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三愛 紫月 (さんあい しづき)

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目覚める君は、覚えてる?[星の視点]

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久々に入った。

なんで、こっちだったの?

僕が住んでいた時とは、全然違う。

町田さんは、月(るい)に毛布とバスタオルをかけていた。

ずぶ濡れだ。

服も髪も…。

嫌悪感で睨み付けられても、舌を噛みちぎられても、腹を殴られても、僕は月(るい)とキスしたい。

洗面所で、手を洗わせてもらった。

この場所で、月(るい)が僕にキスをしてくれた。

時雨に氷風呂に入れられた時も、月(るい)が助けてくれた。

懐かしい。

僕は、月(るい)の元に戻った。

まだ、眠ってる。

次に現れるのは、誰?

怖くて、堪らない。

唇を指でなぞる。

やっぱり、キスがしたい。

僕は、唇を重ねてしまった。

ダメだ。

もっとしたくなって、やめた。

優しくされたい。

月(るい)、結婚しないでよ。

涙が流れて、止まらなかった。

「矢吹さん、来てたんだ?」

目を覚ました月(るい)は、僕を見つめていた。

「違う人の家ですよ。」

「ああ、さっき気づいた。なんで、ここに来たのかな?よくわからない」

「タオルで拭いて、風邪ひくから」

「ありがとう」

起き上がった月(るい)は、タオルで頭を拭いてる。

「濡れてるから、他は一緒かな?」

「帰ろうか」

「うん」

「矢吹さん、俺。マッチングアプリの人に会ったんだ。」

心臓が、ズキンと傷んだ。

「そっか」

「その人、無駄な時間が嫌いだから付き合ったら3ヶ月以内に結婚するって、矢吹さんはどう思う?」

ズキズキと胸を突き刺す痛みを感じていた。

「よくわからないよ。あっ、傘忘れちゃった。早く帰ろう。濡れてるから、タクシー迷惑かけちゃうね。僕は、今雨に打たれたい気分だから」

月(るい)は、毛布をとタオルを畳んで玄関に向かった。

僕は、机の上の紙にありがとうと書いて、連絡先と一万円を置いた。

「先、でて」

「うん」

月(るい)は、部屋を出た。

僕は、玄関で靴を履きながら涙をこらえていた。

時雨と氷河から守ってくれた月(るい)、月(るい)を招き入れたこの部屋。

壁が薄くて、聞こえた事。

全部、昨日の事みたいにリアルだった。

部屋をでて、鍵を閉めた。

「傘、どっかで買おうか?」

さっき町田さんの部屋で書いた紙を渡した。

「先に帰って。僕は、ゆっくり帰りたいから。これ、お金。帰ったら、もっと渡すから。もう、出ていっていいよ。その人と結婚して幸せになりなよ」

僕は、月(るい)に財布の中の10万を渡した。

僕は、階段を降りる。

胸が押し潰されたみたいに苦しい。

ここで、月(るい)と過ごした日々が痛みとして降り注ぐ。

もう、愛されないのに…。

何て、馬鹿なんだ。

僕は、雨に打たれた。

雨か涙かわからないぐらいに濡れていく。

ありがとう、やっと泣けるよ。

僕を好きな月(るい)に会いたいよ。

神様どうしたら会える。

フラフラしながら、歩く。

死んでいいや、消えていいや。

もう、肉体(からだ)なんていらない。

氷雨を悲しませてしまうね。

僕は、酷く自分勝手だよね。

あの日、氷雨と流星さんに追いかけられて逃げた道を歩く。

チューいっぱいした。

そのお陰で、僕は化け物に食べられなかった。

食べられても、月(るい)が助けてくれるって信じていた。

スマホをポケットから、取り出した。

「星(ひかる)、どうしたの?」

「今すぐ、来て」

「どこにいるの?」

「僕を助けて、氷雨」

「今すぐ行くよ、どこにいるの?」

「苦しくて、息ができないよ。涙をとめる方法が見つけられないんだ。助けて、氷雨。僕を助けて」

星影公園にはいって、膝から崩れ落ちた。

「矢吹さん」

月(るい)が、走ってきていた。

腕を掴まれた。

「どうしたの?大丈夫?」

「優しくなんてすんな。僕が、月(るい)を好きだと言ったら軽蔑するくせに離せ」

腕を振り払った。

月(るい)の顔に、嫌悪感が浮かんだ。

「矢吹さん、そう言うのは」

「全財産あげるから、僕の前から消えてよ。お金ならあげるよ。」

「そんな事…」

「お金を欲しいから、僕といるんだよね?お願いだから、僕の前からいなくなってよ。橘さん。僕を楽にさせてよ。お願いします。もう、許してください」

僕は、泣きながら土下座をしていた。

顔をあげると、驚いた顔をしながら、月(るい)がいなくなっていた。

掴まれた衝撃で、飛んだスマホを這いつくばって拾った。

「氷雨…」

「ザァー、今向かってる」

雨の中、氷雨が僕の為に家を出てくれていた。



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