8 / 11
第8話 復讐への有力な手がかり
しおりを挟む
魔人を倒した時、ダリの脳内に機械的なアナウンスが響く。
『職業:農民が一定条件を満たしました。現在のピース1/20』
この時のダリは自分が疲れて幻聴でも聞こえているのでは無いかと勘違いしていた。
ダリ達はギルドへと戻ってきた。二人に抱えられた女店主を見てバイスは何があったのかと急いで駆けつけた。ギルドにいた冒険者達も何事かと視線を向けている。
「何があったんですか?カシリナさんは無事なんですか?」
「カシリナさん?ああ、この人ですか。はい、ただ気絶しているだけだと思います。」
(カシリナってどこかで・・・)
「そうですか・・・詳しい話は奥で聞きます。」
バイスは息を吐くと廊下を進んで行く。ダリ達は受付の奥の部屋へと連れて行かれる。部屋には木製の低い机一台、それを挟んでソファが二台並んでいた。外からは見えないようになっていて、窓がないせいか部屋は狭く感じる。
「まずは起こった事を教えてください。」
ダリは事のあらましをバイスに伝えた。バイスは驚くというより、顎に手を当て、やはりといった態度だった。
「やはり異常な魔獣達の出現でしたか。この件は実はマリアさんのおばあさんが関係しています。」
マリアが目を丸くして机に乗り出す。
「え?おばあちゃんが?」
「はい。これはオフレコでお願いしたいんですが・・・」
マリアの祖母、セイロン=ハイカーはこの国で働いていた。その役割は聖騎士隊長であった。勿論、セイロンの名を引くものとしてユニークスキルを持っていた。それが今回の件と関係している。それは、『完全結界』であった。
『完全結界』・・・自分の指定する範囲に結界を貼る。その範囲内の土地は自分の指定した者からは不可視化する。魔力は使用されず、効力は使用者の寿命。
結界は、マリアの祖母の死で弱まっていきついに消えてしまった。その為、魔獣たちがこの近辺に現れたということがバイスの推測だ。
それを聞いたマリアは違う方向からその話をつつく。
「え、おばあちゃん。この国の聖騎士隊長だったんですか!」
「え?知らなかったんですか?」
「はい・・・」
マリアのあからさまな態度にバイスは励まそうとする。
「き、きっと心配をかけたくなかったんじゃないですか?」
「そうですよね。というか、それよりも先ずはこっちですよね。また魔獣たちがここに攻めてくるなんてこともあるということですね。」
マリアは不安そうに尋ねたが、バイスは大きな瞳を細めて返す。
「はい、そうですが、安心してください。おばあさんの残した手紙にこうありました。『私が先立つ時、私の村のアリババという男を訪ねて欲しい。彼は私と同じスキルを持っている。彼のよくいる場所は三番通りの酒場だ。』とありました。マリアさんも知っているのではないですか?」
「アリババおじさんの事だと思います。私の村にその結界を貼ってくれているので・・・」
「まあ、今後の事は大丈夫ですよ。」
そう言うと、バイスの顔色を変えた。笑顔の裏に威圧を感じる。
「それはそうと、ダリくん、マリアさん。異常な事がもう一つあったのだけれど、魔人を倒したり、完全治癒を使ったりって、どういうことですか?」
「それは・・・あの職業判定のが本当だったというか・・・」
バイスは両手を広げて首を左右に振る。
「はあ~。正直に言ってあなた達の能力は異常よ。異常。ランクで言うとAランクはあるんじゃないかしら。」
「ははは」
(無詠唱の事は絶対に言わない方が良さそうだな。)
「笑い事じゃない訳。あの時隠そうとしてたから怪しいとは思っていたけど、本当だったとはね。何かバレるとまずい理由でもあるんでしょうけど、私も弱みを握られてるから この事は国には言わないであげるわ。」
「なぜ、急にタメ口に?」
「うっさい。こっちも色々疲れてんの。」
そう言って、バイスは股を広げて背もたれにもたれかかってしまった。
(ああぁ。僕の清楚なバイスさんが大変なことに。)
バイスさんを後ろにダリ達はそうっと部屋を出ていった。
しかし、ダリが部屋を出ようとした時、後ろからバイスが抱きついてきた。ふわりとバラの香りが香り、胸の膨らみが背中を押し付ける。
「待ってよ。ダリくん。」
耳元でそう言われ、心臓が高鳴る。
「酔っ払ってます?」
その態度は酩酊した者の様だ。
「『ドミネヴィル』に関してなのだけれど、あのSランクパーティーの事よね。今は、どこのギルドかは分からなかったけど、二年前に頬は痩け、体はやせ細ってしまって、ギルドに何日も泊まっていたという情報があったわ。それ以外は何も分からなかったけど。」
「そうですか・・・ありがとうございます。」
(二年前だと。ちょうど、僕らのパーティーにあの子が近ずいてきて、ロキを・・・)
ダリの属していたパーティーとは『ドミネヴィル』という名だった。
バイスの声が急に低くなる。
「これって、君となんの関係があるのかなあ?もしかして、能力を隠している理由だったりする?」
Sランクパーティーを潰そうとしているなんて知れれば、勿論国側に邪魔をされる。ダリはその回された腕を振りほどき、その場を後にする。
ギルドの角にマリアは立ち止まっていた。誰かと話しているようだった。
「どうしたんだ?マリア。」
「このおじいさんがダリさんの仲間の事を知っていると仰っていて・・・」
そこには、緑のローブを羽織った小さな老人が座り込んでいた。ダリは近寄って詳細を仰いだ。
「なーに、何処にいるか知っているだけじゃよ。ヒッヒッヒ」
老人は皺の入った手の平をこちらに向ける。ダリは渋々魔晶石を換金して、宿代を払い、余った分の金を半分その手に乗せた。
「分かっとるのぉ。ヒッヒッヒ」
「どこにいるんですか?」
「この国の隣国であるフィンツの首都『ゴースフルト』にて、金髪の青年が魔人を連れてきたというのを聞いた。ヒッヒッヒ」
マリアがその老人に怒鳴る。
「人間が魔人を連れてくるなんてことある訳ないじゃないですか!それにどうして、髪の色を知っているのですか!」
「おぉ、ワシはこれ以上は何も話さんよ。怖い怖い。ヒッヒッヒ」
「いや、マリア。これは有力な情報だ。」
その日は、ギルドに隣接した宿で眠る事にした。その夜の事だった。
「起きてますか?ダリさん。」
隣のベッドで眠る少女から声が聞こえる。
「ああ。」
「とうとう、あの街にいって、復讐をするのですか?」
「いや、まだだ。僕達はその街に行くが、目的は仲間集めだ。アイツらもその街にはもう居ないだろうし。」
「え?ダリさん、こんなにも強いのですから、裏切った仲間に復讐出来るのではないですか?」
「それは無理だ。僕の魔法は特定の範囲にしか使えないし、素早い敵にも対応できないんだ。僕のいたパーティーには・・・」
自分のいたパーティーのメンバーを紹介する。
パーティーのリーダーにして最強の騎士。
近距離パワー型の騎士。
近距離スピード型のアサシン。
広範囲の魔法を使える魔術師。
「・・・という様々なメンバーで構成されているんだ。だから、後三人は仲間が欲しい。」
「その計算でいくと私入って無くないですか?」
「マリアには回復をお願いしたいんだ。攻撃能力は正直、今のところ、かないそうにないから・・・」
「そうですか・・・でも、それがなぜ『ゴースフルト』に行く理由に?」
「もし本当に魔人がいるのならその都市は今頃大騒ぎになっているはずだ。でも、この街にそんな情報が入ってきていない。つまり、ゴースフルトには誰か魔人に対抗する力を持つ者がいるかもしれないという事だ。」
「ダリさんを裏切った方がいないのであればやめませんか?」
マリアは少し震えた声で喋っていた。
「なんでだ?」
「だって有名じゃないですか、その街。魔人とか魔獣とかじゃなくて・・・」
ゴースフルトにて、そこには明けない夜が続いていた。荒廃した建造物が散らかっており、辺りには煙が立ち込めていた。その暗闇では金属音が響いている。
頭に角を生やした長身の魔人がある人物を見下ろして言う。
「貴様!我に歯向かうとは度胸のある奴よ。殺すには惜しい存在であるな。」
黒の服に身を包んだ、紫がかった黒の長髪の少女は答える。
「誰が殺されるって?ボクは君を倒してこの国の皆んなを守るよ。」
「やれるもんならやってみな!」
─────────────────
これにて、『始まりの地 ベルンホルン』は終了です。ここまで、ありがとうございました!
次回からは『闇の街 ゴースフルト』の予定です。お楽しみに!!!
『職業:農民が一定条件を満たしました。現在のピース1/20』
この時のダリは自分が疲れて幻聴でも聞こえているのでは無いかと勘違いしていた。
ダリ達はギルドへと戻ってきた。二人に抱えられた女店主を見てバイスは何があったのかと急いで駆けつけた。ギルドにいた冒険者達も何事かと視線を向けている。
「何があったんですか?カシリナさんは無事なんですか?」
「カシリナさん?ああ、この人ですか。はい、ただ気絶しているだけだと思います。」
(カシリナってどこかで・・・)
「そうですか・・・詳しい話は奥で聞きます。」
バイスは息を吐くと廊下を進んで行く。ダリ達は受付の奥の部屋へと連れて行かれる。部屋には木製の低い机一台、それを挟んでソファが二台並んでいた。外からは見えないようになっていて、窓がないせいか部屋は狭く感じる。
「まずは起こった事を教えてください。」
ダリは事のあらましをバイスに伝えた。バイスは驚くというより、顎に手を当て、やはりといった態度だった。
「やはり異常な魔獣達の出現でしたか。この件は実はマリアさんのおばあさんが関係しています。」
マリアが目を丸くして机に乗り出す。
「え?おばあちゃんが?」
「はい。これはオフレコでお願いしたいんですが・・・」
マリアの祖母、セイロン=ハイカーはこの国で働いていた。その役割は聖騎士隊長であった。勿論、セイロンの名を引くものとしてユニークスキルを持っていた。それが今回の件と関係している。それは、『完全結界』であった。
『完全結界』・・・自分の指定する範囲に結界を貼る。その範囲内の土地は自分の指定した者からは不可視化する。魔力は使用されず、効力は使用者の寿命。
結界は、マリアの祖母の死で弱まっていきついに消えてしまった。その為、魔獣たちがこの近辺に現れたということがバイスの推測だ。
それを聞いたマリアは違う方向からその話をつつく。
「え、おばあちゃん。この国の聖騎士隊長だったんですか!」
「え?知らなかったんですか?」
「はい・・・」
マリアのあからさまな態度にバイスは励まそうとする。
「き、きっと心配をかけたくなかったんじゃないですか?」
「そうですよね。というか、それよりも先ずはこっちですよね。また魔獣たちがここに攻めてくるなんてこともあるということですね。」
マリアは不安そうに尋ねたが、バイスは大きな瞳を細めて返す。
「はい、そうですが、安心してください。おばあさんの残した手紙にこうありました。『私が先立つ時、私の村のアリババという男を訪ねて欲しい。彼は私と同じスキルを持っている。彼のよくいる場所は三番通りの酒場だ。』とありました。マリアさんも知っているのではないですか?」
「アリババおじさんの事だと思います。私の村にその結界を貼ってくれているので・・・」
「まあ、今後の事は大丈夫ですよ。」
そう言うと、バイスの顔色を変えた。笑顔の裏に威圧を感じる。
「それはそうと、ダリくん、マリアさん。異常な事がもう一つあったのだけれど、魔人を倒したり、完全治癒を使ったりって、どういうことですか?」
「それは・・・あの職業判定のが本当だったというか・・・」
バイスは両手を広げて首を左右に振る。
「はあ~。正直に言ってあなた達の能力は異常よ。異常。ランクで言うとAランクはあるんじゃないかしら。」
「ははは」
(無詠唱の事は絶対に言わない方が良さそうだな。)
「笑い事じゃない訳。あの時隠そうとしてたから怪しいとは思っていたけど、本当だったとはね。何かバレるとまずい理由でもあるんでしょうけど、私も弱みを握られてるから この事は国には言わないであげるわ。」
「なぜ、急にタメ口に?」
「うっさい。こっちも色々疲れてんの。」
そう言って、バイスは股を広げて背もたれにもたれかかってしまった。
(ああぁ。僕の清楚なバイスさんが大変なことに。)
バイスさんを後ろにダリ達はそうっと部屋を出ていった。
しかし、ダリが部屋を出ようとした時、後ろからバイスが抱きついてきた。ふわりとバラの香りが香り、胸の膨らみが背中を押し付ける。
「待ってよ。ダリくん。」
耳元でそう言われ、心臓が高鳴る。
「酔っ払ってます?」
その態度は酩酊した者の様だ。
「『ドミネヴィル』に関してなのだけれど、あのSランクパーティーの事よね。今は、どこのギルドかは分からなかったけど、二年前に頬は痩け、体はやせ細ってしまって、ギルドに何日も泊まっていたという情報があったわ。それ以外は何も分からなかったけど。」
「そうですか・・・ありがとうございます。」
(二年前だと。ちょうど、僕らのパーティーにあの子が近ずいてきて、ロキを・・・)
ダリの属していたパーティーとは『ドミネヴィル』という名だった。
バイスの声が急に低くなる。
「これって、君となんの関係があるのかなあ?もしかして、能力を隠している理由だったりする?」
Sランクパーティーを潰そうとしているなんて知れれば、勿論国側に邪魔をされる。ダリはその回された腕を振りほどき、その場を後にする。
ギルドの角にマリアは立ち止まっていた。誰かと話しているようだった。
「どうしたんだ?マリア。」
「このおじいさんがダリさんの仲間の事を知っていると仰っていて・・・」
そこには、緑のローブを羽織った小さな老人が座り込んでいた。ダリは近寄って詳細を仰いだ。
「なーに、何処にいるか知っているだけじゃよ。ヒッヒッヒ」
老人は皺の入った手の平をこちらに向ける。ダリは渋々魔晶石を換金して、宿代を払い、余った分の金を半分その手に乗せた。
「分かっとるのぉ。ヒッヒッヒ」
「どこにいるんですか?」
「この国の隣国であるフィンツの首都『ゴースフルト』にて、金髪の青年が魔人を連れてきたというのを聞いた。ヒッヒッヒ」
マリアがその老人に怒鳴る。
「人間が魔人を連れてくるなんてことある訳ないじゃないですか!それにどうして、髪の色を知っているのですか!」
「おぉ、ワシはこれ以上は何も話さんよ。怖い怖い。ヒッヒッヒ」
「いや、マリア。これは有力な情報だ。」
その日は、ギルドに隣接した宿で眠る事にした。その夜の事だった。
「起きてますか?ダリさん。」
隣のベッドで眠る少女から声が聞こえる。
「ああ。」
「とうとう、あの街にいって、復讐をするのですか?」
「いや、まだだ。僕達はその街に行くが、目的は仲間集めだ。アイツらもその街にはもう居ないだろうし。」
「え?ダリさん、こんなにも強いのですから、裏切った仲間に復讐出来るのではないですか?」
「それは無理だ。僕の魔法は特定の範囲にしか使えないし、素早い敵にも対応できないんだ。僕のいたパーティーには・・・」
自分のいたパーティーのメンバーを紹介する。
パーティーのリーダーにして最強の騎士。
近距離パワー型の騎士。
近距離スピード型のアサシン。
広範囲の魔法を使える魔術師。
「・・・という様々なメンバーで構成されているんだ。だから、後三人は仲間が欲しい。」
「その計算でいくと私入って無くないですか?」
「マリアには回復をお願いしたいんだ。攻撃能力は正直、今のところ、かないそうにないから・・・」
「そうですか・・・でも、それがなぜ『ゴースフルト』に行く理由に?」
「もし本当に魔人がいるのならその都市は今頃大騒ぎになっているはずだ。でも、この街にそんな情報が入ってきていない。つまり、ゴースフルトには誰か魔人に対抗する力を持つ者がいるかもしれないという事だ。」
「ダリさんを裏切った方がいないのであればやめませんか?」
マリアは少し震えた声で喋っていた。
「なんでだ?」
「だって有名じゃないですか、その街。魔人とか魔獣とかじゃなくて・・・」
ゴースフルトにて、そこには明けない夜が続いていた。荒廃した建造物が散らかっており、辺りには煙が立ち込めていた。その暗闇では金属音が響いている。
頭に角を生やした長身の魔人がある人物を見下ろして言う。
「貴様!我に歯向かうとは度胸のある奴よ。殺すには惜しい存在であるな。」
黒の服に身を包んだ、紫がかった黒の長髪の少女は答える。
「誰が殺されるって?ボクは君を倒してこの国の皆んなを守るよ。」
「やれるもんならやってみな!」
─────────────────
これにて、『始まりの地 ベルンホルン』は終了です。ここまで、ありがとうございました!
次回からは『闇の街 ゴースフルト』の予定です。お楽しみに!!!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜
ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。
アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった
騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。
今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。
しかし、この賭けは罠であった。
アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。
賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。
アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。
小説家になろうにも投稿しています。
なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる