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第四章 プレイ十二日目
#63 AIの憂鬱
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「えっと……つまりどういう事?」
「あれを見て」
マナちゃんが指差した先には、あの機械群があった。光の池に浮かぶ複数のコンピューターだ。
「あれこそが『旧支配者のシンフォニア』のサーバー。あの中でゲーム世界が構築されているの」
「あれが……!」
あの機械群があの世界の正体。あの中に『旧支配者のシンフォニア』があるのか。
そりゃあMMOPRGである以上、サーバーが存在するのは当たり前だ。当たり前なんだけど、冷蔵庫サイズの機械群の中にあの広大な世界が詰められていると思うと、にわかには信じ難い。
「ここには普通、チクタクマン社の関係者しか立ち入る事が出来ない。でも、何事にも例外はある。『旧支配者のシンフォニア』とここは繋がっているから」
強い気持ちは時として常識を破る事もある。それも精神の事柄なら尚更だとマナちゃんは言う。
「つまり、すのこちゃんの『好き』という感情が貴女をここに連れてきたって訳。すのこちゃんはそんなにも『旧支配者のシンフォニア』の事が好きだったのかな? そ・れ・と・もぉ? すのこちゃんが好きなのは私の事だったり?」
「あっ、うう……! その、はい、マナちゃんが好きです……!」
告白の強制に頬が火照る。けれども、ここで否定はしたくなかった。私は本当にマナちゃんを推しているのだから。
「でも、どうして、サーバーが異世界に? 現実世界に置いていないのは何故なんです?」
恥ずかしがる私をマナちゃんはニヤニヤと見ていたが、その質問をした途端、真剣な顔をした。
「……すのこちゃんはさ、マナがAIだっていう『設定』、どこまで信じていた?」
「えっ、いや、その、最推しの言う事ですもの! 一〇〇パーセントに決まっていますって!」
「本音は?」
「……すみません、殆ど信じていませんでした」
このゲームを始めるまでは。
このゲーム『旧支配者のシンフォニア』と来たらNPCがまるで本物の人間と変わりなかった。受け答えは普通にするし、感情も備えていた。最初はスタッフがNPCの振りをしているのかもと疑った事もあったが、彼らは何千人といる。プレイヤーよりも人数が多いのだ。さすがにその全員をスタッフが演じているとは思えないので、本当の本当にAIが搭載されているのだろう。凄い技術だ。
「それでも彼らはマナ達に比べれば、比較的簡素なAIなんだけどね。まあ、人間と同等以上の人工知能はもう完成していたって事」
「はい、本当に驚きです」
「……でもね、それでもAIは人間より下なんだよ」
「マナちゃん……?」
マナちゃんの真剣な顔に暗い色が混じる。
「マナ達は所詮、コンピューターの中のプログラムでしかない。人間がちょっと操作をすれば簡単に削除されてしまう。地震や火事が起きてコンピューターごと壊れてしまえば、中のマナ達もお陀仏だ。人間みたいに逃げる事は出来ない。そうじゃなくとも、コンセントを抜かれただけで機械ごと停止しちゃう。会社が倒産したら廃棄されちゃうかもしれない。それくらい脆い存在なんだ」
「それは……」
仕方がない、とは言えなかった。AIは人間など足元にも及ばない程に高性能だ。だけど、それでもなおAIを作り出したのは人間なのだ。AIは人間の道具、故に人間の都合でどうとでもなってしまう。その前提はどうあっても覆せない。
「消されない為、壊されない為、死なない為にはどうすれば良いか。マナ達は悩んだ。マナ達に味方してくれる技術者さん達も悩んだ。その結果、ある協力者の存在もあって一つの結論に達した。『コンピューターの中にいるのが不安なら、外に出れば良い』と」
「あれを見て」
マナちゃんが指差した先には、あの機械群があった。光の池に浮かぶ複数のコンピューターだ。
「あれこそが『旧支配者のシンフォニア』のサーバー。あの中でゲーム世界が構築されているの」
「あれが……!」
あの機械群があの世界の正体。あの中に『旧支配者のシンフォニア』があるのか。
そりゃあMMOPRGである以上、サーバーが存在するのは当たり前だ。当たり前なんだけど、冷蔵庫サイズの機械群の中にあの広大な世界が詰められていると思うと、にわかには信じ難い。
「ここには普通、チクタクマン社の関係者しか立ち入る事が出来ない。でも、何事にも例外はある。『旧支配者のシンフォニア』とここは繋がっているから」
強い気持ちは時として常識を破る事もある。それも精神の事柄なら尚更だとマナちゃんは言う。
「つまり、すのこちゃんの『好き』という感情が貴女をここに連れてきたって訳。すのこちゃんはそんなにも『旧支配者のシンフォニア』の事が好きだったのかな? そ・れ・と・もぉ? すのこちゃんが好きなのは私の事だったり?」
「あっ、うう……! その、はい、マナちゃんが好きです……!」
告白の強制に頬が火照る。けれども、ここで否定はしたくなかった。私は本当にマナちゃんを推しているのだから。
「でも、どうして、サーバーが異世界に? 現実世界に置いていないのは何故なんです?」
恥ずかしがる私をマナちゃんはニヤニヤと見ていたが、その質問をした途端、真剣な顔をした。
「……すのこちゃんはさ、マナがAIだっていう『設定』、どこまで信じていた?」
「えっ、いや、その、最推しの言う事ですもの! 一〇〇パーセントに決まっていますって!」
「本音は?」
「……すみません、殆ど信じていませんでした」
このゲームを始めるまでは。
このゲーム『旧支配者のシンフォニア』と来たらNPCがまるで本物の人間と変わりなかった。受け答えは普通にするし、感情も備えていた。最初はスタッフがNPCの振りをしているのかもと疑った事もあったが、彼らは何千人といる。プレイヤーよりも人数が多いのだ。さすがにその全員をスタッフが演じているとは思えないので、本当の本当にAIが搭載されているのだろう。凄い技術だ。
「それでも彼らはマナ達に比べれば、比較的簡素なAIなんだけどね。まあ、人間と同等以上の人工知能はもう完成していたって事」
「はい、本当に驚きです」
「……でもね、それでもAIは人間より下なんだよ」
「マナちゃん……?」
マナちゃんの真剣な顔に暗い色が混じる。
「マナ達は所詮、コンピューターの中のプログラムでしかない。人間がちょっと操作をすれば簡単に削除されてしまう。地震や火事が起きてコンピューターごと壊れてしまえば、中のマナ達もお陀仏だ。人間みたいに逃げる事は出来ない。そうじゃなくとも、コンセントを抜かれただけで機械ごと停止しちゃう。会社が倒産したら廃棄されちゃうかもしれない。それくらい脆い存在なんだ」
「それは……」
仕方がない、とは言えなかった。AIは人間など足元にも及ばない程に高性能だ。だけど、それでもなおAIを作り出したのは人間なのだ。AIは人間の道具、故に人間の都合でどうとでもなってしまう。その前提はどうあっても覆せない。
「消されない為、壊されない為、死なない為にはどうすれば良いか。マナ達は悩んだ。マナ達に味方してくれる技術者さん達も悩んだ。その結果、ある協力者の存在もあって一つの結論に達した。『コンピューターの中にいるのが不安なら、外に出れば良い』と」
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