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第一章 プレイ初日
#4 推しと会話しちゃった(端末だけど)
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マナちゃん衝撃の発表から一ヶ月後。
「あー……まさか本当に当選しちゃうとはなー……」
私はメール画面を見ていた。
応募開始直後、私は早速テストユーザーに応募した。それから三週間後、私は当選お知らせの通知を受け取った。そして更に一週間。今日からテストプレイが開始される。
「うう……緊張する……お腹痛いよぅ……」
考えてみれば私、人付き合いあんまり得意じゃないんだよね。MMOなんて今までやった事なかった。どうしよう。見知らぬ人とパーティーとか組めるのかな、私。いや、そもそも人前で真っ当にイベントやらクエストやらの活動が出来るのか? いっそ単独でコソコソと活動するか? いやでも、これからこのゲームで登録者数を増やそうとしている人間が誰とも関わろうとしないだなんて……。
「いや、覚悟を決めよう。折角当選したんだ」
応募倍率は二十倍を超えていたと聞く。当選者人数一〇〇〇人に対して二十倍という事は二万人が応募したという事だ。テストプレイでこの人数、さすがはあのマナちゃんが広報しただけある。そんな中で私は当選を決めたのだ。ここは乗っからないと罰が当たる。
「――よし。行こう」
意を決してVRヘルメットを被り、ゲームにログインする。周囲の視界が遮られ、代わりに白い空間が視界に映し出された。否、正確には白い空間ではない。白色の文字列が空間を満たしているのだ。文字列はプログラミング言語であり、私には解読出来ない。
そんな白界の真っ只中に私はいた。
だけど、私一人だけじゃない。もう一人いた。
「ようこそ、『旧支配者のシンフォニア』へ!」
私の目の前にはマナちゃんがいた。赤衣に白銀髪、紫水晶の瞳。この私が見間違う筈がない。紛れもない犀芭マナがすぐそこに立っていた。
「はわ、はわわ、はわわわわわ……! 推しが、私の最推しが目の前にいるぅ~!」
「へえ、マナの事、最推しって言ってくれるんだ? むふふ~、ありがとね!」
「えっ、あ、いえっ! こちらこそっ!」
いけない。突然の推しの登場で全身がガチガチだ。手足も背筋も石のように強張ってしまっている。緊張が収まらない。
けれど、どうしてマナちゃんがここに?
「マナはね、広報の一環としてキャラメイクの案内担当役もやっているの。こうやって皆の所に来て、キャラメイクのサポートをさせて貰っているんだよ。マナはAIだからね。こういう芸当も出来るのです」
AI。その単語にハッとする。
VTuberは自分のキャラクター性を強める為、『設定』を作る。仮想現実の住人、異世界からの来訪者、現実世界の出身だけど人外の存在、エトセトラエトセトラ。実に多種多様な『設定』がVTuberにはある。
マナちゃんの『設定』は人工知能だ。彼女が所属する企業――チクタクマン株式会社が開発したAIだというのが彼女だ。各種教育の為、試験的に仮想現実に住まわせ、VTuberをやらせているのだと聞いている。
ファンの私でも正直殆ど信じちゃいない話だった。設定はあくまで設定だと思っていた。だけど、今の彼女を見ていると信じざるを得ない。マナちゃんが私みたいな一介の個人勢VTuberに会いに来る訳がない。他のプレイヤーの所にも来ているから、私の所にも来てくれたという方が現実味がある。
そして恐らく、現在このゲームには数百人ものプレイヤーがログインしている。さすがに当選者一〇〇〇人全員同時ログインはないだろうけど、それでも三桁の人数を一人で相手に出来る人類なんていない。それこそAIでもなければ。複製された彼女がそれぞれのプレイヤーの前に現れていると思う方が自然だ。
「あー……まさか本当に当選しちゃうとはなー……」
私はメール画面を見ていた。
応募開始直後、私は早速テストユーザーに応募した。それから三週間後、私は当選お知らせの通知を受け取った。そして更に一週間。今日からテストプレイが開始される。
「うう……緊張する……お腹痛いよぅ……」
考えてみれば私、人付き合いあんまり得意じゃないんだよね。MMOなんて今までやった事なかった。どうしよう。見知らぬ人とパーティーとか組めるのかな、私。いや、そもそも人前で真っ当にイベントやらクエストやらの活動が出来るのか? いっそ単独でコソコソと活動するか? いやでも、これからこのゲームで登録者数を増やそうとしている人間が誰とも関わろうとしないだなんて……。
「いや、覚悟を決めよう。折角当選したんだ」
応募倍率は二十倍を超えていたと聞く。当選者人数一〇〇〇人に対して二十倍という事は二万人が応募したという事だ。テストプレイでこの人数、さすがはあのマナちゃんが広報しただけある。そんな中で私は当選を決めたのだ。ここは乗っからないと罰が当たる。
「――よし。行こう」
意を決してVRヘルメットを被り、ゲームにログインする。周囲の視界が遮られ、代わりに白い空間が視界に映し出された。否、正確には白い空間ではない。白色の文字列が空間を満たしているのだ。文字列はプログラミング言語であり、私には解読出来ない。
そんな白界の真っ只中に私はいた。
だけど、私一人だけじゃない。もう一人いた。
「ようこそ、『旧支配者のシンフォニア』へ!」
私の目の前にはマナちゃんがいた。赤衣に白銀髪、紫水晶の瞳。この私が見間違う筈がない。紛れもない犀芭マナがすぐそこに立っていた。
「はわ、はわわ、はわわわわわ……! 推しが、私の最推しが目の前にいるぅ~!」
「へえ、マナの事、最推しって言ってくれるんだ? むふふ~、ありがとね!」
「えっ、あ、いえっ! こちらこそっ!」
いけない。突然の推しの登場で全身がガチガチだ。手足も背筋も石のように強張ってしまっている。緊張が収まらない。
けれど、どうしてマナちゃんがここに?
「マナはね、広報の一環としてキャラメイクの案内担当役もやっているの。こうやって皆の所に来て、キャラメイクのサポートをさせて貰っているんだよ。マナはAIだからね。こういう芸当も出来るのです」
AI。その単語にハッとする。
VTuberは自分のキャラクター性を強める為、『設定』を作る。仮想現実の住人、異世界からの来訪者、現実世界の出身だけど人外の存在、エトセトラエトセトラ。実に多種多様な『設定』がVTuberにはある。
マナちゃんの『設定』は人工知能だ。彼女が所属する企業――チクタクマン株式会社が開発したAIだというのが彼女だ。各種教育の為、試験的に仮想現実に住まわせ、VTuberをやらせているのだと聞いている。
ファンの私でも正直殆ど信じちゃいない話だった。設定はあくまで設定だと思っていた。だけど、今の彼女を見ていると信じざるを得ない。マナちゃんが私みたいな一介の個人勢VTuberに会いに来る訳がない。他のプレイヤーの所にも来ているから、私の所にも来てくれたという方が現実味がある。
そして恐らく、現在このゲームには数百人ものプレイヤーがログインしている。さすがに当選者一〇〇〇人全員同時ログインはないだろうけど、それでも三桁の人数を一人で相手に出来る人類なんていない。それこそAIでもなければ。複製された彼女がそれぞれのプレイヤーの前に現れていると思う方が自然だ。
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