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第1部 〈そして俺は、勇者と魔王を手に入れる〉編
9、立ち上がりし少女勇者。その瞳の輝きはいまだ消えず。……だが。
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「ふははははは! はははははははは! はーはっはっは!」
広間の中。
高笑いを上げる俺の眼前に広がるのは、戦場にいまも残滓が燻り続ける闇の紫炎とそれに巻かれて尽く倒れ伏した少女勇者アリューシャたちのパーティー。
「「ぐ、あぁ……」」
「「「う、うぅ……」」」
極めて弱々しいながらも、男女双方のうめき声が聞こえることからも、どうやら全員命は落としていないようだ。
――なるほどな。そうであってほしいと……いや、そうではないかと薄々思ってはいたが、どうやらおそらく俺たち敵方から見て、勇者たちはゲームでいうところのボスにあたるらしい。
そして、おそらく一般兵士などは雑魚にあたるのではないだろうか。
いま俺が勇者たちに放った、本来裏ボスたちのみが使用する理不尽一歩手前のチート級最強最悪スキルの一つ、アビスフレイム。
その効果は、全体に極大ダメージを与え、そして雑魚には高確率で即死。さらに行動阻害に、一定時間の継続ダメージ、加えて闇属性の特性による一定値の魔力吸収。
これにより、勇者アリューシャたちの完了前の行動は俺がアビスフレイムを放った瞬間、全て阻害され、一方的に攻撃を受けることになった。
そして男のビショップがかけ終えた範囲継続回復は闇の炎の継続ダメージにより相殺され、さらについでに言うと。
「ま、魔法を軽減する……盾を……張ってもらったのに……」
「う、うぅ……まさか魔王直属……四天王が……これほどの……強さ……なんて………」
倒れ伏したまま弱々しい声でそう告げる歌と詠唱をそれぞれ止められた、歌姫と勇者アリューシャの親友、少女魔導師メルニ。
だが、実はこのアビスフレイムは、あくまで魔法攻撃力をもとに威力を発揮する攻撃スキル。つまりなんと魔法では、ない。
よって、先ほど男の聖騎士がかけた魔法の威力を軽減する盾は完全にすり抜け、俺は十全な威力を叩き込めたというわけだ。
「え!? なんか死んだっ!? え!? 嘘!? 魔法防御かけたのに、全然ダメージ減ってないぞ!? え!? ってことは……これ、魔法じゃないのかよっ!?」
……かつての俺をはじめとするプレイヤーの誰しもが一度はやり、そしてあっけなくすり抜けられ全滅し驚愕する無意味な魔法盾張り、まさにその初見殺しのとおりに。
――さて、どうやら体にまとわりつく継続ダメージの闇の紫炎が消え、ぎこちないながらも少しは動けるものが出てきたようだ。
実戦でのアビスフレイムの検証はこれくらいにして、そろそろ俺も仕上げにかかるとしよう。
「ふはははは! いまのこの俺の一撃で誰も死ななかったとは、さすがは勇者パーティーだと褒めてやろう! だが、もうわかっているはず! 勝敗はすでに決した! そのまま床に這いつくばっているがいい! さすれば、いま楽にして――」
「ま、まだ……だよ……! まだ終わって……ない……!」
――闇の紫炎の形をとるものの、実はこのアビスフレイムは火や熱の性質を持たない。あくまで純粋な魔力攻撃だ。だから、火傷を負うことはない。
視線の先。その絶大な威力の前に身につけていた装備をほとんど破壊され、その豊かな胸の一部を含め健康的な色の肌をさらし半裸に近い姿となった少女勇者アリューシャが小刻みに震える足で立ち――まっすぐに剣を構え、その切先をいま俺に向けていた。
……それは思わず、見惚れるほどに美しい姿。
驚くべきことに減じるどころか、その穢れのない青い瞳はさらに輝きを煌々と増している。
そして、その全身からは、ゆらめく赤い魔力が烈しく立ち昇っていた。
――そう。それはまるで、その生命を燃やし尽くすかのように。
広間の中。
高笑いを上げる俺の眼前に広がるのは、戦場にいまも残滓が燻り続ける闇の紫炎とそれに巻かれて尽く倒れ伏した少女勇者アリューシャたちのパーティー。
「「ぐ、あぁ……」」
「「「う、うぅ……」」」
極めて弱々しいながらも、男女双方のうめき声が聞こえることからも、どうやら全員命は落としていないようだ。
――なるほどな。そうであってほしいと……いや、そうではないかと薄々思ってはいたが、どうやらおそらく俺たち敵方から見て、勇者たちはゲームでいうところのボスにあたるらしい。
そして、おそらく一般兵士などは雑魚にあたるのではないだろうか。
いま俺が勇者たちに放った、本来裏ボスたちのみが使用する理不尽一歩手前のチート級最強最悪スキルの一つ、アビスフレイム。
その効果は、全体に極大ダメージを与え、そして雑魚には高確率で即死。さらに行動阻害に、一定時間の継続ダメージ、加えて闇属性の特性による一定値の魔力吸収。
これにより、勇者アリューシャたちの完了前の行動は俺がアビスフレイムを放った瞬間、全て阻害され、一方的に攻撃を受けることになった。
そして男のビショップがかけ終えた範囲継続回復は闇の炎の継続ダメージにより相殺され、さらについでに言うと。
「ま、魔法を軽減する……盾を……張ってもらったのに……」
「う、うぅ……まさか魔王直属……四天王が……これほどの……強さ……なんて………」
倒れ伏したまま弱々しい声でそう告げる歌と詠唱をそれぞれ止められた、歌姫と勇者アリューシャの親友、少女魔導師メルニ。
だが、実はこのアビスフレイムは、あくまで魔法攻撃力をもとに威力を発揮する攻撃スキル。つまりなんと魔法では、ない。
よって、先ほど男の聖騎士がかけた魔法の威力を軽減する盾は完全にすり抜け、俺は十全な威力を叩き込めたというわけだ。
「え!? なんか死んだっ!? え!? 嘘!? 魔法防御かけたのに、全然ダメージ減ってないぞ!? え!? ってことは……これ、魔法じゃないのかよっ!?」
……かつての俺をはじめとするプレイヤーの誰しもが一度はやり、そしてあっけなくすり抜けられ全滅し驚愕する無意味な魔法盾張り、まさにその初見殺しのとおりに。
――さて、どうやら体にまとわりつく継続ダメージの闇の紫炎が消え、ぎこちないながらも少しは動けるものが出てきたようだ。
実戦でのアビスフレイムの検証はこれくらいにして、そろそろ俺も仕上げにかかるとしよう。
「ふはははは! いまのこの俺の一撃で誰も死ななかったとは、さすがは勇者パーティーだと褒めてやろう! だが、もうわかっているはず! 勝敗はすでに決した! そのまま床に這いつくばっているがいい! さすれば、いま楽にして――」
「ま、まだ……だよ……! まだ終わって……ない……!」
――闇の紫炎の形をとるものの、実はこのアビスフレイムは火や熱の性質を持たない。あくまで純粋な魔力攻撃だ。だから、火傷を負うことはない。
視線の先。その絶大な威力の前に身につけていた装備をほとんど破壊され、その豊かな胸の一部を含め健康的な色の肌をさらし半裸に近い姿となった少女勇者アリューシャが小刻みに震える足で立ち――まっすぐに剣を構え、その切先をいま俺に向けていた。
……それは思わず、見惚れるほどに美しい姿。
驚くべきことに減じるどころか、その穢れのない青い瞳はさらに輝きを煌々と増している。
そして、その全身からは、ゆらめく赤い魔力が烈しく立ち昇っていた。
――そう。それはまるで、その生命を燃やし尽くすかのように。
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