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第七話 このカレー屋変なんです!

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カレー屋にて

「何名様でしょうか?」

「二人です」

「こちらのテーブルにお座り下さい。」

   上原先輩と空先輩がやってきた。
   そのテーブルから少し離れた所に僕と糸織は座っていた。

「野上くん、この店大丈夫なんですか?店長も店員さんも変わってそうです。」

「大丈夫なはずだ。僕の知り合いがやってるから、今回の作戦に手伝ってもらえたんだ。」

「でも、店の名前が『カレーズ伯爵』ですよ。芸名じゃないですか」

「まぁ、大丈夫だと思うけど」

「作戦と言っても、先輩達の頼んだカレーのスプーンを一本にするだけですよね。それって、店員さんにもう一本頼まれたら終わりじゃないですか」

「その辺は、大丈夫」

「何か考えが・・・」

「無視するように頼んでおいた。」

「え、えー」

その時
カランカランッ、
扉の音と共に、ある団体が入ってきた。

「ニホンノ、カレーヤハ、ココ、デスカ?タノシミデスネ!」

   いかにも、ホンモノって感じの人達が入ってきた。その瞬間、店内の空気がカレーのではない、ピリッとしたものを帯びた気がした。
   厨房で店員が何か話している。

「店長!!モノホンが来ました!これは、かなりマズイですよ、」

ダンディな店長がそれに答える。

「あぁ、わかってる。今日、、ウチが変なものなんだ出したら、全インドを敵に回すことになる。」

   いやいや、そんな訳ないだろ。ただのカレーだろ。

「そんなにですか?」

「当たり前だろテメェ!!日本とインドの外交はカレーで成り立ってんだよ!今、日本とインドの未来は俺達に掛かってんだ。」

「どうしましょう、いつもの、出しますか?」

ギロリと、ダンディ店長が睨みつける。

「ダメに決まってんだろい!ウチのカレーは、基本甘口。これは、日本人の舌に合わせてんだよ。カレーってのはな、本来、辛いからカレーなんだよ。ウチのは、カレーじゃねぇ、アメーなんだよ!」

「カレーって、日本語から来てたんですか?」

「そんなんも知らねぇでうちで働いてたのか?」

   いやいや、そんな訳ないだろ、だったら、もっと色んな種類のあるわ!

「あっちのテーブルにだけ、素《もと》はウチのもんでいいが、スパイスを大量に入れとけ」

「あの、金庫の中に入ってる奴ですね」

   金庫?

「おお、そうだ。」

「くれぐれも、他のテーブルに出すなんてこたぁねぇ様に注意しろよ!分かったか。俺は同じ事は二度言わない!俺は同じ事は二度言わない!」

いや、言ってんじゃん。絶対この店の従業員全員バカじゃん!ここの店選んだの失敗だったかな

「はい!」

大丈夫かなぁ?

先輩達が注文をしている。

「すみませーん、」

「はーい」

「この、『ごっついうめーあめーカレー』二つ下さい。」

「分かりました。少々お待ちくださいねー」

上原先輩と空先輩の間には距離が空いてしまっている。物理的にも精神的にも!

僕と糸織は、水だけを飲んで様子を見守る。
ついに、店員さんがインド集団の元へ、

「ウチの本気を見せます!お代はいりません!評価よろしくお願いします!」

「イイデスヨ!」

何頼んでんだよ!
ただの観光客だろ!
だって、服とかもスーツとかじゃなくてTシャツ着てるぞ!
書いてる内容も酷いよ!『いい国作ろうキャバクラ幕府』ってなんだよ!
意味分かってないだろ!絶対普通の人だよー!

「野上くん、うるさいです。」キッパリ

「ごめんなさい。そういえば、前もあったけど、なんで糸織は、僕の心の中が分かるわけ?」

「なんでもは、分からないわよ。分かることだけ。」

「いや、話をそらすな」

「それは、、、」



次回、何故糸織は、心が読めるのか。激辛カレーは、なんなのか。明らかに、、、、

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