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三愛 紫月 (さんあい しづき)

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幸せになりたいなら(月の視点)

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「もっと自分勝手に生きればいいんだよ、安西。俺もそうした。その結果、母親が不幸になったとしても…。それは、それでいいと思えばいい。そうじゃなきゃ、幸せになんてなれないんだよ。幸せって、誰かの不幸せのうえにあるって俺は思ってる。」

俺は、安西の手を握りしめる。

「俺が幸せになろうとしたら、流星が不幸せになった。流星が、俺と幸せになろうとしたら母さんが不幸せになった。幸せは誰かの不幸せのうえにあるものなんだよ。だから、安西が幸せになる為には母親が不幸せになるかもしれないんだよ。みんな平等に幸せになれるなんて幻想だよ。」

安西は、俺の目を見つめた。

「僕が幸せを望むなら、母の不幸は絶対だって事なんだよね。それでも、僕は幸せになりたいと思ったんだ。晴海さんと…。」

そう言って、晴海君を見た。

「まさか!安西と晴海君が、そうなったのか?」

俺は、驚いた。

でも、お似合いだと思った。

「そうなんだよ。橘が、いない間にそうなったんだよ。」

安西は、照れくさそうに笑った。

「よかったな。もう、俺の手は必要ないな」

「橘、知ってるのか晴海君と橘の手が似てるの」

「何となくだよ。ね、華君」

「うん、知ってる」

あの日、星(ひかる)が晴海君の手だといけた。

だから、俺と晴海君の手はよく似てるんだと思う。

「そうか、僕は晴海君の手に安心する。」

「よかったな。安西、幸せになれよ」

俺は、安西に笑いかけた。

「橘に話したい事が、たくさんある。また、ゆっくり聞いてくれるか?」

「構わないよ」

俺と安西が、話し終わると栞が俺に話しかけた。

「結婚式するんだろ?」

「そうだな!しよう。結婚式」

星(ひかる)が、泣いてる。

「僕達、そろそろ行かないと」

華君が、立ち上がった。

「また、ゆっくり話をしよう」

「うん」

「晴海君、よかったね」

「ありがとう」

「じゃあね、また」

華君と晴海君は、帰っていった。

俺達、四人はリビングにもどる。

「星(ひかる)、辛い想いさせただろ?」

「ううん。戻れたなら、よかったよ 」

「まだ、完璧じゃないんだ。でも、完璧に戻ったら…。どうなるかわからない。」

「それまでに、何もかも終わらせよう。お婆さんとお爺さんにも会って、結婚式もして、養子縁組もしたい。」

「婆ちゃんと爺ちゃんって何?」

「今、入院してる。明日会いに行く?」

「うん、行くよ」

俺は、星(ひかる)の手を握る。

「俺が、俺でいる間に全部終わらそう。」

「もう、月(るい)じゃなくなるみたいに言わないでよ。」

「俺の中の存在が一つになった時、俺がどうなっているかよくわからない。だから、星(ひかる)と叶えたい事は全部叶えておきたいんだ。ダメかな?」

星(ひかる)は、首を横にふる。

「叶えよう。全部」

俺は、星(ひかる)の頭を撫でる。

「月(るい)、結婚式の予約、僕がとるよ。早めに」

栞が、そう言って笑った。

「頼むよ、栞。安西も参加しろよ。」

「わかった。」

安西は、照れくさそうに笑ってる。

「栞、安西、来てくれてありがとう。何とか、大丈夫そうだよ。」

「よかった。それなら、帰るよ」

「わざわざごめんな。」

「ううん。」

立ち上がった栞に、星(ひかる)が何か紙を渡している。

「藤堂、荷物を取りに行って帰ろうか」

「うん。月(るい)、あのさ詩音と椚ちゃんが新しくお店を始めるんだ。その店の絵を、安西と描(か)いてる。指定した絵に、月(るい)に、色をつけて欲しい。駄目かな?」

「構わないよ。二人の作品に関われるなんて、嬉しいよ。」

俺は、栞に笑いかけた。

「よかった。月(るい)の色の使い方大好きだから嬉しいよ。」

「僕も、橘の色使い大好きだよ」

「天才の二人に言われたら、照れるよ」

俺は、頭を掻いた。

「天才じゃないよ。じゃあ、帰るよ」

安西と栞が、玄関に向かって行く。

星(ひかる)と二人、見送った。

パタンと扉を閉めた瞬間

俺は、星(ひかる)を抱き締めていた。



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