう。
 嘆く事は許されない。

 だからだ。
 おせじにも明るいとは言えない古い宿の一室でうっかり間近で目があった時、しまったと思った。
 こうならないように気を付けていたのに。
 長い前髪の奥から真っ直ぐに見つめてくる瞳の奥に、欲を見てしまった。
 自分を欲していることに気付いてしまった。
 気付いて、一瞬、ほんの少しだけ身を引いた。
 それが精いっぱいの抵抗だった。

 ジェイドにとってもそれは、突然の事だった。
 予兆もなく沸き起こったそれを男は自然と受け止めた。

 視線を外せないまま、触れるだけの口づけを交わす。
 良心と理念。常識と貞操観念。理性を保つのはそこまでが限界だった。
 そこからは、なし崩しに流れた。

 上を向かないと溢れ出そうで、空を見上げる。春の夕焼けは眩しく、目を細める口実には都合がよかった。
 男は懲りた、仕事に生きる。
 一生自分で自分を養う。
 そう言っていたのに。
 年下の真っ直ぐな瞳にやすやすと流されてしまった。

 お互いこんな状況で、疲れていて、差し入れにと持参した酒も入っていた。
 両者数口しか口をつけていなかったが、酒の過ちでお互い済ませられるだろう。
「ま、お互い色々あったしね」
 こういう事もあるわよね。
 そんな空気を醸し出して、気軽い様子を装って笑えばよかった。年上の役目だったのに。
 見目良い年下の異性にあんな目で見られたら、仕方ないではないかと言い訳してみたが、自己嫌悪は消えない。
 ジェイドは馬車を呼んでくれた。
「送りたいが」と相変わらずぶつ切りの言葉に、「大丈夫よ」とリザは首を振った。
 グレイばかりが矢面に立とうとするこの状況は、ジェイドにとっても不本意なことは明白だった。

 ジェイドは宿の使用人にリザが馬車に乗る補助と、馬車の御者にも降りる際の補助を依頼するよう頼んで部屋に残った。正確には、リザとともに部屋を出ようとする彼をリザが押し止めた。
 相変わらず何を考えているか分からない表情だったが、その気遣いがある事がリザを少しだけ安心させた。そこで安堵するのは違うのに。
 ジェイドを世間の批判から守るためのグレイの気遣いを無駄にする気もないし、リザ自身、彼を人の目に晒したくはなかった。
 ぎこちない空気の中、別れた。

 追い込まれた精神状態のまま、己の欲求を満たし、鬱屈を吐き出すような乱暴な情事だったらまだ良かったのだ。
 理解も出来たし、自分だって鬱屈の解消に彼を利用したと言い訳が立つ。
 割り切る事も、自分を納得させる事も出来たはずだ。
 それなのに。
 それとはかけ離れた、「大事にされている」と錯覚してしまうような所作だったのがリザを逆に苛んだ。
 これは後悔なのだろうか。
 
 あの奔放で明朗であけすけな友だったら、何と言うだろう。
 「それ見た事か」と呆れるか、大笑いする気がした。
 案外「馬鹿だな」と優しく言われるかもしれない。
 彼女だけには言われたくはないが、「何をやってるんだ」と怒ってくれてもいい。
「あなたにだけは言われたくない」と何倍も言い返してやる。
 なんでもいい。
 なんにしろ彼女は最後には笑うだろう。
 こんな格好のネタが出来たのだ。
 早く帰ってきなさいよ、と思う。
 あの、どこまでも自由な彼女の笑い顔が見たかった。
 思い切り笑い飛ばしてもらいたかった。
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