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拓夢の話3

美沙…

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「わかった、珈琲飲んでからがいい」

「いいよ」

ニコニコ笑う美沙を見つめながら、あの日を思い出していた。

美沙と付き合っていた頃、明日花ちゃんというファンの子が俺に声をかけてきた。もちろん、美沙がいるからメンバーといる時しか会わなかった。でも、あの頃美沙に結婚の話をよくされててプレッシャーに感じていた俺は、明日花ちゃんと明日花ちゃんの友人とメンバーと遊ぶのが楽しかった。だからかな?

「たっちゃん、どうして膨らまないの?」

「疲れてるのかな?」

自分でも理由が見つけられなかった。美沙を愛してる気持ちは、変わらないのに…。

「疲れてたら、出来ないの?」

「そうだよ、きっと」

「好きな人、出来たんじゃないの?」

「そんなわけないだろ」

「本当に?」

「本当だよ!俺は、美沙を愛してる」

そう言って、キスをしても何もならなかった。そんな日々が、一ヶ月半続いたある日…。

「美沙、何してるんだよ」

三ヶ月に一度のライブハウスでのコンサートが終わって店を出た俺の目に飛び込んできたのは、美沙が明日花ちゃんを叩いてるところだった。

「たっちゃん、この子が悪いのよ!たっちゃんを私から奪おうとして」

「何言ってんだよ」

「この子、たっちゃんと遊んだ話を楽しそうにしてたんだから」

俺は、美沙を明日花ちゃんから引き離した。

「ごめんな!」

「いいんです」

明日花ちゃんは、泣きながら首を振っていた。

「行くぞ!美沙」

「いや、離してよ」

「あの子とは、何でもないんだよ!確かに、遊んではいたけど…。ただ、それだけだから」

「だったら、証明して」

「証明?」

「そう」

「どうやって」

「わかるでしょ?たっちゃん」

「帰ろう」

俺は、そう言って美沙を家に連れて帰った。出来るかどうかは、わからなかった。だけど、美沙に心配をかけたくなかった。俺は、美沙を無我夢中で抱いた。

「名前、呼んで!たっちゃん」

「美沙、美沙、愛してるよ」

「私も」

「ハァ、ハァ」

「たっちゃん、んんっ」

「美沙、愛してる」

うまく出来て、よかったとホッとしていた。美沙は、疲れて眠った。俺は、枕に手を入れてる美沙の手を引き抜いた。

スマホ………!!!

俺は、スマホの履歴を見る。【明日花ちゃん】へ発信されていた。慌てて俺は、風呂場から明日花ちゃんに連絡した。けど、何度かけても繋がらなかった。何をされたのかは、何となく想像が出来た。

「馬鹿だな、俺」

その時、初めて出来なかった理由を俺は知ったんだ。でも、これは美沙の結婚攻撃から逃げたかっただけだから…。
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