ふたりの愛らぶyou

三愛 紫月 (さんあい しづき)

文字の大きさ
39 / 250

やっぱり、大切な友達

しおりを挟む
ずるずる引きずられても構わないかなって思ったけど、栞がやめた。

「月、これ以上はダメ」

「いいの?」

「いい。」

「だけど…。」
 
「全部言わないで。」シーって口に手を当てられた。

10年前ー

成人式の後、みんな星の森高校に集まっていた。

「月、帰ろう」

酔っ払った栞と並んで歩く。

「私、月が好きだよ。」久しぶりの再会に栞が言った。

「好きで好きで堪らないの。もう、気持ちが溢(あふ)れて止まらないの」

「どうしたら、楽にしてあげられる?」

バチン…俺の言葉に栞が頬を殴った。

「同じ気持ちじゃないのに酷いよ。」

「ごめん。」

「月と私の愛は同じ。同じ愛は、いつかどちらかを滅ぼす。だから、忘れて今の話」

そう言って夜の闇に消えていった。

自分を犠牲にしてでも誰かを愛する俺と栞の愛は、どちらかが、滅びる日を待ってるんだ。

「月、命さえも犠牲にするのだけはやめてね。」

栞は、俺の胸に顔を埋(うず)めながら言う。

「栞も同じだろ。」

「前に話したよな、同じ愛はどちらかを滅ぼすって」

「うん。12年前、月が、恋をした時からわかってたよ。僕と月の愛は同じだって、自分を犠牲にしてでも相手に尽くす。綺麗に感じるけど違う。誰かを食べ尽くすまでそれは終わらない。だから、同じじゃいけないって…。かわらなきゃって思えば思うほど、重なり合うのを感じた。」

「俺、歪んでるよな。今も昔も」

「そんな事ないよ。星さんに会ってからは、少しだけ歪みがとれた気がする。犠牲になりたいけど生きたいが生まれた。僕も麻美に出会って、そうなれたから。」

そう言って栞は、笑った。

「もう、朝だな。ハハハ」

「何時間、あんなのしてたんだろうね。」

「そうだな。栞の気持ちが晴れたならいいよ。」

「やっぱり、僕は月にとっての大切な友達でいたいから…。もうしないよ。」

「俺は、よかったけど」

「ばっかじゃないの!一度そうなったら、骨まで食べ尽くすよ。ハハハ」

「なんか、寒気がした。」

「でも、それぐらい僕と月は終わらないのわかるでしょ?」

「うん、わかるよ。」

「だから、これでよかったんだよ。いったん寝るね」そう言って栞は、寝に行ってしまった。

俺も部屋に戻って横になる。栞が、星に何かを話した。

会った時に聞くかな。

俺は、ゆっくり目を閉じた。

.
.
.
.
.
「ねぇー、ちょっときて」栞の声で、目を覚ました。

「うーん。寝すぎだよな」俺は、扉を開けた。

「10時」

「夜の?」

「うん。」

そう言ってリビングにやってきた。

リビングでは、珍しくNEWSをつけている。

「新しくNEWS見ようと思ったの?」

「違う、麻美が見ろってかけてきたから」

「パジャマぼさぼさ、胸見えてるぞ」

「ああ、ごめん。月は、興奮しないからいいかなって。ハハハ」

「俺も、一応男だから」

「なんもなってないから、いいじゃん。」

「さわんなよ。」

「ハハハ。」笑いながらボタン閉めてキッチンから水持って帰ってきた。

「はい」

「ありがとう。」

cmになってるテレビを見つめてる。

「何のNEWS?」

「やるのかな?」

そう言いながら、栞は水を飲んでる。

「始まった。NEWSを見る」

俺も水を飲んだ。

「ローカルNEWSじゃない?」

「そうだね。」

この辺りのNEWSを読んでくれるTVだ。

「本日、夜の9時半頃、月の星公園で男女が喧嘩をしていると通報がありました。」

あの公園か…。

「駆けつけた警察官によりますと男女三名が腹部を刺されて倒れていました。その場で刃物を持っていた女性が逮捕されました。」

「女性の名前は、金田明日香 年齢は」

えっ?俺は、栞と顔を見合わせた。

「搬送先の病院で死亡が確認されたのは、荻野愛理(おぎのあいり)さん年齢は」

「刺された男二人は、今もまだ意識不明な状態です。」

NEWSが終わった。

「あそこからだと、星城病院に運ばれてない?」

栞に言われてハッとする。

「行ってみようかな?」

「知ってる人が刺された気がする?」

「うん。」俺は、頷いてスマホを取り出した。

電話をかける。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

【創作BL】溺愛攻め短編集

めめもっち
BL
基本名無し。多くがクール受け。各章独立した世界観です。単発投稿まとめ。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

【完結】君の穿ったインソムニア

古都まとい
BL
建設会社の事務として働く佐野純平(さの じゅんぺい)は、上司のパワハラによって眠れない日々を過ごしていた。後輩の勧めで病院を受診した純平は不眠症の診断を受け、処方された薬を受け取りに薬局を訪れる。 純平が訪れた薬局には担当薬剤師制度があり、純平の担当薬剤師となったのは水瀬隼人(みなせ はやと)という茶髪の明るい青年だった。 「佐野さんの全部、俺が支えてあげますよ?」 陽キャ薬剤師×不眠症会社員の社会人BL。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

死ぬほど嫌いな上司と付き合いました

三宅スズ
BL
社会人3年目の皆川涼介(みながわりょうすけ)25歳。 皆川涼介の上司、瀧本樹(たきもといつき)28歳。 涼介はとにかく樹のことが苦手だし、嫌いだし、話すのも嫌だし、絶対に自分とは釣り合わないと思っていたが‥‥ 上司×部下BL

処理中です...