1 / 3
前編
しおりを挟む
全くもう、お父様は何を考えているのかしら!私は憤慨しながら廊下を歩いた。
あののろまな妹、マオの婚約者がこの国の王子様ですって!?冗談じゃないわ!
マオはほんとに歩くのも走るもの遅くって、私が待ってあげなきゃ追いつけないぐらいなのよ!それにいっつもへらへらしてて、だらしないったらありゃしない!
それに毛が長すぎるのも駄目。暑いし邪魔くさいことに気付かないのかしら?その上リボンやらで着飾って、ひらひらしたのが目に付いてしょうがない!
それに声だって、私が合わせてあげなきゃマオは聞き取れやしないのよ!
とにかく、駄目な要素が多すぎてマオにまだ婚約は早い!婚約なんて破棄よ破棄!
そう必死にお父様に訴えているのにへらへらしながら私を撫でてくるだけだもの。ほんと親子そろってどんくさいわね!
でも、顔合わせだとかその王子様とやらがうちに来てお茶会をするらしいわね。
どんなのが来るかは知らないけれど、きっとのろまなマオに愛想つかすに決まってるわ。
そうだ、しなやかで美しい私が現れたら婚約破棄は確実じゃない!?私ってやっぱり賢いわ!
そうと決まればすぐに決行よ!使用人の目を掻い潜って庭にでることぐらい、私には簡単なんだから!
庭に行くと、もうマオと知らない男が席についてたわ。マオよりキラキラしたものを服につけてて、多分こいつが王子様ね。毛は……まあまあの長さね。そのぐらいなら許してあげてもいいわ。
招待されていない私が来たことに気付いたマオは、「お姉さま!」とにっこり笑う。
まったく、笑ってる場合じゃないでしょう?あんたは今から私によって婚約を台無しにされるんだから。
マオの手をすり抜けて、空いた椅子に座る。紅茶と菓子の匂いがいつもとは違うわ。きっとお父様がはりきっていつもとは違うのを用意したのね。でも、私が食べるようなものじゃないわ。私のご飯も高いものにならないかしら。
私が机の上をじっと見ていると、王子様が「この子が君の姉上かい?」と尋ねた。この子って何よ。絶対あんたよりは年上よ!この王子は見る目がないんだわ、ぼんくらだわ!マオも「ええ、そうです」ってへらへらしてるんじゃないわよ!
「可愛くてそれでいて美しくて、いつも私の傍に寄り添ってくれる自慢の姉なんです」
ふん。マオったら……そうおだてたっておやつが出ないかぎり甘くしてやらないわよ。いつもあんたの傍にいてやってるのは、あんたがとろくさくてしょうがないからよ。ネズミ一匹にすら怯えるくせに、どうやってこの先を生きていくつもりなのかしら。
ねえ王子、あんたはどう思うの?と王子に話しかけると、「それは素晴らしい姉上だね」と私の話なんてまるっきり無視!なによ!こいつ、やっぱりだめだめだわ!もう、マオも何か言ってやってよ!
「それにとっても勇敢なんです。家に野ネズミが入ってきたらすぐ捕まえてくれますし、この前なんてたったひとりで野犬を退治したんです!」
もう、私が言ってほしいのはそういうことじゃなーい!きらきらした目で喋ってるんじゃないわよ!
……ん?でもこれ、私の有能さを売り込んでることになってない?
まったく、マオったらやっぱりおバカね。そんなことしたら王子が私に心変わりするに決まってるじゃない。
私としては王子はちょっと微妙だけど、まあ狩りができて美味しいものをくれるなら受け入れてやらないでもないわ。
あののろまな妹、マオの婚約者がこの国の王子様ですって!?冗談じゃないわ!
マオはほんとに歩くのも走るもの遅くって、私が待ってあげなきゃ追いつけないぐらいなのよ!それにいっつもへらへらしてて、だらしないったらありゃしない!
それに毛が長すぎるのも駄目。暑いし邪魔くさいことに気付かないのかしら?その上リボンやらで着飾って、ひらひらしたのが目に付いてしょうがない!
それに声だって、私が合わせてあげなきゃマオは聞き取れやしないのよ!
とにかく、駄目な要素が多すぎてマオにまだ婚約は早い!婚約なんて破棄よ破棄!
そう必死にお父様に訴えているのにへらへらしながら私を撫でてくるだけだもの。ほんと親子そろってどんくさいわね!
でも、顔合わせだとかその王子様とやらがうちに来てお茶会をするらしいわね。
どんなのが来るかは知らないけれど、きっとのろまなマオに愛想つかすに決まってるわ。
そうだ、しなやかで美しい私が現れたら婚約破棄は確実じゃない!?私ってやっぱり賢いわ!
そうと決まればすぐに決行よ!使用人の目を掻い潜って庭にでることぐらい、私には簡単なんだから!
庭に行くと、もうマオと知らない男が席についてたわ。マオよりキラキラしたものを服につけてて、多分こいつが王子様ね。毛は……まあまあの長さね。そのぐらいなら許してあげてもいいわ。
招待されていない私が来たことに気付いたマオは、「お姉さま!」とにっこり笑う。
まったく、笑ってる場合じゃないでしょう?あんたは今から私によって婚約を台無しにされるんだから。
マオの手をすり抜けて、空いた椅子に座る。紅茶と菓子の匂いがいつもとは違うわ。きっとお父様がはりきっていつもとは違うのを用意したのね。でも、私が食べるようなものじゃないわ。私のご飯も高いものにならないかしら。
私が机の上をじっと見ていると、王子様が「この子が君の姉上かい?」と尋ねた。この子って何よ。絶対あんたよりは年上よ!この王子は見る目がないんだわ、ぼんくらだわ!マオも「ええ、そうです」ってへらへらしてるんじゃないわよ!
「可愛くてそれでいて美しくて、いつも私の傍に寄り添ってくれる自慢の姉なんです」
ふん。マオったら……そうおだてたっておやつが出ないかぎり甘くしてやらないわよ。いつもあんたの傍にいてやってるのは、あんたがとろくさくてしょうがないからよ。ネズミ一匹にすら怯えるくせに、どうやってこの先を生きていくつもりなのかしら。
ねえ王子、あんたはどう思うの?と王子に話しかけると、「それは素晴らしい姉上だね」と私の話なんてまるっきり無視!なによ!こいつ、やっぱりだめだめだわ!もう、マオも何か言ってやってよ!
「それにとっても勇敢なんです。家に野ネズミが入ってきたらすぐ捕まえてくれますし、この前なんてたったひとりで野犬を退治したんです!」
もう、私が言ってほしいのはそういうことじゃなーい!きらきらした目で喋ってるんじゃないわよ!
……ん?でもこれ、私の有能さを売り込んでることになってない?
まったく、マオったらやっぱりおバカね。そんなことしたら王子が私に心変わりするに決まってるじゃない。
私としては王子はちょっと微妙だけど、まあ狩りができて美味しいものをくれるなら受け入れてやらないでもないわ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
16
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる