俺の弟が一番かわいい

ー結月ー

文字の大きさ
56 / 81

三角関係

しおりを挟む
怒りが湧いてきて、拳をギュッと握りしめた。

歩夢を大切にしない奴になんか絶対に大切な弟は渡さない!

「俺の知っているかぎり、この学園の中で歩夢の事が好きな奴はいない……会長は本気かと思ったけど梓馬達の話が本当ならそうじゃないみたいだし」

「俺は歩夢が好きだ」

「…梓馬」

「俺が歩夢を好きなんだから、他の奴らなんて見る目がないだけだ…そんな奴らなんかより、将来必ず歩夢の事が好きな見る目がある奴が現れる」

「俺も歩夢の事好きだ、弟だから」

「弟って、ナイトと歩夢は同級生だろ」

「梓馬と夫婦になったら義弟」

その言葉を聞いて、苦笑いしか出来ない。

盛り付けをしているとナイトがぴったりと後ろにくっついて「愛してる」なんて耳元で囁かれる。

力が抜けそうになったが寸前で踏みとどまった。

いや、いやいや…何ナイトに身を委ねようとしてるんだ俺は!!

浮気はダメだ、浮気はダメだと自分に言い聞かせる。

ナイトの行動に戸惑っていたら、厨房のドアが開いた。

「何をしてるんだ、二人共」

「……」

「れ、レオンハルトォ……」

呆れ顔のレオンハルトは、ナイトの襟を掴んで引き剥がしてくれた。

そして、朝食が始まったが…そこでも波乱が待っていた。

俺の隣に座ったナイトが俺の口元に玉子焼きを持ってくる。

「あーん、だっけ」と俺に聞きながらぐいぐい押し付けている。

顔が玉子まみれになる前に一口食べる。

自分で作ったが、甘くて美味しく出来たな。

向かいにいるレオンハルトは、俺達に気にせずナイフとフォークを使って優雅にサラダを食べていた。

サラダってナイフを使わない筈なんだけど、レオンハルトもなんか変だ。

「梓馬、俺が好きだろ…いい加減認めろって」

「…いやでもレオンハルトが…」

「初めて見たのがたまたまレオンハルトさんだったから好きだって勘違いしただけだろ」

「僕は親鳥かなにかなのか」

「すり込みは似たようなものだろ」

また二人が険悪な雰囲気になる。

喧嘩なんてしてる場合ではない、俺は歩夢を生徒会長だけではなく他の奴らからも守らないといけないのに…

急いで食べて水で全て流し込んで「ごちそうさま!」と元気に言った。

ナイトは驚いた顔をしていたが、俺はナイトに歩夢の事を頼んで食べ終わった食器を片す。

学年が違うから、俺は歩夢を守れない…だから学校はナイトに任せる。

歩夢は結構頑固なところがあるから、言ってもきっと分からない。

ナイトに頼んでナイトが歩夢に嫌われたら余計歩夢を守れなくなる。

だったら、歩夢が見ていないところで近付かないように周りをどうにかしてほしい。

歩夢の事を本当に好きならいいが、明らかに身体目当ての奴は歩夢に指一本触れさせない。

俺がそう言うとナイトはすぐに頷いてくれた、そして言葉を続けた。

「梓馬がご褒美くれるならもっと頑張れる」

「…ご褒美?」

「毎日キスしたい、それならいいよな」

ナイトはチラッとレオンハルトの方を向いていて、レオンハルトは「梓馬の気持ち次第だな」と言っていた。

もうナイトにはキスされているし、今更の気もする。

それでやる気になるならキスの一つや二つ気にする事じゃない。

お願いする立場なんだ、それくらい大丈夫だと頷いた。

俺の学園生活もかなりの不健全なものになっている。

レオンハルトは用事があるからと、俺とナイトの二人で登校する事になった。

歩夢は一人にして大丈夫なのかと不安だったが、ナイトの話によると朝から生徒会長に呼ばれていないらしい。

でも白猫が付いてるから大丈夫だと言っていた。

エルダに呼ばれている、大丈夫ならいいけどなんか不穏な気がする。

歩夢、大丈夫だろうか…酷い事されてないか?

黙って下を向く俺にナイトはジッと見つめていた。

「歩夢が心配だろうけど、会長に呼ばれた時は俺でも一緒に居られない…会長とはそういう約束だからな」

「……今すぐに生徒会に乗り込みたい気分だ」

「さすがにそれは…」

「分かってる、またレオンハルトに迷惑掛けるわけにもいかない」

もどかしい、歩夢に会いに行ける距離にいるのに…会いに行けない。

いろんな生徒達が通る中、歩夢を見つけた。

普通の生徒達に混ざっても歩夢は注目の的だった。

周りに注目されているのは、歩夢だけではなく隣にいる男の存在も大きかった。

生徒会長だ、あの桃色の髪は嫌でも覚えている。

歩夢は親しげに腕にしがみついて話している。

それを生徒会長が微笑みながら聞いている。

二人を知らない人からしたら、二人は恋人同士だと思うだろう。

今すぐに歩夢のところに行きたいが、ナイトに腕を掴まれて前に出る事が出来なかった。

「梓馬」

「あ、挨拶するだけ」

「俺達は昨日生徒会の奴らと派手な事をしたんだ、また目をつけられるわけにはいかない」

ナイトに「周りを見てみろ」と言われて周りを見ると、何人か知っている顔が少し離れたところからエルダと歩夢を見ていた。

昨日いた二人もいた、あの氷から抜け出せたのか。

あの二人は生徒会で、きっと他のエルダと歩夢を見ている奴も生徒会だ。

ここで戦ったら歩夢を傷付けてしまう、だったら歩夢がいないところがいい。

二人を見る事しか出来ず、俺は登校中ずっと眉を寄せていた。

校舎に着いた時、ナイトに肩を軽く叩かれて俺は頷いた。

大丈夫だ、必ず歩夢を助ける…だから待っていてくれ…歩夢。

自分の下駄箱を開けるとそこにあったのは手紙だった。

誰のか分からず、とりあえず手紙を開けると指が切れた。

手から手紙が落ちていき、真っ赤な染みを作る。

古いイジメだな、と苦笑いしながら手紙を拾う。

手紙には「魔導士学園創立記念日の夜、校舎の裏庭で待つ…誰にも言わず一人で来い、さもなければお前の弟が傷付くぞ」と書かれていた。

指を切りそうなものは入っていなくて、手紙の端に小さな魔法陣のようなものが書かれているだけの何の変哲もない手紙だった。

誰が入れたのか書いていないが、昨日今日を考えると生徒会だろうな。

手紙を握りしめて、カバンに押し込んだ。

レオンハルトやナイトに伝えたら歩夢が危ない事になる。

罠だと分かっているが、一人で行くしかない…魔導士には人間の常識は通用しない、何処で見ているのか分からないからな。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

【完結】我が兄は生徒会長である!

tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。 名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。 そんな彼には「推し」がいる。 それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。 実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。 終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。 本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。 (番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい

椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。 その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。 婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!! 婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。 攻めズ ノーマルなクール王子 ドMぶりっ子 ドS従者 × Sムーブに悩むツッコミぼっち受け 作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

Q.親友のブラコン兄弟から敵意を向けられています。どうすれば助かりますか?

書鈴 夏(ショベルカー)
BL
平々凡々な高校生、茂部正人«もぶまさと»にはひとつの悩みがある。 それは、親友である八乙女楓真«やおとめふうま»の兄と弟から、尋常でない敵意を向けられることであった。ブラコンである彼らは、大切な彼と仲良くしている茂部を警戒しているのだ──そう考える茂部は悩みつつも、楓真と仲を深めていく。 友達関係を続けるため、たまに折れそうにもなるけど圧には負けない!!頑張れ、茂部!! なお、兄弟は三人とも好意を茂部に向けているものとする。 7/28 一度完結しました。小ネタなど書けたら追加していきたいと思います。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

処理中です...