俺の弟が一番かわいい

ー結月ー

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生徒会室にご招待

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校舎を出て裏側にある洋館の中に入って、未知なる場所に周りを見渡す。

王位継承者の寮に近いけど、大きく二つの入り口に別れていた。

中は繋がっているわけではなく、洋館の真ん中に大きな壁で仕切られていた。

まるで、お互いの干渉を嫌うように徹底されていた。

階段を上り、廊下の奥の部屋の扉の前で足を止めた。

生徒会室と書かれた扉を中性的な男が開けて可愛い顔の男に背中を押された。

突然で受け身が出来ず、身体を床に転がされた…フカフカのじゅうたんのおかげで怪我はしなかったけど…

「お前が歩夢の兄か」

すぐ近くで声が聞こえて顔を上げると、生徒会長が俺を見下ろして鼻で笑っていた。

俺はそんな事より、歩夢が何処にもいない事に落胆した。

でもまぁいい、今はこの男にいろいろと聞きたい事がある。

生徒会長を睨みつけると、生徒会長はさっきまで笑っていたのに表情をなくした。

頬を足で蹴られて、口の中が鉄の味でいっぱいに広がる。

やられっぱなしなのは腹が立って反撃しようとしたが、後ろにいた中性的な男と可愛い男に押さえつけられた。

「態度に気をつけろ、俺は歩夢以外には酷い事をする」

「ふっ…それって歩夢には酷い事しないって事だろ」

「なにが可笑しい?」

「歩夢にこんな事してたら、お前の事絶対に許さねぇから良かったと思っただけだ」

歩夢を利用しようとしている奴にヘコヘコ弱気でいたくなくて喧嘩腰になる。

俺は反撃出来ない状態だ、このくらい許してくれよ。

またら頬を強く蹴られて…それでも睨み続けた。

レオンハルトにもナイトにも言われた事を無視して悪い。

でも本人を前にしたら俺のイライラが静まりそうにない。

大事な弟を傷つけて利用しようとしている男を前にして冷静でいられるかよ。

「今日はほんの挨拶だ、それと…変態な兄にいいもの見せてやるよ」

「…なに」

生徒会長が手を上げると、俺とナイトと戦ったチャラい男がスマホのような物を床に置いた。

そのスマホのような物が光って、スクリーンのように広がった。

そこに映し出されたものを見て、俺は目を見開いて驚いた。

歩夢がいる、それだけだったらこんなに驚く事はない。

歩夢の身体が裸で、体を揺さぶられている映像でなければ…

歩夢の表情は俺が知らないもの、甘ったるく媚びを売る声も知らない。

歩夢の後ろにいる男は知らない、知らなかったら歩夢の恋人かと思うだろう。

でも、もう一人やってきて歩夢の頭を掴んで咥えさせていた。

もうそれ以上見たくなくて、下を向いても声が聞こえるから無意味だ。

腕を掴まれているから耳を塞ぐ事すら出来ない、暴力よりも俺の精神を追い詰めていた。

「もう、もうやめてくれ!!」

「何故だ?お前もいつも歩夢とこうしたくて妄想しているのだろ?」

「…するわけないだろ、兄弟で」

歩夢は無理矢理されているようには見えなかった、むしろ自分からねだっていた。

これが全て合成で、歩夢はそんな事していない…そう思いたいのに脳内で歩夢の姿がちらつく。、
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