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20 そんな馬鹿な
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「母様、こちらがハリルトン子爵令嬢のミリア嬢です」
「まぁ、こんなに早く会えるなんて思ってもみなかったわ。サイラスは意外と手が早いのかしら?」
ほほほと貴婦人の見本のような微笑みを浮かべながら母は俺を見つめる。
「は、初めまして。ミリアと申します。侯爵夫人にご挨拶できたこと、光栄に」
「いいのよ、堅苦しい挨拶は。ミリアさん、お茶を用意するわね」
母に会わせたい人がいると伝えると、すぐに時間をとってくれた。
「ありがとうございます」
母の正面に俺が座り、横にミリアが座った。少しでも緊張を解すためだ。
「サイラス! 彼女を連れてきたんですって? 殿下と婚約破棄するつもりなの?」
噂を聞きつけたプリメリアまでやってきて、母の隣に座った。そっと隣のミリアを見ると、プリメリアを見て口を開けている。
「み、ミリア、口」
思わず澪と呼びかけてしまいそうになった。そう、ミリアはアルサイ万歳主義だと主張しているが実は悪役令嬢で断罪されるプリメリアの擁護者でもあったのだ。
『彼女は乳母に洗脳されてたのよ。孤独の中で愛情を求めたのがアルフォンスじゃなければ良かったのに――』
澪がゲーム以外の公式についても説明していたので、問題点が乳母だとか父親の愛情が娘に届いていないことも俺は知っていた。
『愛情を受けて育ったらきっと素敵な女性だったと思うんだ。私だって、お父さんやお母さんが仕事ばっかりでお兄ちゃんがいなかったら……さ。きっとこんな楽しく暮らしてないと思うもん』
二次元の世界の人間にそこまで共感したり応援したりする妹が少しだけ心配だったが、兄としては嬉しかった。俺も澪がいなかったら、殺伐とした生活をしていただろうなと思う。自分のために食事を作って、家族のために洗濯や掃除をして、でもお金があっても愛情なんて感じられない孤独だけの人生。
サイラスの中で目覚めた俺は、突然失った妹という存在の代わりをプリメリアに押しつけてしまったのかもしれない。けれど、後悔はない。二人とも俺の大事な家族だ。
「あ、プリメリア様。この度はお会いできて嬉しいです。美しい銀の髪と神々しい金色の瞳……」
「ミリア!」
澪が降臨している。このまま賛辞が始まる予感に俺は慌てて名前を呼んだ。
熱のこもった瞳を向けられて、プリメリアは微笑んだ。
「フフフ、ミリアさんて面白い方ね。サイラスの幼馴染みと聞いたからどんな方かと思っていたのだけど。可愛らしいのに、面白いなんて」
そして俺は色々端折って、アルフォンスがミリアの部屋を燃やしたことを告げた。二人は絶句した後、ため息をついた。
「サイラスが悪いわ。よくひと部屋ですんだものね。ミリアさんにお怪我がなくてよかったわ」
「殿下の愛情がどの程度が知りたかったの?」
そんな風に俺が責められた。何故だ。
「愛情……なんでしょうか」
「まだ、そんなことを言っているのね。私は殿下を憐れに思うわ」
「監視をつけて、友人を制限するのが愛情ですか」
俺はそんな自分勝手な押しつけを黙って我慢するつもりはない。
「「「激重だわ」」」
何故か三人の言葉が重なって、俺を見つめる目までが冷たい。
「ハリルトン子爵の方々はあなたが願った通り我が家にお招きしましょう。でもあなたはここじゃなくて、王宮の侯爵家の部屋に行きなさい。絶対に誤解されて、ここまで焼き払われるから」
平然と母のマリアが言い切った。
「ミリアさんは私が面倒をみるから、安心して」
プリメリアも当然俺が出ていくと思っている。せっかく一緒に暮らせるのに。
「義父様のところへですか?」
突然家を出ていけと言われてしまった。王宮には宰相である義父が泊まる部屋がある。部屋はいくつもあるから問題はないが、なんだがアルフォンスに会いたくないと言ったばかりで王宮に行きたくない。
「お兄ちゃん、王太子様とちゃんと話したほうがいいわ」
「ミリア」
「でないと大変な事になると思うの」
「……嫌だ。王宮に行くくらいなら学園の寮に入ります」
そのままなし崩しに護衛をつけられ、友人を制限されたくない。前世ではあまり友人を作れなかったのだ。どうしても家のことを優先してしまって、部活にも入れなかったし。
「……ここにいるよりましかしら」
「「「サイラスは(お兄ちゃんは)意固地だから……」」」
何故だかわからないが、この三人同調しすぎではないだろうか。とても肩身が狭い。
俺は早々に部屋を追い出され、学園の寮に移るための準備を始めた。
なんだかんだと三人の仲がよさそうで安心した。
「まぁ、こんなに早く会えるなんて思ってもみなかったわ。サイラスは意外と手が早いのかしら?」
ほほほと貴婦人の見本のような微笑みを浮かべながら母は俺を見つめる。
「は、初めまして。ミリアと申します。侯爵夫人にご挨拶できたこと、光栄に」
「いいのよ、堅苦しい挨拶は。ミリアさん、お茶を用意するわね」
母に会わせたい人がいると伝えると、すぐに時間をとってくれた。
「ありがとうございます」
母の正面に俺が座り、横にミリアが座った。少しでも緊張を解すためだ。
「サイラス! 彼女を連れてきたんですって? 殿下と婚約破棄するつもりなの?」
噂を聞きつけたプリメリアまでやってきて、母の隣に座った。そっと隣のミリアを見ると、プリメリアを見て口を開けている。
「み、ミリア、口」
思わず澪と呼びかけてしまいそうになった。そう、ミリアはアルサイ万歳主義だと主張しているが実は悪役令嬢で断罪されるプリメリアの擁護者でもあったのだ。
『彼女は乳母に洗脳されてたのよ。孤独の中で愛情を求めたのがアルフォンスじゃなければ良かったのに――』
澪がゲーム以外の公式についても説明していたので、問題点が乳母だとか父親の愛情が娘に届いていないことも俺は知っていた。
『愛情を受けて育ったらきっと素敵な女性だったと思うんだ。私だって、お父さんやお母さんが仕事ばっかりでお兄ちゃんがいなかったら……さ。きっとこんな楽しく暮らしてないと思うもん』
二次元の世界の人間にそこまで共感したり応援したりする妹が少しだけ心配だったが、兄としては嬉しかった。俺も澪がいなかったら、殺伐とした生活をしていただろうなと思う。自分のために食事を作って、家族のために洗濯や掃除をして、でもお金があっても愛情なんて感じられない孤独だけの人生。
サイラスの中で目覚めた俺は、突然失った妹という存在の代わりをプリメリアに押しつけてしまったのかもしれない。けれど、後悔はない。二人とも俺の大事な家族だ。
「あ、プリメリア様。この度はお会いできて嬉しいです。美しい銀の髪と神々しい金色の瞳……」
「ミリア!」
澪が降臨している。このまま賛辞が始まる予感に俺は慌てて名前を呼んだ。
熱のこもった瞳を向けられて、プリメリアは微笑んだ。
「フフフ、ミリアさんて面白い方ね。サイラスの幼馴染みと聞いたからどんな方かと思っていたのだけど。可愛らしいのに、面白いなんて」
そして俺は色々端折って、アルフォンスがミリアの部屋を燃やしたことを告げた。二人は絶句した後、ため息をついた。
「サイラスが悪いわ。よくひと部屋ですんだものね。ミリアさんにお怪我がなくてよかったわ」
「殿下の愛情がどの程度が知りたかったの?」
そんな風に俺が責められた。何故だ。
「愛情……なんでしょうか」
「まだ、そんなことを言っているのね。私は殿下を憐れに思うわ」
「監視をつけて、友人を制限するのが愛情ですか」
俺はそんな自分勝手な押しつけを黙って我慢するつもりはない。
「「「激重だわ」」」
何故か三人の言葉が重なって、俺を見つめる目までが冷たい。
「ハリルトン子爵の方々はあなたが願った通り我が家にお招きしましょう。でもあなたはここじゃなくて、王宮の侯爵家の部屋に行きなさい。絶対に誤解されて、ここまで焼き払われるから」
平然と母のマリアが言い切った。
「ミリアさんは私が面倒をみるから、安心して」
プリメリアも当然俺が出ていくと思っている。せっかく一緒に暮らせるのに。
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何故だかわからないが、この三人同調しすぎではないだろうか。とても肩身が狭い。
俺は早々に部屋を追い出され、学園の寮に移るための準備を始めた。
なんだかんだと三人の仲がよさそうで安心した。
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