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全て忘れた君
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華君と晴海君が、酔いつぶれたるかをソファーに寝かせてくれた。
「みんなで、向こうにいるから」
「うん」
僕は、月を見ていた。
意識を失えば、次に現れるのが誰なのか想像が出来なかった。
「ちょっといいかな?」
栞さんに声をかけられた。
「はい」
「さっき、月(るい)にお願いされたんだけどね」
「はい」
「意識を失ったら、どんな俺が来るかわからないからって」
「はい」
「それでも、どこかで星(ひかる)をきっと覚えてるから…。それまで、僕やこの場所にいるみんなで星(ひかる)を支えて欲しいってお願いされたんだ。」
「そうですか」
「大丈夫だよ。どんな月(るい)が現れても、僕達みんなが傍にいるから」
「はい」
僕は、栞さんに笑ってみせた。
栞さんは、みんなの所へ行ってしまった。
栞さん、麻美さん、華君、晴海君、美咲さん、椚さん、時雨、氷河、真矢…。
お祝いしてくれたみんなを見つめていた。
「頭が痛い」
月(るい)が、目覚めた。
名前さえも覚えていない事に、絶望した。
この時点で、るかは消えたと言うことだろうか?
嫌、それにしてはずいぶんと穏やかだ。
化け物にかわったわけではなさそうだった。
「あの、仮装パーティーですか?」
タキシードを見つめて話しかけてきた。
結婚式です。とは、言えなかった。
「そうですね。」
「ハロウィンですか?」
「違います。」
僕と月の異変に気づいたのは、華君と栞さんだった。
「月(るい)、目覚めたんだね」
栞さんの言葉に、首を傾げる。
「るいって、誰ですか?」
「えっ?」
栞さんは、その言葉に驚いた顔をした。
「まさか、名前わからないの?」
「はい、誰ですか、俺は?皆さんも…。」
怯えるような目で、僕達を見ていた。
栞さんも、泣いていた。
「君は、橘月(たちばなるい)だよ。ここにいるみんなは、月君の友達だよ。」
何も言えない僕と栞さんのかわりに、華君が話してくれる。
「橘月(たちばなるい)?すみません。実感がわきません。」
そう言って、月は首を横に振った。
「ゆっくり思い出せばいいと思うよ」
華君が、微笑んだ。
「仮装パーティーだと聞きましたが、皆さんはスーツなのですね?俺とこの人だけ、こんな服で…」
「そうだね。何か、一緒の着ようって…。僕と月は、親友だから」
胸をズキンと痛みが、貫いた。
壊れなくてよかったんだよ。
そう思いながら、自分が恋人で今さっき結婚式をあげたなどと言えない現実が苦しかった。
「そうなのですね。お名前は?」
「矢吹星(やぶきひかる)です。」
「矢吹さん、これからもよろしくお願いします。」
月の目に、怯えは消えていた。
「僕は、藤堂栞(とうどうしおり)。月の幼馴染みだ。」
「そうなんですね。よろしくお願いします。」
「僕は、美咲華(みさきはな)。月君と知り合って、二年半になる。」
「そうなんですね。よろしくお願いします。」
そう言って、ニコニコ笑ってる。
「あの、突然ですが俺は何歳でしょうか?」
「32歳だよ。」
「結婚や子供は?彼女はいるのでしょうか?」
「結婚もしていないし、恋人もいない。」
「そうなのですね。」
栞さんの言葉に、月は悲しそうに目を伏せた。
「お水持ってくるよ」
華君が、向こうに行ってしまった。
泣いては、いけないのに涙をとめる事が出来なかった。
「大丈夫ですか?」
そう言って、手を差し伸べてきた。
「結婚していないのに、この指輪は何でしょうか?」
差し出した手を見つめて、月(るい)が言った。
「仮装パーティーの玩具だよ。終わったら、返して」
「わかりました。」
胸がズキンと痛む。
何で、そんな笑顔で笑うの。
これなら、るかの方がよかった。
「お水、どうぞ」
華君が、お水を月に渡した。
「具合悪そうですよ。矢吹さん。さっきから、泣いてばかりで。こちらに座りますか?」
「大丈夫です。少しだけ飲み過ぎて、泣き上戸ってやつです。」
僕は、そう言って月に笑ってみせた。
心が、折れそうだよ。
月…。
「みんなで、向こうにいるから」
「うん」
僕は、月を見ていた。
意識を失えば、次に現れるのが誰なのか想像が出来なかった。
「ちょっといいかな?」
栞さんに声をかけられた。
「はい」
「さっき、月(るい)にお願いされたんだけどね」
「はい」
「意識を失ったら、どんな俺が来るかわからないからって」
「はい」
「それでも、どこかで星(ひかる)をきっと覚えてるから…。それまで、僕やこの場所にいるみんなで星(ひかる)を支えて欲しいってお願いされたんだ。」
「そうですか」
「大丈夫だよ。どんな月(るい)が現れても、僕達みんなが傍にいるから」
「はい」
僕は、栞さんに笑ってみせた。
栞さんは、みんなの所へ行ってしまった。
栞さん、麻美さん、華君、晴海君、美咲さん、椚さん、時雨、氷河、真矢…。
お祝いしてくれたみんなを見つめていた。
「頭が痛い」
月(るい)が、目覚めた。
名前さえも覚えていない事に、絶望した。
この時点で、るかは消えたと言うことだろうか?
嫌、それにしてはずいぶんと穏やかだ。
化け物にかわったわけではなさそうだった。
「あの、仮装パーティーですか?」
タキシードを見つめて話しかけてきた。
結婚式です。とは、言えなかった。
「そうですね。」
「ハロウィンですか?」
「違います。」
僕と月の異変に気づいたのは、華君と栞さんだった。
「月(るい)、目覚めたんだね」
栞さんの言葉に、首を傾げる。
「るいって、誰ですか?」
「えっ?」
栞さんは、その言葉に驚いた顔をした。
「まさか、名前わからないの?」
「はい、誰ですか、俺は?皆さんも…。」
怯えるような目で、僕達を見ていた。
栞さんも、泣いていた。
「君は、橘月(たちばなるい)だよ。ここにいるみんなは、月君の友達だよ。」
何も言えない僕と栞さんのかわりに、華君が話してくれる。
「橘月(たちばなるい)?すみません。実感がわきません。」
そう言って、月は首を横に振った。
「ゆっくり思い出せばいいと思うよ」
華君が、微笑んだ。
「仮装パーティーだと聞きましたが、皆さんはスーツなのですね?俺とこの人だけ、こんな服で…」
「そうだね。何か、一緒の着ようって…。僕と月は、親友だから」
胸をズキンと痛みが、貫いた。
壊れなくてよかったんだよ。
そう思いながら、自分が恋人で今さっき結婚式をあげたなどと言えない現実が苦しかった。
「そうなのですね。お名前は?」
「矢吹星(やぶきひかる)です。」
「矢吹さん、これからもよろしくお願いします。」
月の目に、怯えは消えていた。
「僕は、藤堂栞(とうどうしおり)。月の幼馴染みだ。」
「そうなんですね。よろしくお願いします。」
「僕は、美咲華(みさきはな)。月君と知り合って、二年半になる。」
「そうなんですね。よろしくお願いします。」
そう言って、ニコニコ笑ってる。
「あの、突然ですが俺は何歳でしょうか?」
「32歳だよ。」
「結婚や子供は?彼女はいるのでしょうか?」
「結婚もしていないし、恋人もいない。」
「そうなのですね。」
栞さんの言葉に、月は悲しそうに目を伏せた。
「お水持ってくるよ」
華君が、向こうに行ってしまった。
泣いては、いけないのに涙をとめる事が出来なかった。
「大丈夫ですか?」
そう言って、手を差し伸べてきた。
「結婚していないのに、この指輪は何でしょうか?」
差し出した手を見つめて、月(るい)が言った。
「仮装パーティーの玩具だよ。終わったら、返して」
「わかりました。」
胸がズキンと痛む。
何で、そんな笑顔で笑うの。
これなら、るかの方がよかった。
「お水、どうぞ」
華君が、お水を月に渡した。
「具合悪そうですよ。矢吹さん。さっきから、泣いてばかりで。こちらに座りますか?」
「大丈夫です。少しだけ飲み過ぎて、泣き上戸ってやつです。」
僕は、そう言って月に笑ってみせた。
心が、折れそうだよ。
月…。
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