57 / 100
最低な家族[安西の視点]
しおりを挟む
僕は、涙がとめられそうになかった。
「実はね、叔母さんにはもう一人子供がいるんだよ。彼女は、一人では歩く事が出来ない。」
僕は、震えが止まらない。
「父が叔母さんを襲って妊娠させた。そのきっかけは、美樹君の死と僕と美樹君の関係を錯乱した母が怒りに任せて話した事だった。美果(みか)君は、知っていたけれど黙ってくれていた。だから、叔母さんは美果(みか)君が大嫌いで許せないんだよ。」
僕は、コーヒーを飲んだ。
「父が、叔母さんを襲ったのは叔父さんが亡くなって暫くしてからだと美果(みか)君に聞いた。それと最近になって知った事だけど…。母は、父に一度も愛されていなかった。父が愛していたのは、叔母の美智子(みちこ)さんだった。だから、母が妊娠しなかったのは当たり前なんだよ。父が、薬を飲ましてたから出来なかったんだよ。母に自分の子供を産ませたくなかったのだ。だから、僕が出来た時驚いたと言う。嬉しくもなかったと。母も僕も、愛されてなかったんだよ。」
「それって、叔父さんが安西の母親を愛してたって事か?」
藤堂の言葉に、僕は首を振った。
「叔父さんは、母を愛していたわけではないよ。母が、可哀想だっただけなんだ。父の気持ちを叔父さんは、ずっと知っていた。美果(みか)君が話してくれた。美樹君も美果(みか)君も、僕の父の子供だ」
「えっ?」
みんなの顔に?マークが浮かんでいる。
「叔父さんが、出張に行ってる時に父が襲った。それを母が、見ていた。僕が、二十歳になった時に母から聞かされたよ。叔母さんの気持ちは、叔父さんだよ。だから、叔母さんは美果(みか)君が眼鏡をかけてから大嫌いなんだ。父に似ているから…。」
僕は、晴海さんに笑いかけた。
「叔母さん、家族を壊したのは僕達家族だよ。僕達家族は、それぞれに片想いをしていただけだ。僕は、母と父に、父は叔母さんに、母は父に…。僕の一方通行で叶わない想いを、叶えてくれたのは美樹君だった。母の想いを叶えてくれようとしてるのは美果(みか)君なんだ。」
「美果(みか)さんは、安西の父親のかわりになるつもりなのか?」
「そうなんだよ。義美さんの息子として、母の願いを叶えようとしてるんだ。美果(みか)君の人生を壊してしまった。僕達、家族は報われない想いの為に、長男夫婦の人生を壊したんだ。」
「もう一人の妹さんは?」
「美代ちゃんを車椅子にしたのは、母だよ。退院した日に、二階から突き落とした。」
「お母さん…」
「美代ちゃんは、父にそっくりなんだよ。藤堂、僕は彼女への慰謝料も払わないといけないんだ。父が、全財産持って駆け落ちした。いなくなった理由は、叔母さんが愛してくれないからだよ。クダラナイだろ?」
僕は、涙がとまらなかった。
「僕も母も父も、ただ愛されたかっただけなのに…。今の母は、破壊する事にとりつかれてる。自分の事も、叔母さん家族の事も僕の事も。母は、去年美珠(みじゅ)ちゃんの事も階段から突き落としてる。美果(みか)君が、庇ったお陰で助かった。僕が、引き取りたいのだけれど…。さっきも見ただろ?母は、僕を殺したい程、大嫌いだから。お金じゃ解決出来ないんだよ。母には、美果(みか)君が必要なんだよ。藤堂が言ってくれた言葉は嬉しかったよ。でも、母には美果(みか)君が必要なんだ。」
「でも、叔母さんにこんな風に切りつけられたり、刺されたり…。安西さん」
晴海さんは、僕の頬を撫でる。
「叔母さんの痛みは、こんなものじゃ足りないぐらいだよ。父がやった事も、母がやった事も、許されない事だよ。」
「それは、安西さんには何も関係ないよ」
「晴海さん、関係ならあるよ。僕の父は、間違いなく義美だ。戸籍上そうなっている。父が叔母さんにした酷い事は、僕が償わなければならない。そして、母がした事もだよ。」
僕は、晴海さんの手を握った。
「許されたいとは、一度も思った事はないんだよ。こんな事で、叔母さんの傷が癒えるのならいくらでもやってもらって構わないし。いくらだって、謝る。でも、叔母さんの傷は一ミリも癒されていない。」
晴海さんは、僕の頬の傷を撫でてくれる。
許されたいなんて、一度も思った事がなかった。
許されないのがわかっていたからだろうか…。
「実はね、叔母さんにはもう一人子供がいるんだよ。彼女は、一人では歩く事が出来ない。」
僕は、震えが止まらない。
「父が叔母さんを襲って妊娠させた。そのきっかけは、美樹君の死と僕と美樹君の関係を錯乱した母が怒りに任せて話した事だった。美果(みか)君は、知っていたけれど黙ってくれていた。だから、叔母さんは美果(みか)君が大嫌いで許せないんだよ。」
僕は、コーヒーを飲んだ。
「父が、叔母さんを襲ったのは叔父さんが亡くなって暫くしてからだと美果(みか)君に聞いた。それと最近になって知った事だけど…。母は、父に一度も愛されていなかった。父が愛していたのは、叔母の美智子(みちこ)さんだった。だから、母が妊娠しなかったのは当たり前なんだよ。父が、薬を飲ましてたから出来なかったんだよ。母に自分の子供を産ませたくなかったのだ。だから、僕が出来た時驚いたと言う。嬉しくもなかったと。母も僕も、愛されてなかったんだよ。」
「それって、叔父さんが安西の母親を愛してたって事か?」
藤堂の言葉に、僕は首を振った。
「叔父さんは、母を愛していたわけではないよ。母が、可哀想だっただけなんだ。父の気持ちを叔父さんは、ずっと知っていた。美果(みか)君が話してくれた。美樹君も美果(みか)君も、僕の父の子供だ」
「えっ?」
みんなの顔に?マークが浮かんでいる。
「叔父さんが、出張に行ってる時に父が襲った。それを母が、見ていた。僕が、二十歳になった時に母から聞かされたよ。叔母さんの気持ちは、叔父さんだよ。だから、叔母さんは美果(みか)君が眼鏡をかけてから大嫌いなんだ。父に似ているから…。」
僕は、晴海さんに笑いかけた。
「叔母さん、家族を壊したのは僕達家族だよ。僕達家族は、それぞれに片想いをしていただけだ。僕は、母と父に、父は叔母さんに、母は父に…。僕の一方通行で叶わない想いを、叶えてくれたのは美樹君だった。母の想いを叶えてくれようとしてるのは美果(みか)君なんだ。」
「美果(みか)さんは、安西の父親のかわりになるつもりなのか?」
「そうなんだよ。義美さんの息子として、母の願いを叶えようとしてるんだ。美果(みか)君の人生を壊してしまった。僕達、家族は報われない想いの為に、長男夫婦の人生を壊したんだ。」
「もう一人の妹さんは?」
「美代ちゃんを車椅子にしたのは、母だよ。退院した日に、二階から突き落とした。」
「お母さん…」
「美代ちゃんは、父にそっくりなんだよ。藤堂、僕は彼女への慰謝料も払わないといけないんだ。父が、全財産持って駆け落ちした。いなくなった理由は、叔母さんが愛してくれないからだよ。クダラナイだろ?」
僕は、涙がとまらなかった。
「僕も母も父も、ただ愛されたかっただけなのに…。今の母は、破壊する事にとりつかれてる。自分の事も、叔母さん家族の事も僕の事も。母は、去年美珠(みじゅ)ちゃんの事も階段から突き落としてる。美果(みか)君が、庇ったお陰で助かった。僕が、引き取りたいのだけれど…。さっきも見ただろ?母は、僕を殺したい程、大嫌いだから。お金じゃ解決出来ないんだよ。母には、美果(みか)君が必要なんだよ。藤堂が言ってくれた言葉は嬉しかったよ。でも、母には美果(みか)君が必要なんだ。」
「でも、叔母さんにこんな風に切りつけられたり、刺されたり…。安西さん」
晴海さんは、僕の頬を撫でる。
「叔母さんの痛みは、こんなものじゃ足りないぐらいだよ。父がやった事も、母がやった事も、許されない事だよ。」
「それは、安西さんには何も関係ないよ」
「晴海さん、関係ならあるよ。僕の父は、間違いなく義美だ。戸籍上そうなっている。父が叔母さんにした酷い事は、僕が償わなければならない。そして、母がした事もだよ。」
僕は、晴海さんの手を握った。
「許されたいとは、一度も思った事はないんだよ。こんな事で、叔母さんの傷が癒えるのならいくらでもやってもらって構わないし。いくらだって、謝る。でも、叔母さんの傷は一ミリも癒されていない。」
晴海さんは、僕の頬の傷を撫でてくれる。
許されたいなんて、一度も思った事がなかった。
許されないのがわかっていたからだろうか…。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
『総理になった男』
KAORUwithAI
現代文学
この国の未来を、誰かに任せたままでいいのか。
将来に希望を持てず、社会に埋もれていた一人の凡人――坂本健人(31歳)。
政治家でもなければ、有名人でもない。
それでも彼は決意した。
「自分が変えなきゃ、何も変わらない」と。
無所属で立候補し、泡沫候補と嘲笑されながらも、
一つひとつの握手、一つひとつの言葉が、やがて国を揺らす波になる。
腐敗した政界、動かぬ官僚、報道を操るメディア、利権に群がる財界。
立ちはだかる巨大な壁に、彼はたった一人で挑む。
味方は、心を動かされた国民たち。
言葉と覚悟だけを武器に、坂本健人は“凡人のまま”総理へと駆け上がる――。
希望は、諦めなかった者の手の中に生まれる。
すべての“変わらない”に立ち向かう
これは、「総理になった男」の物語である。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる