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ゲームのような世界
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転生したらゲームのキャラクターでした…とか、悪役でした…とかよく聞いた事がある。
でもそれはフィクションの中の物語なんだと心の何処かで思っていた。
現実的ではない、まさか俺がとかそんな事……
小さな小屋の中で赤ん坊の元気な産声が響き渡った。
その声を聞いて、助産婦さんは母親に赤ん坊を手渡した。
母親は美しい顔を歪ませて、俺の頭を撫でていた。
そう、俺は今赤ん坊になっている…死んで生まれ変わったのだろう。
でも、俺の頭の中には生前の記憶があり…変な気分だ。
ゲーム実況をしていた記憶が残ってても、新しい人生の役に立つかと言われたら悩むが…
学力は役に立つとは思うけど、と考えていたら母親の後ろに父親がいて俺を覗き込んでいた。
父親もそれなりに顔がいい、これは美形に生まれたかもしれない…それだけが楽しみだった。
でも、この母親…何処かで見た事があるような…生まれ変わったって事は俺の住んでいた時代ではない筈なんだけどな。
そう思うと、この父親も見た事があるように感じる。
「お前の名前はルシアだ」
俺はルシアという名前になった、名前からして外国に生まれたらしい。
そのわりには言葉が分かる、英語は少し分かるが英語って感じはしない。
それとも、外国人に生まれたら言葉が自然に聞こえるのかもしれない。
助産婦さんは小屋から出ていき、俺は布団の上に寝かされた。
視界に天井が映り、なにかがドタドタと走る音が聞こえた。
母親は「またネズミか」と呟いて、父親は天井を棒で突いていた。
どうやら、お金はない家みたいだけど幸せならそれでいいと思う。
貧乏だって幸せは必ずやってくるんだ、今度こそ俺は新しい人生を歩むんだ。
赤ん坊だからか、すぐに目蓋が重くなって眠くなってきた。
うとうととしていたら、壁になにかが見えた気がした。
でも、もう一度目を開ける元気はなくそのまま眠りについた。
翌朝、目が覚めてすぐにそれが目の前に見えてびっくりして固まった。
壁にぎっしりと貼られた誰かの顔写真を引き伸ばした感じの紙。
そして、その顔は刃物でめちゃくちゃに切り刻まれて顔が分からない感じになっていた。
驚きと恐怖で上手く感情がコントロール出来ず、涙を流した。
なんだこのホラゲーにありそうな恐ろしい壁は…
「ルシア、お前は私達のためにこの国に復讐しろ」
意味が分からない事を母親が言っていて、理解出来る筈もない。
何の話なんだよ、しかも赤ん坊に言っても理解出来ないだろ…俺の脳内年齢は成人済みだけど…
この両親はいったい壁に貼られた人に何をされたんだ?
国に復讐なんて、ちょっとの事じゃ思わない筈だろ。
なにかブツブツと恨み言を聞かされて、俺は怖い壁を見ている事しか出来なかった。
復讐とか、そんな事を言われても俺は知らないし…中身陰キャの俺になにが出来るんだよ。
母親は俺を赤ん坊の頃から復讐を植え付けようとしているみたいだが、俺は何処か冷静に見ていた。
もう恐怖の壁は見たくないから、目蓋を閉じて寝たフリをした。
「なんだ、もう寝たのか…やはりまだ子供だな」
そんな当たり前の事を言って、母親は俺をベッドに寝かせた。
寝たフリのつもりだったが、いつの間にか本当に寝てしまっていた。
夢の中の俺はゲーム実況をしていた、これは過去の俺の記憶だ。
唯一の心残りはやっぱりあのゲームをクリア出来なかった事だろう。
俺ならクリア出来ると応援して期待してくれたのに…
外国にもあのゲーム売ってるかな、時間が経ってるから当然古い作品になってるだろうし、プレミア価格だよな。
そう思うと、余計クリアしたい欲が出てしまう…ゲーム実況病みたいなものだろうか。
この小屋にテレビがないから、そこから買わないとな…と考える。
ここが何処だかも知らずに、そう呑気に思っていた。
母親の言っている復讐とかは完全に無視して、新しい人生でもゲームの事ばかり考えていた。
ゆらゆらと体が揺れるような感じがして、目を覚ますと顔がちょっと冷たくなった。
外に出たのか、照明がない小屋の中より明るくて目がチカチカする。
まだ言葉は喋れないが、いやいやと小さな声を出す。
自分では喋りたいのに口が回らなくて喋れないのがもどかしい。
「これがお前が憎むべき世界だ」
まだそんな事を言っているのかと、呆れながら母が見せる国を上から見下ろす。
俺達がいる小屋は山の上にあるのか、下には大きな街が見えた。
ここからじゃ分からないが、大きな城が見える…まるでネズミのテーマパークみたいだ。
俺は憎むという気持ちは一つもなくて、ワクワクした気持ちだった。
まるでRPGの世界に転生したような、そんな楽しい気持ちだ。
この場合、俺は勇者じゃなくて村人Aだろうけど楽しい事には変わりがない。
母親と俺の間に温度差がある、俺はいわゆる悪役というのにはならない。
母親はまるで悪役みたいな事ばかり言っているが、俺はモブがいいんだ。
争いなんて嫌だし、普通にゲームの世界みたいなこの世界を楽しみたい。
また生まれ変わったら、きっとこの世界は味わえなくなる。
だとしたら、生前の心残りのように悔いになる事はしたくない。
俺はそう思いながら知らない世界を見下ろしていた。
でもそれはフィクションの中の物語なんだと心の何処かで思っていた。
現実的ではない、まさか俺がとかそんな事……
小さな小屋の中で赤ん坊の元気な産声が響き渡った。
その声を聞いて、助産婦さんは母親に赤ん坊を手渡した。
母親は美しい顔を歪ませて、俺の頭を撫でていた。
そう、俺は今赤ん坊になっている…死んで生まれ変わったのだろう。
でも、俺の頭の中には生前の記憶があり…変な気分だ。
ゲーム実況をしていた記憶が残ってても、新しい人生の役に立つかと言われたら悩むが…
学力は役に立つとは思うけど、と考えていたら母親の後ろに父親がいて俺を覗き込んでいた。
父親もそれなりに顔がいい、これは美形に生まれたかもしれない…それだけが楽しみだった。
でも、この母親…何処かで見た事があるような…生まれ変わったって事は俺の住んでいた時代ではない筈なんだけどな。
そう思うと、この父親も見た事があるように感じる。
「お前の名前はルシアだ」
俺はルシアという名前になった、名前からして外国に生まれたらしい。
そのわりには言葉が分かる、英語は少し分かるが英語って感じはしない。
それとも、外国人に生まれたら言葉が自然に聞こえるのかもしれない。
助産婦さんは小屋から出ていき、俺は布団の上に寝かされた。
視界に天井が映り、なにかがドタドタと走る音が聞こえた。
母親は「またネズミか」と呟いて、父親は天井を棒で突いていた。
どうやら、お金はない家みたいだけど幸せならそれでいいと思う。
貧乏だって幸せは必ずやってくるんだ、今度こそ俺は新しい人生を歩むんだ。
赤ん坊だからか、すぐに目蓋が重くなって眠くなってきた。
うとうととしていたら、壁になにかが見えた気がした。
でも、もう一度目を開ける元気はなくそのまま眠りについた。
翌朝、目が覚めてすぐにそれが目の前に見えてびっくりして固まった。
壁にぎっしりと貼られた誰かの顔写真を引き伸ばした感じの紙。
そして、その顔は刃物でめちゃくちゃに切り刻まれて顔が分からない感じになっていた。
驚きと恐怖で上手く感情がコントロール出来ず、涙を流した。
なんだこのホラゲーにありそうな恐ろしい壁は…
「ルシア、お前は私達のためにこの国に復讐しろ」
意味が分からない事を母親が言っていて、理解出来る筈もない。
何の話なんだよ、しかも赤ん坊に言っても理解出来ないだろ…俺の脳内年齢は成人済みだけど…
この両親はいったい壁に貼られた人に何をされたんだ?
国に復讐なんて、ちょっとの事じゃ思わない筈だろ。
なにかブツブツと恨み言を聞かされて、俺は怖い壁を見ている事しか出来なかった。
復讐とか、そんな事を言われても俺は知らないし…中身陰キャの俺になにが出来るんだよ。
母親は俺を赤ん坊の頃から復讐を植え付けようとしているみたいだが、俺は何処か冷静に見ていた。
もう恐怖の壁は見たくないから、目蓋を閉じて寝たフリをした。
「なんだ、もう寝たのか…やはりまだ子供だな」
そんな当たり前の事を言って、母親は俺をベッドに寝かせた。
寝たフリのつもりだったが、いつの間にか本当に寝てしまっていた。
夢の中の俺はゲーム実況をしていた、これは過去の俺の記憶だ。
唯一の心残りはやっぱりあのゲームをクリア出来なかった事だろう。
俺ならクリア出来ると応援して期待してくれたのに…
外国にもあのゲーム売ってるかな、時間が経ってるから当然古い作品になってるだろうし、プレミア価格だよな。
そう思うと、余計クリアしたい欲が出てしまう…ゲーム実況病みたいなものだろうか。
この小屋にテレビがないから、そこから買わないとな…と考える。
ここが何処だかも知らずに、そう呑気に思っていた。
母親の言っている復讐とかは完全に無視して、新しい人生でもゲームの事ばかり考えていた。
ゆらゆらと体が揺れるような感じがして、目を覚ますと顔がちょっと冷たくなった。
外に出たのか、照明がない小屋の中より明るくて目がチカチカする。
まだ言葉は喋れないが、いやいやと小さな声を出す。
自分では喋りたいのに口が回らなくて喋れないのがもどかしい。
「これがお前が憎むべき世界だ」
まだそんな事を言っているのかと、呆れながら母が見せる国を上から見下ろす。
俺達がいる小屋は山の上にあるのか、下には大きな街が見えた。
ここからじゃ分からないが、大きな城が見える…まるでネズミのテーマパークみたいだ。
俺は憎むという気持ちは一つもなくて、ワクワクした気持ちだった。
まるでRPGの世界に転生したような、そんな楽しい気持ちだ。
この場合、俺は勇者じゃなくて村人Aだろうけど楽しい事には変わりがない。
母親と俺の間に温度差がある、俺はいわゆる悪役というのにはならない。
母親はまるで悪役みたいな事ばかり言っているが、俺はモブがいいんだ。
争いなんて嫌だし、普通にゲームの世界みたいなこの世界を楽しみたい。
また生まれ変わったら、きっとこの世界は味わえなくなる。
だとしたら、生前の心残りのように悔いになる事はしたくない。
俺はそう思いながら知らない世界を見下ろしていた。
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