みんなの愛らぶyou(仮)

三愛 紫月 (さんあい しづき)

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最低な家族[安西の視点]

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僕は、涙がとめられそうになかった。

「実はね、叔母さんにはもう一人子供がいるんだよ。彼女は、一人では歩く事が出来ない。」

僕は、震えが止まらない。

「父が叔母さんを襲って妊娠させた。そのきっかけは、美樹君の死と僕と美樹君の関係を錯乱した母が怒りに任せて話した事だった。美果(みか)君は、知っていたけれど黙ってくれていた。だから、叔母さんは美果(みか)君が大嫌いで許せないんだよ。」

僕は、コーヒーを飲んだ。

「父が、叔母さんを襲ったのは叔父さんが亡くなって暫くしてからだと美果(みか)君に聞いた。それと最近になって知った事だけど…。母は、父に一度も愛されていなかった。父が愛していたのは、叔母の美智子(みちこ)さんだった。だから、母が妊娠しなかったのは当たり前なんだよ。父が、薬を飲ましてたから出来なかったんだよ。母に自分の子供を産ませたくなかったのだ。だから、僕が出来た時驚いたと言う。嬉しくもなかったと。母も僕も、愛されてなかったんだよ。」

「それって、叔父さんが安西の母親を愛してたって事か?」

藤堂の言葉に、僕は首を振った。

「叔父さんは、母を愛していたわけではないよ。母が、可哀想だっただけなんだ。父の気持ちを叔父さんは、ずっと知っていた。美果(みか)君が話してくれた。美樹君も美果(みか)君も、僕の父の子供だ」

「えっ?」

みんなの顔に?マークが浮かんでいる。

「叔父さんが、出張に行ってる時に父が襲った。それを母が、見ていた。僕が、二十歳になった時に母から聞かされたよ。叔母さんの気持ちは、叔父さんだよ。だから、叔母さんは美果(みか)君が眼鏡をかけてから大嫌いなんだ。父に似ているから…。」

僕は、晴海さんに笑いかけた。

「叔母さん、家族を壊したのは僕達家族だよ。僕達家族は、それぞれに片想いをしていただけだ。僕は、母と父に、父は叔母さんに、母は父に…。僕の一方通行で叶わない想いを、叶えてくれたのは美樹君だった。母の想いを叶えてくれようとしてるのは美果(みか)君なんだ。」

「美果(みか)さんは、安西の父親のかわりになるつもりなのか?」

「そうなんだよ。義美さんの息子として、母の願いを叶えようとしてるんだ。美果(みか)君の人生を壊してしまった。僕達、家族は報われない想いの為に、長男夫婦の人生を壊したんだ。」

「もう一人の妹さんは?」

「美代ちゃんを車椅子にしたのは、母だよ。退院した日に、二階から突き落とした。」

「お母さん…」

「美代ちゃんは、父にそっくりなんだよ。藤堂、僕は彼女への慰謝料も払わないといけないんだ。父が、全財産持って駆け落ちした。いなくなった理由は、叔母さんが愛してくれないからだよ。クダラナイだろ?」

僕は、涙がとまらなかった。

「僕も母も父も、ただ愛されたかっただけなのに…。今の母は、破壊する事にとりつかれてる。自分の事も、叔母さん家族の事も僕の事も。母は、去年美珠(みじゅ)ちゃんの事も階段から突き落としてる。美果(みか)君が、庇ったお陰で助かった。僕が、引き取りたいのだけれど…。さっきも見ただろ?母は、僕を殺したい程、大嫌いだから。お金じゃ解決出来ないんだよ。母には、美果(みか)君が必要なんだよ。藤堂が言ってくれた言葉は嬉しかったよ。でも、母には美果(みか)君が必要なんだ。」

「でも、叔母さんにこんな風に切りつけられたり、刺されたり…。安西さん」

晴海さんは、僕の頬を撫でる。

「叔母さんの痛みは、こんなものじゃ足りないぐらいだよ。父がやった事も、母がやった事も、許されない事だよ。」

「それは、安西さんには何も関係ないよ」

「晴海さん、関係ならあるよ。僕の父は、間違いなく義美だ。戸籍上そうなっている。父が叔母さんにした酷い事は、僕が償わなければならない。そして、母がした事もだよ。」

僕は、晴海さんの手を握った。

「許されたいとは、一度も思った事はないんだよ。こんな事で、叔母さんの傷が癒えるのならいくらでもやってもらって構わないし。いくらだって、謝る。でも、叔母さんの傷は一ミリも癒されていない。」

晴海さんは、僕の頬の傷を撫でてくれる。

許されたいなんて、一度も思った事がなかった。

許されないのがわかっていたからだろうか…。






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